「売上は悪くないのに、なんとなく同じ顔ぶれが増えていない気がする」——こう感じながらも、それを数字で確かめる手段を持っていない飲食店経営者の方は、意外なほど多いです。
こんにちは、ハワードジョイマンです。静岡市清水区を拠点に、飲食店の利益改善と店舗DXを支援して21年になります。
今回は、「リピーターが増えているのかどうかすら分からない」という状態から、データ分析によって再来店率を可視化し、CRM施策へとつなげた飲食店の事例をお伝えします。グルメサイトへの掲載料が固定費化してしまっている方や、新規集客に疲弊し始めている方に、特に読んでいただきたい内容です。
📋 この記事でわかること
- リピーターが「見えない」ことで起きる経営上の損失
- データ分析でリピーターを可視化するまでの具体的なプロセス
- 再来店率を改善した飲食店の実例と、その後の変化
- CRM設計を自店に取り入れるための最初の一歩
こんな方におすすめ
- ✅ 新規集客に費用をかけているが、売上が積み上がらないと感じている方
- ✅ 来店客が誰なのかを把握する仕組みがない方
- ✅ グルメサイトの掲載料や広告費を毎月払い続けていて、その効果に疑問を持っている方
- ✅ リピーターを増やしたいが、何から手をつければいいか分からない方
- ✅ 3〜30店舗規模で、顧客データの活用に課題を感じている飲食店経営者の方

「また来てくれたのに、また初めてのお客さんと同じ対応をしていた」
ある居酒屋オーナーから相談を受けたとき、最初にこう言われました。
「先生、うちは立地も悪くないし、料理の評判も悪くない。でも、何度来てくれているかなんて、全然分からないんです。スタッフも覚えていないし、ポイントカードも作ったけど、台帳に手書きで記録するのが限界で……」
3店舗を経営するこのオーナーは、グルメサイトへの掲載料だけで月に15万円超を支払っていました。そのほとんどが新規集客のための費用です。でも、その新規客が2回目に来たかどうかを測る仕組みがまったくありませんでした。
これは珍しいケースではありません。増益繁盛クラブの会員さんの中には、「毎月集客にお金を使っているのに、なぜか売上が積み上がらない」と感じている方が多くいます。その理由の多くが、リピーターの存在を「感覚」でしか把握できていないことにあります。
「来てくれたお客さんを、翌月も翌々月も追いかけられない店は、毎月ゼロからスタートしているのと同じです。新規集客のコストが永遠にかかり続ける構造になっている」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・経営コンサルタント)
データで「誰が何回来ているか」を初めて見えるようにした
このオーナーと取り組んだ最初のステップは、「来店=会員化」の仕組みを作ることでした。具体的には、モバイルオーダーのシステムとLINE公式アカウントを連携させ、注文のたびに顧客データが蓄積される状態にすることです。
リピーター可視化 STEP 1
来店時に自然と会員登録してもらう仕組みを作る
テーブルのQRコードからモバイルオーダーに進む際に、LINE連携を案内。特典(次回使えるドリンク1杯無料など)と引き換えに、ほぼすべての来店客がLINE友だちになる流れを作りました。来店時の摩擦を最小限にしたことで、初月だけでLINE友だち数が200名以上増加しました。
⚠️ よくある失敗:「登録したらポイントが貯まります」という案内だけでは、動いてくれない客が多い。「今日使える特典」をセットにすることが登録率を大きく左右します。
リピーター可視化 STEP 2
コホート分析で「初来店から何日後に再来店するか」を把握する
会員データが蓄積されてきたら、次は再来店率のコホート分析です。初来店日を起点に、30日以内・60日以内・90日以内に再来店した客の割合を追いかけます。このオーナーのケースでは、初来店から30日以内の再来店率がわずか12%であることが判明しました。
「たくさん来てくれているはず」という感覚とは裏腹に、8割以上のお客さんが1回しか来ていなかったのです。この数字を見たとき、オーナーはしばらく黙っていました。
⚠️ よくある失敗:集計をPOSの売上データだけで見ようとすると、「誰が来たか」が追えない。顧客IDと来店履歴を紐づける仕組みが前提として必要です。
リピーター可視化 STEP 3
再来店を「待つ」から「呼びかける」に切り替える
30日再来店率12%という数字が分かれば、打ち手は自ずと決まります。初来店から15日後に「最近どうされていますか?」という内容でLINEを自動配信し、25日後に限定メニューの案内を送る設定にしました。メッセージの開封率は平均42%、配信後1週間での来店率は非配信グループの2.3倍に改善しました。
⚠️ よくある失敗:配信内容が「お得情報」一辺倒になると、徐々に開封率が落ちる。「このお店ならではの話題」や「スタッフからの一言」を混ぜることで、友だちとしての関係が続く。
✓ ここまでのポイント
- 来店客を「顔の見える会員」に変える仕組みがないと、リピーターの存在は永遠に感覚任せになる
- コホート分析を使えば「何割のお客さんが2回目に来ているか」が初めて数字で見える
- 再来店を「待つ」のではなく、タイミングを設計して「呼びかける」ことで再来店率は変わる
実際に数字はどう変わったか
取り組みを始めてから4ヶ月後、このオーナーの3店舗の数字はこう変わりました。
- 30日以内再来店率:12% → 29%
- LINE友だち数:0 → 680名(3店舗合計)
- グルメサイトへの掲載料:月15万円 → 6万円(掲載プランを見直し)
- 1ヶ月の来店者総数:前年同月比 +18%
売上の伸びより、私が注目したのは「グルメサイトへの依存が減ったこと」でした。リピーターが増えれば増えるほど、外部媒体への広告費は圧縮できます。浮いたコストを、既存スタッフへの還元や店舗改善に回せるようになります。
「モバイルオーダーを入れてから、LINE友だちが増えて再来店客数も含めた来店者総数が伸びました。これまでは来てくれたお客さんに何もできていなかったんだと気づきました」
居酒屋経営者・40代男性
「データを見る経営」が習慣になると、何が変わるか
このケースで重要だったのは、オーナー自身が「再来店率」をKPIとして日常的に見るようになったことです。以前は毎月の売上だけを見ていた。でも今は、「今月の新規客のうち、来月また来てくれる割合は何%になりそうか」という視点で経営を見ている。
数字の読み方が変わると、使うお金の使い方も変わります。「新規を集めるための広告費」ではなく、「来てくれた人にまた来てもらうための仕掛けへの投資」——この優先順位が逆転したことが、このオーナーの経営を変えた一番の変化だったと思います。
❌ 以前のパターン(多くの店が陥っている状態)
- 新規来店数だけを追う
- グルメサイト・広告費が毎月固定でかかる
- 来た客が誰かを把握できない
- 再来店率を一度も計測したことがない
✅ データ活用後の状態(目指すべき姿)
- 来店=会員化で、すべての来店客を「顔の見える存在」にする
- 再来店率をKPIに置き、PDCAを回す
- 外部媒体への依存を下げ、自社チャネル(LINE)で呼び戻す
- リピーターが増えるほど、集客コストが下がる構造になる
「モバイルオーダーを導入してから注文点数が増えて、客単価も上がりました。来てくれるお客さんにちゃんと届ける仕組みがあると、こんなに変わるんですね」
ダイニング経営者・50代男性
まとめ:「感覚」を「数字」に変えるところから始める
リピーターを増やしたいという気持ちは、多くの飲食店経営者の方が持っています。でも、「今うちのリピート率は何%ですか?」と聞いたとき、即答できる方はほとんどいません。
測っていないものは、改善できない。これが出発点です。
今回ご紹介したケースも、最初は「なんとなく常連さんが増えていない気がする」という感覚から始まりました。でも、データで見える化したことで打ち手が明確になり、4ヶ月で再来店率を12%から29%まで改善することができました。
私自身、飲食店支援を21年・610件以上続けてきた中で、「グルメサイトへの依存をやめて、自分の顧客データを育てること」が、長期的に安定した売上を作る最も再現性の高い方法だと確信しています。
もし「うちの再来店率、測ってみたい」「CRMって自分の店でもできるのか確認したい」という方がいれば、まずは現状を一緒に確認させてください。ダイニーのモバイルオーダーシステムとCRM機能を組み合わせた導入支援も、ご相談いただけます。
静岡市清水区からも、全国どこからでもオンラインでご対応しています。お気軽にどうぞ。