こんにちは、ハワードジョイマンです。
結論から言うと、ABC分析を自動化した飲食店では、メニュー数を3割削減したことで原価率が改善し、利益が増えたというケースが出ています。「メニューを減らしたら売上が落ちる」と心配されるオーナーさんは多いのですが、実際には逆の結果になることが珍しくない。今日は、その具体的な事例と、なぜそうなるのかを詳しくお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 原価率が上がっているが、どのメニューが原因か特定できていない方
- ✅ 「売れているメニュー=儲かっているメニュー」と思い込んでいる方
- ✅ メニュー数が多くなりすぎて、仕込みやオペレーションが複雑になっている方
- ✅ 月次の数字が出るのが翌月中旬で、打ち手が常に後手に回っている方
- ✅ 過去にIT導入を試みたが、使いこなせず頓挫した経験がある方
📋 この記事でわかること
- ABC分析を「手動」でやり続けることの限界と落とし穴
- 自動化されたABC分析で、どんなデータが見えるようになるのか
- メニュー数を3割削減した店舗の実際の変化(原価率・オペレーション・スタッフへの影響)
- あなたの店でABC分析の自動化を始めるための最初の一手

「あのメニュー、実は赤字だったんですか」——ある居酒屋オーナーの一言
増益繁盛クラブの会員さんの中に、静岡県内で3店舗の居酒屋を展開する40代のオーナーがいます。売上は月商で3店舗合計およそ700万円。数字の上では悪くない。でも話を聞くと「通帳の残高がちっとも増えない」とのことでした。
最初に取り掛かったのが、メニューの収益性の確認です。このオーナー、もともとExcelでABC分析らしきものはやっていました。「Aランクの商品はこれ、Bランクはこれ」という分類表を月に1回作っていた。ただ、その分類の軸は「出数(何品売れたか)」だけ。粗利や原価率は一切見ていなかった。
実際にダイニーの商品分析機能を使って「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸でメニューを再評価してみると、衝撃的な事実が出てきました。そのオーナーが看板メニューとして推していた人気の「特製唐揚げ盛り合わせ」が、粗利ベースで見るとCランクに沈んでいたんです。大量に仕込んで、よく出ているのに、手元に残るお金が少ない。その一言が冒頭の「あのメニュー、実は赤字だったんですか」でした。
このケースはけっして珍しい話ではありません。飲食店経営者の方が陥りやすい「売れ筋=儲け筋」という思い込みが、原価率悪化の根本原因になっていることは非常に多い。
手動ABC分析に限界がある理由——月イチ集計では「昨日の天気」しかわからない
Excelで毎月ABC分析をやっている、というオーナーさんは意外と多いです。ただ、手動分析には構造的な限界が2つあります。
❌ 手動ABC分析(よくあるパターン)
- 集計に数日かかり、データが出るのが翌月中旬になる
- 分析軸が「出数」「売上」のみで、粗利やリピート率が含まれていない
- 月1回しか更新されないため、季節変動や仕入れ価格の変動を反映できない
- 複数店舗の場合、突合作業に膨大な時間がかかる
✅ 自動ABC分析(推奨アプローチ)
- 毎日・リアルタイムでデータが更新される
- 出数・売上・粗利・リピート率の4軸で商品を評価できる
- 仕入れ価格の変動が即座に原価率に反映される
- 複数店舗のデータを一元管理し、店舗間の比較が数分で完了する
要するに、手動分析は「先月何が起きたか」を知るためのツールです。一方、自動化されたABC分析は「今何が起きているか」「このまま月末を迎えたらどうなるか」を教えてくれる。打ち手のスピードがまったく変わってくるんです。
「ABC分析は、やっているかどうかより、何の軸で・どの頻度で・誰が見るかが全てです。月1回・出数だけ・担当者しか見ない——これではほぼ意味がない。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
✓ ここまでのポイント
- 「売れている=儲かっている」は思い込み。粗利ベースで見ると評価が逆転するメニューが必ず存在する
- 手動ABC分析の限界は「遅さ」と「軸の少なさ」。リアルタイムの4軸評価に切り替えることで打ち手が変わる
- 自動化で浮いた集計時間は、判断と実行に使える
メニュー数を3割削減したら、何が変わったか——具体的な数字で見る
先ほどの3店舗展開のオーナーの話に戻ります。4軸のABC分析を見て、彼が取った行動は「Cランクのメニューの整理」でした。全60品のメニューのうち、粗利・リピート率の両方でCランクにあたる17品を廃止。品数にして約3割の削減です。
チェックポイント①:廃止メニューの売上インパクトを確認する
削除した17品の売上合計は、全体の約11%でした。「3割のメニューを消したのに、売上は1割しか落ちない」という事実を数字で確認してから、はじめて実行に踏み切ることができた。感覚ではなく、データが背中を押してくれた形です。
✅ ポイント:廃止前に「その商品の売上構成比」を必ず確認すること。出数が多くても売上構成比が低いメニューは、思い切って整理できる候補筆頭です。
チェックポイント②:仕込み工数の変化を測る
メニューを絞った結果、仕込みにかかる時間が1日あたり約40分短縮されました。これがスタッフの残業削減に直結し、人件費が下がった。また、食材の種類が減ることで発注ミス・ロスが減り、原価率が3ポイント改善しました。
✅ ポイント:メニュー削減の効果は「売上」だけで測らないこと。仕込み時間・食材ロス・オペレーションミスの削減が、利益改善の大部分を担う場合が多い。
チェックポイント③:残ったメニューへの注文集中度を確認する
メニューが減ったことで、お客様の注文がAランク・Bランクの高粗利メニューに集中するようになりました。客単価が上がり、3ヶ月後には月商は横ばいながら利益率が4.5ポイント改善。「売上は変わらないのに手元に残るお金が増えた」という、冒頭の悩みに正面から答える結果になっています。
✅ ポイント:メニューを減らしたあとは、残ったメニューの注文構成比を追うこと。Aランク商品の注文割合が上がれば、メニュー整理が正解だったと判断できる。
「モバイルオーダーを導入してから、注文点数がアップしました。お客様が自分のペースでゆっくりメニューを見てくれるので、追加注文が自然に増えています。」
居酒屋経営者(40代・男性)
自動化ABC分析の導入プロセス——3ステップで整理する
メニュー収益性改善 STEP 1
現状の「粗利構成比」を見える化する
まず、現在のメニューを「出数×粗利」で並べ替えます。POSデータと原価データを連携させれば、商品ごとの粗利額・粗利率が一覧で確認できる状態になります。ダイニーであれば、この連携が初期設定段階で完了します。
⚠️ よくある失敗:原価データをPOSに登録していない、または古いままになっている。仕入れ価格が変わっても商品原価を更新していないと、分析結果がズレます。導入前に原価マスタの整備を必ず行うこと。
メニュー収益性改善 STEP 2
4軸(出数・売上・粗利・リピート率)でABCランクを決める
出数だけでなく、粗利とリピート率を軸に加えることで「売れているが儲からないメニュー」「地味だが固定ファンがついているメニュー」が浮かび上がります。この4軸の評価結果を全メニューに適用し、Cランクの候補リストを作成します。
⚠️ よくある失敗:スタッフや常連客の「好きなメニュー」を感情で残してしまう。データの結果を叩き台に、判断はオーナー自身が行うのが正しい順序です。
メニュー収益性改善 STEP 3
Cランクメニューを整理し、90日後に結果を検証する
廃止後は90日間のデータを追います。客単価・注文構成比・原価率・仕込み時間を比較し、メニュー整理の効果を定量的に確認します。思ったより影響がなければ、次の整理候補に着手する。このPDCAを回すことで、メニューは少しずつ「筋肉質」になっていきます。
⚠️ よくある失敗:一度整理して終わりにしてしまう。仕入れ価格は季節や市況で変動するため、ABC分析は最低でも四半期に1回は見直す習慣をつけること。
「LINE友だちが増えて、再来店客数も含めた来店者総数が伸びました。モバイルオーダーを入れてからお客様との接点が増えた感覚があります。」
ダイニング経営者(30代・女性)
まとめ——「メニューを減らす」は勇気の話ではなく、データの話
今回ご紹介したケースで一番大事なポイントは、「メニューを減らす決断ができた理由はデータがあったから」という点です。感覚や思い込みで判断していたら、たぶんこのオーナーは「お客様に怒られそう」「売上が落ちそう」と躊躇したまま、原価率の悪化に手を打てずにいたと思います。
飲食店経営者の方が原価率の悪化に気づいても、「どのメニューが原因か特定できない」「集計が翌月中旬まで出てこない」という状況では、打ち手が常に後手に回ります。自動化されたABC分析は、その構造問題を解消するための最初の一手になり得ます。
私たちは飲食店支援実績610件以上、業界経験21年のなかで、「売上より利益を重視する」という軸を一貫して持ち続けてきました。ツールを売るのではなく、仕組みを整えることに価値があると考えています。
「うちの店でも同じことができるか確認したい」「今使っているシステムで同じ分析ができるか聞きたい」という方は、まずお気軽にご相談ください。導入が合わないと判断した場合は、正直にそうお伝えします。