こんにちは、ハワードジョイマンです。
先日、焼肉店を3店舗経営されているオーナーから、こんな相談が届きました。「ジョイマンさん、特定技能の外食が止まるって本当ですか?4号店の計画が完全に狂いました。どうしたらいいでしょう」と。
結論から言うと、政府は2026年4月13日から、特定技能1号における外食業分野の新規受け入れを原則停止すると発表しました。既存の在留資格者への影響は限定的ですが、「これから採用して出店する」というプランは、今までどおりには使えなくなります。
この記事では、その発表が何を意味するのか、出店計画を持つオーナーが今すべき判断は何か、を順を追って整理します。「人を増やして出店する」という方程式に代わる考え方を持っていただけると思います。
📋 この記事でわかること
- 特定技能1号・外食分野の受け入れ停止が、飲食店の出店計画に与える実際の影響
- 「人を採って出店する」という前提を手放すと、何が見えてくるか
- 人手不足の時代に多店舗展開を実現するための、仕組みベースの考え方
- 今すぐ出店計画の軌道修正を始めるための、具体的なステップ
こんな方におすすめ
- ✅ 2号店・3号店を計画中で、スタッフ確保に課題を感じているオーナー
- ✅ 特定技能人材の採用を前提に出店計画を立てていた飲食店経営者
- ✅ 人手不足を理由に出店のタイミングを先送りにしている方
- ✅ 「採用が整えば出店できる」と考えているが、本当にそうか確認したい方
- ✅ 既存店の運営を効率化しながら多店舗展開を目指したい方

特定技能1号の外食分野受け入れ停止とは、何が変わるのですか?
2026年4月13日より、特定技能1号の「外食業」分野での新規受け入れが原則停止となりました。これは、国内の雇用市場への影響や業種別の受け入れ状況の見直しを受けた措置です。すでに在留している特定技能人材がすぐにいなくなるわけではありませんが、「これから特定技能で採用して新店を回す」という計画は、事実上の前提崩壊と受け止めるべきです。
飲食業界では、特定技能1号の活用が出店戦略と直結していたケースが少なくありません。「店長候補の日本人スタッフ1名+特定技能2〜3名」という構成で新店を回すモデルが、特に居酒屋・焼肉・中華業態で定着していました。今回の停止は、そのモデルが使えなくなることを意味します。
「では、出店を諦めるしかないか」というと、そうではありません。問題は採用手段が一つ消えたことではなく、そもそも「人を前提に出店を設計していた」こと自体にあると私は考えています。
「人を採って出店する」という発想は、今も正しいですか?
正直に言うと、人口動態と労働市場を踏まえると、この前提はすでに危うくなっています。
構造的な人手不足は今に始まった話ではありませんが、特定技能の停止はその流れをさらに加速させます。求人を出せば来た時代と、募集をかけても応募ゼロが続く今では、出店のルールが根本から違います。
私が21年間、飲食店の経営をそばで見てきた実感として言えるのは、「人が揃ったから出店できた」ではなく、「仕組みが整ったから人が少なくても回せた」という順番で成功しているオーナーが増えているということです。
「採用できれば出店する、という考え方は、永遠に出店できない考え方かもしれません。人がいなくても回せる店の作り方を先に設計する。それが今の多店舗展開の現実です」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・利益倍増アドバイザー)
増益繁盛クラブの会員さんの中には、スタッフの採用を一旦止めて、オペレーションの見直しと予約管理の仕組み化を先行させたことで、既存店の利益率が上がり、その利益を原資に出店を実現したオーナーがいます。順番が逆だったのです。
✓ ここまでのポイント
- 特定技能1号・外食分野の新規受け入れが2026年4月から原則停止。既存の出店モデルが成立しなくなるケースがある
- 「人を前提にした出店計画」は、構造的人手不足の時代には再設計が必要
- 「仕組みが先、採用は後」という順番で考えると、出店の現実的な道筋が見えてくる
人を増やさずに出店するには、何を整えればいいですか?
ここが、今回の相談で最も大切な部分です。「人を増やさずに店を増やせる状態」を作るには、大きく3つの要素を整える必要があります。
出店準備 STEP 1
電話対応をシステムに渡す
飲食店の平均電話不応答率は約20%というデータがあります(株式会社エビソル「ebica」予約データ、利用店舗100店平均)。10件に2件が繋がっていません。これは採用が増えても解決しません。ピークタイムに手が空くスタッフはいないからです。AIが予約電話を24時間応対する仕組みを入れることで、スタッフの電話番業務をゼロに近づけられます。新店でも同じ仕組みを導入すれば、電話対応のために人を配置する必要がなくなります。
⚠️ よくある失敗:「ウチはまだ大丈夫」と放置したまま新店を開けると、電話対応の手薄さが新店の評判を一気に下げます。1号店と同じ問題が、新店では2倍のスピードで顕在化します。
出店準備 STEP 2
配席ルールと顧客情報を「仕組み」に翻訳する
1号店が回っているのは、オーナー自身の判断力があるからです。「あのテーブルはあの常連さん用に残しておく」「金曜の夜は大人数を断る」——この判断は、頭の中にしかない限り、新店には持ち出せません。配席のルールをシステムに登録し、常連客の好みやアレルギーを顧客台帳に蓄積する。これをやると、新店のスタッフも初日から「同じおもてなし」ができるようになります。
⚠️ よくある失敗:「スタッフに口頭で伝えれば伝わる」と思ってしまうこと。口頭の引き継ぎは、離職と同時に消えます。
出店準備 STEP 3
予約と空席情報をリアルタイムで一元管理する
本部から各店の状態が見えない経営は、事後報告に頼るしかありません。スマートフォンで各店の予約状況・空席状況がリアルタイムで確認できる環境を整えると、オーナーが現場にいなくても必要な判断だけ介入できます。「任せているのに不安で結局自分が入ってしまう」という状況の根本原因は、情報が見えないことです。
⚠️ よくある失敗:店長に権限を渡したつもりで、判断基準を渡していない。基準がなければ、店長は判断できず、オーナーは不安になる。この悪循環が多店舗展開の失速を生みます。
「月商300万円から始まったお店が、年商2億5,000万円規模まで育った会員さんがいます。その方も最初から人が揃っていたわけではありません。仕組みを先に整えたから、採用への依存度が下がり、出店のスピードが上がったんです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・利益倍増アドバイザー)
出店を先送りにしている間に、何かできることはありますか?
「人が揃うまで待つ」は、事実上「永遠に待つ」に近い選択になりつつあります。であれば、出店を先送りにしている間にやるべきことは明確です。
❌ よくあるパターン:採用待ちで出店を保留する
- 求人コストが積み上がり続ける
- 出店タイミングを逃す
- 1号店の仕組み化も進まないまま時間だけが過ぎる
- 結局、採用が決まっても仕組みがないから新店でも同じ問題が起きる
✅ 推奨アプローチ:先送り期間を「仕組み整備期間」として使う
- 1号店の予約導線・電話対応・配席ルール・顧客台帳を整備する
- 取りこぼしている予約を拾うだけで、今の売上が改善する場合がある
- 1号店で仕組みが回り始めると、新店への展開が格段に速くなる
- 「人なしで回せる店の設計図」が出来上がってから出店するので、再現性が高い
支援実績飲食店610件以上のなかで繰り返し見てきたのは、1号店の仕組みが整った段階で出店したオーナーは、2号店の立ち上がりが早く、3号店以降もブレが少ないという事実です。逆に、仕組みが整わないまま出た2号店は、オーナーが両方の現場に引っ張られて、どちらも中途半端になる。
「月商350万円から620万円に伸びた飲食店オーナーも、最初の取り組みは売上を増やすことではなく、取りこぼしをなくすことでした。今ある需要を、ちゃんと受け取れる状態にする。それだけで数字は変わります」
会員(飲食店経営者・40代)
今の出店計画を見直すには、どこから手をつければいいですか?
「特定技能が止まった。でも出店はしたい」という状況で、最初にやるべきことを一つだけ挙げるとすれば、「1店舗あたりの取りこぼしを数字で把握すること」です。
電話不応答率・グルメサイトへの手数料の実額・自社予約の比率——これらを把握していないまま出店すると、赤字の構造を複製することになります。逆に言えば、これらを把握した上で仕組みを整えれば、「人が少なくても回る店の設計図」が先にできます。
チェックポイント1:電話不応答の機会損失を計算しているか
月間入電数 × 不応答率 × 予約電話割合 × グループサイズ × 客単価。この計算をしたことがありますか?不応答率20%で月間100件の入電がある店は、毎月20件の予約を取りこぼしている可能性があります。
✅ ポイント:まず1号店でこの数字を出してみてください。取りこぼしが可視化されると、新店で同じ問題を繰り返さないための対策が立てやすくなります。
チェックポイント2:予約の流入経路を把握しているか
どの媒体経由で何件の予約が入り、1件あたり実質いくら払っているかを計算したことがありますか?これが分からないまま新店を出すと、手数料コストだけが店舗数に比例して膨らみます。
✅ ポイント:自社集客率(有料媒体に頼らない予約の比率)を指標として持つことが、出店拡大の前提になります。
チェックポイント3:1号店の成功要因が言語化されているか
「なぜ1号店がうまくいっているか」をスタッフに説明できますか?「なんとなく雰囲気がいい」「自分がいるから」——これは言語化されていない状態です。言語化されていないものは、新店に持ち出せません。
✅ ポイント:配席ルール・常連客情報・電話対応の手順を「仕組み」として文字・システムに落とすことが、再現性の確保につながります。
まとめ:人手不足の時代の出店戦略は「仕組みを先に作る」こと
特定技能1号・外食分野の受け入れ停止は、確かに出店計画に影響を与えます。ただ、私が21年間で支援してきた飲食店経営者の多くは、採用が整ったから成功したのではなく、仕組みが整ったから採用への依存を減らせた、という順番で成長しています。
人が採れないことを嘆くのではなく、人が少なくても回る設計を先に作る。電話対応をシステムに渡す、配席ルールを登録する、顧客情報を台帳に蓄積する——こうした積み重ねが、出店の再現性を高めます。
今の出店計画を見直したいオーナーには、まず「現状の取りこぼしを数字で把握すること」をおすすめしています。予約管理システム「ebica(エビカ)」の活用を含めた、予約・集客の現状診断を無料で受け付けています。出店の前に、今の1店舗で何が起きているかを一緒に確認させてください。
ご相談・お問い合わせは、お気軽にどうぞ。一人で抱え込まずに、まず現状を見える化するところから始めましょう。
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