飲食店の利益率の平均は、業態にもよりますが税引前純利益ベースでおおむね5〜10%が目安です。ただしこの数字、「うちは当てはまらない」と感じる経営者の方がほとんどではないでしょうか。
こんにちは、ハワードジョイマンです。静岡市清水区を拠点に、飲食店経営者の方の利益改善を21年・支援実績610件以上にわたってお手伝いしてきました。
毎年この時期、確定申告や決算を前に「そもそも自分の店の利益率って、普通なの?」という質問を多くいただきます。今日はそうした疑問をまとめて解消できるよう、FAQ形式でお答えしていきます。
📋 この記事でわかること
- 飲食店の利益率の平均と業態別の目安
- 原価率・人件費(FLコスト)が利益に与える影響
- 「売上は良いのに利益が残らない」原因と対策
- 利益率を改善するための具体的なアプローチ
こんな方におすすめ
- ✅ 自店の利益率が業界平均と比べてどうか知りたい方
- ✅ 売上は前年比プラスなのに手元にお金が残らない方
- ✅ 原価率が上がっている原因を特定できていない方
- ✅ FLコストという言葉は知っているが、実際の管理方法がわからない方
- ✅ 3〜30店舗規模で多店舗展開中、または展開を検討している方

飲食店の利益率の「平均」は何%ですか?
結論から言うと、飲食店の税引前純利益率の平均は5〜10%です。ただしこれはあくまで目安で、業態によってかなりばらつきがあります。
おおまかな業態別の目安は以下の通りです。
- 居酒屋・ダイニング:5〜10%
- 焼肉:5〜8%(食材原価が高いため低めになりやすい)
- ラーメン・うどん・蕎麦:10〜15%(回転率が高く人件費を抑えやすい)
- カフェ:3〜7%(客単価が低い分、利益率も出にくい)
- フレンチ・イタリアン:5〜10%(コース販売で客単価を確保できると改善しやすい)
増益繁盛クラブの会員さんの中には、月商350万円だったのが仕組みを整えたことで620万円まで伸び、同時に利益率も大幅に改善したケースもあります。数字の平均を知ることも大事ですが、「自分の店が今どこにいるか」を把握するのが先決です。
原価率と人件費(FLコスト)の目安は?
飲食店の利益構造を語る上で外せないのがFLコストです。FはFood(食材原価)、LはLabor(人件費)の頭文字で、この合計が売上に占める割合を「FL比率」と呼びます。
一般的な目安は次の通りです。
- 食材原価率:30〜35%が目安(焼肉など食材コストが高い業態は35〜40%になることも)
- 人件費率:25〜30%が目安
- FL合計(FL比率):55〜60%以内に収めるのが健全な経営の基準
FL比率が60%を超えると、家賃・光熱費・広告費などその他のコストを払い終えた後に何も残らない状態になりやすくなります。
「原価率を下げろ、と言うのは簡単です。でも私がまず聞くのは『どのメニューの原価率が問題なのか、把握していますか?』という一点です。全体の数字を見ていても、犯人は特定できません」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
✓ ここまでのポイント
- 飲食店の税引前純利益率の平均は5〜10%。業態によって幅がある
- FLコスト(原価率+人件費率)の合計を60%以内に抑えることが利益確保の基本
- 全体の数字だけでなく、メニュー別・店舗別の内訳まで把握することが重要
「売上は上がっているのに利益が残らない」のはなぜですか?
これ、本当によくある相談です。売上が前年より10%増えているのに、通帳の残高が増えていない——その原因は大きく3つに分けられます。
チェックポイント1:原価率が気づかないうちに上がっていませんか?
仕入れ価格の上昇、廃棄ロス、スタッフのまかない費用の増加など、じわじわと原価が上がっているケースが多いです。売上が増えても、それ以上に原価が膨らんでいれば利益は残りません。
✅ ポイント:月次の原価率だけでなく、メニュー別の粗利を「ABC分析」で定期的に確認しましょう。売れ筋=儲け筋とは限りません。
チェックポイント2:人件費が売上の伸びに比例して増えていませんか?
時給を上げた、新しいスタッフが増えた、残業が常態化している——こうした要因が重なると、売上が増えても人件費率が上がり、利益を圧迫します。
✅ ポイント:「売上÷労働時間」で生産性を測る習慣を持ちましょう。モバイルオーダーの導入でオーダーテイクの工数を削減し、同じ人数でより多くのテーブルをフォローできる体制に変えることも一つの手段です。
チェックポイント3:数字が「見えるタイミング」が遅すぎませんか?
月次の数字が翌月中旬にしかわからない、という経営者の方が非常に多いです。先月の失敗を今月中旬に知っても、打ち手は常に後手に回ります。
✅ ポイント:日次で利益を把握できる仕組みに切り替えることで、問題が小さいうちに対処できるようになります。
「モバイルオーダーを導入してから、注文点数が増えて客単価も上がりました。スタッフがオーダーを取りに走り回る時間が減り、お客様との会話が増えたのも良かったです」
居酒屋オーナー(40代・男性)
原価率を改善するには、どこから手をつければいいですか?
「原価率が高い」と気づいても、どこから手をつければいいかわからない——その場合、私がお勧めしているのは次のステップです。
利益改善 STEP 1
メニューを「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸で分類する
売れているメニューと、儲かっているメニューは別物です。ABC分析を使って、どのメニューが利益に貢献しているかを可視化します。たとえば「よく出るけど原価が高い看板メニュー」は、価格設定かレシピの見直しが必要なサインです。
⚠️ よくある失敗:「人気メニューだから原価を下げられない」と思い込み、手をつけないまま原価率の悪化を放置してしまうケース。
利益改善 STEP 2
「値上げせずに客単価を上げる」設計を入れる
価格を変えずに1組あたりの売上を伸ばすには、追加注文の導線・おすすめ表示・オプション訴求が有効です。たとえばモバイルオーダーの画面上で「このメニューに合うドリンク」を自動表示するだけで、注文点数が変わることがあります。
⚠️ よくある失敗:「スタッフに声かけしてもらう」だけに頼り、スタッフの気分や繁忙度によってムラが出てしまうケース。
利益改善 STEP 3
数字の見える化を「日次」に変える
POS・原価・勤怠のデータを1つの基盤に統合し、毎日の利益を確認できる状態を作ります。月末を待たなくても「今月の着地がどうなりそうか」がわかるようになると、経営の打ち手が変わります。
⚠️ よくある失敗:システムを入れただけで終わり、現場が使いこなせず元の手作業に戻ってしまうケース。導入後の定着支援がセットでなければ意味がありません。
❌ よくあるパターン:「とりあえず原価率を全メニュー一律で下げる」
- 品質が落ち、顧客満足度が下がる
- どのメニューが問題だったかが依然として不明なまま
- 対症療法になり、根本原因が残り続ける
✅ 推奨アプローチ:「メニュー別粗利の可視化→儲からないメニューの特定→価格・レシピ・販売比率の調整」という順番で進める
- 改善ポイントが明確になり、現場との議論が具体的になる
- 看板メニューの品質を落とさず、利益率を改善できる
- 店舗間の成績差の原因も同時に特定しやすくなる
利益率の改善に、ITツールやシステムは必要ですか?
「システムを入れれば利益が上がる」とは言いません。ただ、仕組みのない状態で利益を管理しようとすると、人の手間と時間が限界に達します。
特に3店舗以上になると、各店から日報を集めて手作業で集計して……という作業だけで経営者の時間が消えていきます。その時間を、打ち手を考える時間に変えることに意味があります。
増益繁盛クラブの会員さんの中には、月商300万円規模から年商2億5,000万円規模まで成長された方もいます。その差を生んだのは、「早く・正確に数字を把握できる仕組みを持っていたかどうか」という点でした。
「LINE友だちが増えて、再来店客数も含めた来店者総数が伸びました。販促の効果が数字で見えるようになったのが一番大きかったです」
ダイニングバー経営者(50代・男性)
過去にタブレットやアプリを入れたけど誰も使わなかった、という経験がある方も多いと思います。私自身もそういう相談を受けるたびに感じるのは、「導入がゴールになっていた」という共通点です。初期設定の代行から、90日間の定着支援まで一緒に進める体制があるかどうかが、成否を分けます。
まとめ:利益率の「数字」より、「仕組み」を持つことが先決です
飲食店の利益率の平均は5〜10%。でもその数字に近づくためにやるべきことは、「もっとがんばる」ではありません。
- どのメニューが利益を削っているか、把握していますか?
- 売上と原価と人件費を、毎日確認できていますか?
- 新規集客にかけたお金の効果を、数字で追えていますか?
この3つが「ノー」なら、まず仕組みから整えることをお勧めします。
有限会社繁盛店研究所では、飲食店経営者の方向けに利益構造の診断から、モバイルオーダー・CRM・経営管理の一体導入支援まで対応しています。「うちの数字、どこがおかしいのか見てほしい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。