こんにちは、ハワードジョイマンです。
突然ですが、一つ質問させてください。
あなたの店の「一番人気メニュー」は、本当に「一番儲かっているメニュー」ですか?
実は、飲食店の現場でメニュー収益性を分析してみると、「一番出数が多いメニュー」と「一番利益に貢献しているメニュー」が一致しているケースは全体の3割にも満たない、というのが私のこれまでの支援経験から見えてきた現実です。
売上は前年比110%なのに、通帳の残高が増えない。月末になると「あれ、どこにお金が消えた?」と首をひねる——そんな経験をしている飲食店経営者の方は、今まさにこの「看板メニューの罠」にはまっている可能性があります。
今日は、売れ筋メニューが知らずのうちに利益を食いつぶしていく構造と、そこから抜け出すための考え方をお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 看板メニューが利益を圧迫してしまう仕組みとその原因
- 「売れている=儲かっている」という思い込みを崩す粗利の考え方
- 4軸分析でメニューを正しく評価する方法
- 値上げせずに客単価と利益率を同時に改善するアプローチ
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は落ちていないのに手元に利益が残らないと感じている方
- ✅ 原価率が上がっているが、どのメニューが原因か特定できない方
- ✅ 看板メニューを守ることに必死になっている経営者の方
- ✅ 多店舗展開を考えているが、まず収益構造を整えたい方
- ✅ 値上げせずに客単価を上げる方法を知りたい方

「出数が多い=儲け筋」という思い込みの怖さ
たとえば、こんなケースを考えてみてください。
月に500皿売れるAメニュー(価格980円、原価率42%)と、月に150皿しか売れないBメニュー(価格1,480円、原価率28%)があったとします。
売上で比べると、Aメニューは月49万円、Bメニューは22.2万円。圧倒的にAのほうが「稼いでいる」ように見えます。
でも粗利で計算するとどうか。
Aメニューの粗利は49万円×(1-0.42)=約28.4万円。Bメニューは22.2万円×(1-0.28)=約16万円。ここまでは確かにAが上です。
ところが問題は「提供コスト」です。調理に手がかかる、盛り付けに時間がかかる、食材のロスが出やすい——看板メニューには、こうした「隠れコスト」が集中しやすい。仕込みの工数、廃棄ロス、調理担当者の熟練度への依存……これらをすべて数字に落とすと、Aメニューの実質的な粗利はBメニューを下回るケースが珍しくないのです。
しかも看板メニューは「安くしないと来てもらえない」という心理的プレッシャーが強く、値上げに最も踏み切れないメニューでもあります。結果として、売れれば売れるほど原価と人件費を消費し、気づいたときには「忙しいのに儲からない」状態が慢性化している。
「看板メニューを守ることに必死になっている経営者ほど、実は自分で自分の首を絞めていることが多い。大切なのは、そのメニューが『集客の顔』なのか、『利益の柱』なのかを、感覚ではなくデータで区別することです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所)
原価率だけ見ていても「本当の問題」は見えない
多くの経営者が「原価率が上がっている」という事実には気づいています。でも「どのメニューで上がっているのか」まで特定できている方は非常に少ない。
月次の原価率が全体で33%→38%に上がったとして、それがどこから来ているのかを把握せずに「全体的に食材費が上がったから仕方ない」と片付けてしまうと、打ち手が的外れになります。
私が飲食店の収益改善に入るときに必ず使うのが、「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸でメニューを評価する分析です。これをABC分析と組み合わせて使うと、メニューが以下の4タイプに分類されます。
チェックポイント1:高出数・低粗利メニュー(最も危険なゾーン)
よく売れているが、1皿あたりの粗利が薄い。提供数が多いほど固定費・変動費ともに消費される。多くの場合、これが「看板メニュー」です。
✅ ポイント:このゾーンのメニューは「集客ツール」と割り切り、隣のメニューで利益を補完する設計に切り替えることを検討する。
チェックポイント2:低出数・高粗利メニュー(育てるべきゾーン)
あまり注文されないが、1皿あたりの粗利が高い。認知されていないか、メニュー表での見せ方が弱い可能性が高い。
✅ ポイント:写真・説明文・配置の見直しと、モバイルオーダーの「おすすめ表示」機能を活用することで、出数を引き上げる余地がある。
チェックポイント3:高出数・高粗利メニュー(守るべきゾーン)
店の本当の「儲け筋」。意外と地味なメニューがここに入っていることが多い。
✅ ポイント:このゾーンのメニューを軸に、関連するサイドメニューやドリンクのセット提案を組み込むことで、客単価をさらに伸ばせる。
チェックポイント4:低出数・低粗利メニュー(整理を検討するゾーン)
売れないし儲からない。でも「常連さんのために」「昔からあるから」という理由で残しているケースが多い。
✅ ポイント:メニュー数の削減は、仕込み工数・ロス削減・オペレーション簡素化に直結する。定期的な整理が必要。
✓ ここまでのポイント
- 「出数が多い=利益に貢献している」は思い込みで、粗利・隠れコストまで含めた評価が必要
- 原価率の悪化は「全体」ではなく「メニュー別」で原因を特定しないと打ち手が定まらない
- 4軸分析でメニューを分類すると、守るべき「儲け筋」と整理すべき「コスト源」が明確になる
「値上げしないと客単価は上がらない」は本当か
ここまで読んで「でも、メニュー価格は簡単に変えられない」と感じた方もいると思います。その感覚は正しい。特に看板メニューの値上げは、客離れへの恐怖と隣り合わせです。
でも結論から言うと、値上げをしなくても客単価は上げられます。
鍵は「追加注文の設計」です。
お客さんが最初の注文で満足して帰るのか、それとも「もう一品」「もう一杯」が自然に生まれる流れになっているのか。これは接客スキルの問題ではなく、メニュー構造と注文の導線の問題です。
増益繁盛クラブの会員さんの中には、モバイルオーダーの導入によって「おすすめ商品」の自動表示とオプション提案を組み込んだだけで、来店1組あたりの注文点数が明確に増えたという方がいます。スタッフが「いかがですか?」と声をかけなくても、画面が自然に次の一手を提示してくれる。これが「仕組みによる客単価向上」の正体です。
「モバイルオーダーの導入により、お客様の注文点数が増えました。スタッフが追加提案しなくても、自然に注文が入ってくる感覚です」
居酒屋経営者(40代・男性)
「LINE友だちが増えて、再来店のお客さまが目に見えて増えました。新規だけを追いかけていた頃より、売上が安定してきた実感があります」
ダイニング経営者(30代・女性)
「儲かる仕組み」を作るとはどういうことか
私がコンサルティングの現場でよく言うのが、「がんばらない経営」という言葉です。
これは、楽をしてほしいという意味ではありません。経営者が毎日現場に張り付いて、勘と経験で判断し続けることに依存しない仕組みを作ろう、という意味です。
メニューの収益性分析も同じです。月に一度、手作業でエクセルをこねくり回して「今月の原価率はどうだったか」を確認するのではなく、日次で各メニューの粗利貢献度が自動で見える状態を作る。そうすれば、看板メニューが利益を圧迫しはじめたその週のうちに気づいて手を打てる。
翌月中旬にデータが出て「先月は厳しかった」と分かっても、もう打ち手は間に合わない。経営の意思決定は、常にリアルタイムのデータを土台にする必要があります。
私が現在サポートしているダイニーのシステムは、POSの売上データ・原価・勤怠を一元管理し、商品別の粗利貢献度や売上着地予測をリアルタイムで確認できる仕組みを持っています。支援実績610件以上の飲食店への導入経験をもとに、単なるシステム設置ではなく「現場で使える状態」になるまでの90日間の定着伴走をセットで提供しています。
過去にITツールを入れて使いこなせなかった、という経験がある方ほど、導入後の伴走設計が重要です。ツールを売るのではなく、仕組みが機能する状態にすることが私の仕事だと思っています。
まとめ:看板メニューは「集客の顔」と「利益の柱」を分けて考える
今日お伝えしたことを整理すると、こうなります。
- 売れている=儲かっている、ではない。粗利・隠れコスト・リピート率まで含めて評価する
- 原価率の悪化は「全体」ではなく「メニュー別」で特定しないと対策が的外れになる
- 看板メニューは「集客の顔」として活用しつつ、利益は別のメニューで補完する設計が必要
- 値上げしなくても、注文導線と追加提案の設計で客単価は上げられる
- これらを「仕組み」として動かすには、データがリアルタイムで見える環境が前提になる
「値上げせずに客単価を上げたい」「自分がいなくても正しい判断ができる店にしたい」——そういう理想を持っている経営者の方は、まず自店のメニュー収益性の現状を可視化することから始めてみてください。
どこから手をつければいいか分からない、という方はお気軽にご相談ください。現状のメニュー構成や原価データをもとに、どこに課題があるかを一緒に整理するところから始められます。
また、モバイルオーダーを使ったメニュー収益改善の具体的な活用方法については、こちらから無料でご覧いただけます。
静岡市清水区を拠点に、全国の飲食店経営者の方々をサポートしています。お待ちしております。