こんにちは、ハワードジョイマンです。
突然ですが、少し驚く話をさせてください。
私がこの21年間でコンサルティングを担当してきた飲食店の中で、「2号店を出して業績が悪化した」という経験をしたオーナーの割合は、体感で言えば半数近くに上ります。しかも、そのほとんどが「1号店が絶好調だったタイミング」に出店を決めていた。
繁盛しているから増やしたい。その気持ちは至極まっとうです。問題は「タイミング」ではなく、「準備の中身」にあります。
この記事では、出店を検討しているオーナーに向けて、「当てはまったら一度立ち止まってほしい」5つの確認項目を、チェックリスト形式でお届けします。1号店が繁盛しているからこそ、冷静に見てほしい内容です。
こんな方におすすめ
- ✅ 2号店・3号店の出店を検討しているオーナー
- ✅ 2号店を出したものの、1号店と同じ結果が出ていない方
- ✅ 「なぜ1号店は繁盛しているのか」を言語化できていない方
- ✅ 売上は伸びているのに利益が残らないと感じている方
- ✅ 出店の前に「失敗リスクを下げる視点」を持ちたい方
📋 この記事でわかること
- 多店舗展開で失敗するオーナーに共通する「準備不足の5つのパターン」
- 「繁盛している」だけでは出店してはいけない理由
- 出店前に整えるべき仕組みと、その具体的な中身
- 「再現性のある繁盛」をつくるためのアプローチ

なぜ「繁盛店の2号店」が失敗するのか
私が市役所を辞めてコンサルタントとして独立した後、無給でイタリアンレストランに修行に入っていた時期があります。その店のオーナーは腕も人柄も一流で、地元では評判の繁盛店でした。でも2号店を出した途端、1号店のクオリティまで落ちてしまった。当時の私にはその理由が分からなかった。
21年間この仕事をして、ようやく言語化できた答えがあります。
「1号店が繁盛していた理由のほとんどは、オーナー自身の『その場の判断力』にある。才能はコピーできない。仕組みだけがコピーできる。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所)
つまり、出店前に確認すべきは「物件の良し悪し」や「エリアのポテンシャル」の前に、「自分の成功パターンが仕組みとして人に渡せる状態になっているか」です。
当てはまったら要注意——出店前の5つのチェック項目
以下の項目に、いくつ当てはまるか確認してみてください。
チェックポイント1:「なぜうちの店が繁盛しているのか」を、他人に説明できない
「立地がいいから」「料理がおいしいから」「常連さんに恵まれているから」——それは理由ではなく、結果です。繁盛の原因を因数分解できていない店は、2号店でその再現をスタッフに任せることができません。予約の取り方、接客の手順、繁忙期の動き方。これらが「オーナーの頭の中にしかない」状態で出店すると、新店は毎回ゼロから属人的に積み上げることになります。
✅ ポイント:出店前に「1号店の勝ちパターン」を文章と数字で書き出す。予約の流入経路、来店頻度の高い客層、売上の多い曜日・時間帯など、データで語れる部分から始めてみましょう。
チェックポイント2:常連客の情報が、自分の頭の中にしかない
「Aさんはアレルギーがある」「Bさんは窓側の席が好き」「Cさんは誕生日が〇月」——これを覚えているのが自分だけなら、自分がいない店では再現できません。属人化した接客は、1号店では「強み」ですが、2号店では「弱点」になります。顧客情報が台帳として蓄積されていない店は、スタッフに引き継げる「おもてなし」を持っていない状態です。
✅ ポイント:来店履歴・好み・アレルギー情報を顧客台帳として管理し、電話や予約時に自動で呼び出せる仕組みを入れておくと、新店のスタッフでも同じ接客が再現できます。
チェックポイント3:グルメサイトへの依存度を把握していない
今の予約の何割が食べログやホットペッパー経由ですか? その1件あたりの実質手数料はいくらですか?
この数字を即答できないオーナーは、多店舗展開で危険な罠にはまりやすい。店舗数が増えれば掲載費は比例して増え、送客手数料もその分膨らみます。しかし集客力が同じ比率で伸びるわけではない。結果、売上が上がっているのに利益が残らない状態に陥ります。
✅ ポイント:「予約全体に占める媒体経由の比率」と「自社集客率」を月次で追う習慣をつけましょう。この2つの指標が見えていないまま出店すると、赤字構造を複製するだけになります。
チェックポイント4:ピークタイムに電話を取り逃がしている
飲食店の平均電話不応答率は約20%というデータがあります(株式会社エビソル「ebica」予約データ、利用店舗100店平均)。10件のうち2件が、繋がっていない。しかも、ほとんどのオーナーはその事実を把握していません。
1号店でこの問題を放置したまま2号店を出すと、取りこぼしは単純に2倍になります。人を増やして解決しようとしても、採用コストと人件費がかさむだけです。
✅ ポイント:出店前に「月間の機会損失額」を試算してみてください。計算式は「月間入電数 × 不応答率 × 予約電話割合 × グループサイズ × 客単価」です。この数字が見えると、対策の優先順位が変わります。
チェックポイント5:店長に「判断基準」を渡せていない
「権限は渡している」というオーナーでも、実際には「結局自分が判断している」ケースがほとんどです。問題は店長の能力ではなく、判断の基準が明文化されていないことにあります。配席のルール、クレーム対応の手順、値引き判断の基準——これらがオーナーの感覚だけで動いている店は、新店に「店長」を置いても機能しません。
✅ ポイント:配席ルールをシステムに登録し、新人でも同じ判断ができる状態を作ること。オーナーはリアルタイムで各店の状況をスマートフォンから確認し、必要な時だけ介入するスタイルが多店舗運営の現実的な形です。
✓ ここまでのポイント
- 繁盛の理由が言語化されていないと、2号店では再現できない
- 顧客情報・集客構造・電話応対が属人化したまま出店すると、問題が2店舗分に増える
- 店長に任せるには「判断基準」の明文化が先決。能力の問題ではない
「準備が整っている」とはどういう状態か
結論から言うと、出店に向けた準備が整っている状態とは、「オーナーがいなくても1号店が同じパフォーマンスを出せている」ことです。
そのためのステップを整理します。
多店舗展開 STEP 1
1号店の集客構造を可視化する
予約の流入経路ごとに件数と手数料コストを計測し、「どの媒体が本当に機能しているか」を数字で把握します。グルメサイト依存度・自社集客率・電話不応答率の3指標が見えていれば、経営の地図が描けます。
⚠️ よくある失敗:「だいたい食べログが多いと思う」という感覚頼りのまま出店し、新店でも同じ構造を複製してしまうこと。
多店舗展開 STEP 2
顧客情報と接客の「仕組み」に変換する
常連客の来店履歴・好み・アレルギー情報を台帳に落とし、スタッフが呼び出せる状態にします。配席ルール・クレーム対応・繁忙時の優先順位も、マニュアルではなく「ルールとして動くシステム」に組み込みます。
⚠️ よくある失敗:マニュアルを作るだけで終わり、現場では使われない。ルールをシステムに組み込んで初めて「仕組み」になります。
多店舗展開 STEP 3
電話・予約・空席管理をシステムに移す
人が増えることを前提にした設計から脱却し、電話対応・在庫管理・空席表示を仕組みで動かせる状態を作ります。この土台が整って初めて、「人を増やさずに店を増やす」という選択肢が生まれます。
⚠️ よくある失敗:新店の立ち上げに集中するあまり、1号店の仕組みを整える前に出店してしまう。1号店が揺らぐと全体が危うくなります。
「出店のタイミングは、繁盛が続いている間ではなく、仕組みが完成した瞬間です。2つは必ずしも同時には訪れません。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所)
実際に仕組みを整えたオーナーはどう変わったか
私が主宰する会員制サポート「増益繁盛クラブ」の会員さんの中には、月商300万円の飲食店からスタートし、現在は年商2億5,000万円規模にまで成長した方がいます。最初から多店舗展開を目指したわけではありません。まず1号店の集客構造を整え、数字で語れる勝ちパターンを作り、そこから丁寧に展開していったケースです。
「月商350万円が620万円になったのは、新しいことを始めたからじゃなくて、取りこぼしていたものを拾えるようになったからだと思います。」
飲食店オーナー(40代・男性)
数字だけを追うと派手に見えますが、実態は「今まで逃していた予約をきちんと受けられるようにした」「手数料のかかる予約を、手数料のかからない自社予約に少しずつ移した」という、地道な積み上げです。
リピート率が38%から71%まで上がった会員さんも、特別なキャンペーンを打ったわけではありません。顧客情報を台帳に蓄積し、来店したお客様と直接つながれる導線を整えた結果です。
増やすことよりも、「残すこと」が先。この順序が大切です。
まとめ——5項目に当てはまったら、今すぐやること
改めて、今回の5項目を振り返ります。
- 繁盛の理由を他人に説明できない
- 常連客の情報が自分の頭の中にしかない
- グルメサイト依存度を把握していない
- ピークタイムに電話を取り逃がしている
- 店長に「判断基準」を渡せていない
1つでも当てはまったら、出店を止める必要はありません。ただ、出店と並行して仕組みを整えようとすると、ほぼ確実にどちらも中途半端になります。当てはまった項目から順に、出店前に手をつけてほしいのです。
「どこから手をつければいいか分からない」という方には、まず現状の予約・集客の構造を診断することをおすすめしています。グルメサイト依存度・電話不応答率・自社集客率・Googleの予約導線の4つを可視化するだけで、優先順位はかなりはっきりします。
私たちは静岡・清水を拠点に、全国の飲食店経営者の支援実績610件以上を積んできました。「仕組みが整っていないまま出店して苦しんでいる」という状況の立て直しも数多く経験しています。
多店舗展開を前向きに、かつ失敗リスクを下げたい方は、まず一度ご相談ください。数字を見ながら、あなたの店に合った順序を一緒に考えます。
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多店舗展開の「その前にやること」を、一緒に整理しましょう。お待ちしております。