着実な多店舗展開

飲食店のエリアマネージャーは、何をする人ですか?

こんにちは、ハワードジョイマンです。

飲食店の多店舗展開において、意外と曖昧なままにされている役職があります。それが「エリアマネージャー」です。求人票には「エリアマネージャー候補を募集」と書かれていても、その役割を明確に言語化できているオーナーは、私の経験上、全体の3割にも満たないのが現実です。

エリアマネージャーが「何をすべき人か」が定義されていないまま任命されると、結局はオーナーが現場に引き戻されるか、現場が統制を失うかのどちらかに陥ります。この記事では、飲食店のエリアマネージャーとは何者なのか、店長との違い、求められる役割、そして「任せられる状態」をどうつくるかを順に整理していきます。

こんな方におすすめ

  • ✅ 2〜3店舗目を展開中で、現場管理が追いつかないオーナー
  • ✅ エリアマネージャーを置いたが、うまく機能していないと感じている方
  • ✅ 店長に任せたいのに、結局自分が動いてしまう状況から抜け出したい方
  • ✅ 多店舗展開の「勝ちパターン」を仕組みとして整備したい経営者
  • ✅ 将来的に5店舗・10店舗規模へのスケールを考えている方

📋 この記事でわかること

  1. 飲食店のエリアマネージャーの定義と、店長との本質的な違い
  2. エリアマネージャーに求められる具体的な役割・行動
  3. 「任せられない」が起きる構造的な原因と、その解決のアプローチ
  4. エリアマネージャーが機能する組織をつくるための仕組み化のポイント
飲食店のエリアマネージャーは、何をする人ですか? | 有限会社繁盛店研究所(飲食店向け予約管理システム「ebica」正規代理店)

エリアマネージャーとは、何をする役職ですか?

一言で言えば、「複数店舗の業績と品質を、現場に入らずに管理する人」です。

店長は「自分の店」を動かす人。エリアマネージャーは「複数の店長」を動かす人。この違いは一見シンプルに見えますが、求められる思考と行動のレベルがまったく異なります。

店長は現場に立ち、その日のオペレーションを回すことが仕事です。一方、エリアマネージャーは現場に常駐するのではなく、各店舗の数字・状態を定点で把握し、問題が起きる前に手を打ち、店長の意思決定を支援する役割を担います。

飲食チェーンで一般的に言われるエリアマネージャーの管掌範囲は「3〜8店舗程度」とされていますが、個人経営の多店舗展開では2店舗目から「誰かがエリアを見る機能」が必要になります。その役割をオーナー自身が担うケースが多いですが、それでは経営者が現場業務から抜け出せません。

店長との違いは何ですか?

この問いに答えるとき、私がよく使う表現があります。「店長は木を見る人、エリアマネージャーは森を見る人」というものです。

店長が判断するのは「今日の仕込みをどうするか」「シフトの穴をどう埋めるか」です。エリアマネージャーが判断するのは「この店舗の月次の数字が悪化している原因は何か」「この店長の育成に今何が必要か」です。

❌ よくある「エリアマネージャー」の実態

  • 実質的には「最も動ける店長」として各店を巡回しているだけ
  • 問題が起きたときだけ呼ばれ、火消し役に終始する
  • KPIが設定されておらず、何をもって「成果」か定義されていない
  • 店長との役割の境界が曖昧で、店長の権限が育たない

✅ 本来のエリアマネージャーの動き方

  • 週次・月次で各店舗の数字(売上・客数・客単価・FLコスト比率)を定点観測する
  • 店長の判断基準を育てる「1on1面談」を定期的に実施する
  • オーナーの経営方針を各店舗に「翻訳」して落とし込む
  • 現場に入るのは観察と育成のためであり、オペレーションの補填のためではない

✓ ここまでのポイント

  • エリアマネージャーとは「複数の店長を動かす人」であり、現場に立つ人ではない
  • 店長との違いは「現場のオペレーション」か「複数店舗の経営管理」かという視点の違い
  • 機能していないエリアマネージャーの多くは、役割の定義と判断基準が曖昧なままになっている

エリアマネージャーが機能しない原因は何ですか?

結論から言うと、多くの場合「任せる仕組み」がないまま「任せる人」だけを置いているからです。

「権限を渡したつもりだが、結局自分が現場に入っている」というオーナーの声をよく聞きます。でも問題は、その人の能力ではないことがほとんどです。任せるべき判断基準が言葉になっていないから、相手は判断できないし、オーナーは不安になる。その構造を直さない限り、誰を任命しても同じことが繰り返されます。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 増益繁盛クラブ主宰)

具体的には、次のような状態が「任せられない」を生んでいます。

チェックポイント①:配席・予約のルールが言語化されていない

「あの常連さんはいつも窓際の席を好む」「土曜の夜は大人数を奥に通す」——こうした判断がオーナーの頭の中にしかない状態では、エリアマネージャーも店長も同じ品質の接客を再現できません。

✅ ポイント:来店履歴・席の好み・アレルギーを顧客台帳として蓄積し、誰が対応しても同じ情報を参照できる状態にすることが出発点です。

チェックポイント②:各店舗の状況がリアルタイムで把握できていない

エリアマネージャーが「今日の各店の状態」を店長からの報告でしか知れない場合、情報は必ず遅れます。問題が可視化されるのは、悪化した後になります。

✅ ポイント:スマートフォンから各店の予約状況・空席状況をリアルタイムで確認できる状態をつくることで、介入すべきタイミングを早期につかめるようになります。

チェックポイント③:店長の「判断基準」が属人化している

優秀な店長ほど「自分の勘」で動いています。その勘をルールに翻訳しないまま「あとは任せた」とすると、次の店長は同じ水準を出せません。

✅ ポイント:配席のルール・クレーム対応の手順・割引判断の基準をドキュメントとして標準化し、新しい店長でも再現できる形にすることが必要です。

エリアマネージャーを育てるには、何から始めるべきですか?

順序が重要です。「人を育てる」前に「仕組みを整える」が先です。

多店舗展開の仕組み化 STEP 1

1号店の「勝ちパターン」を言語化する

なぜ1号店が繁盛しているのか、その要因を棚卸しします。予約の導線・ピーク時の動き方・常連客への接し方・メニューの打ち出し方——これらをエリアマネージャー候補と一緒に言語化するプロセス自体が、次世代の育成になります。

⚠️ よくある失敗:「なんとなくうまくいっている」という感覚だけで2号店に踏み出し、1号店の成功要因がどこにあったのか分からないまま展開してしまうケース。才能はコピーできませんが、ルールはコピーできます。

多店舗展開の仕組み化 STEP 2

数字の管理基準を設定し、エリアマネージャーが追うKPIを決める

売上・客数だけでなく、「自社予約比率」「電話不応答率」「リピート率」など、利益に直結する指標を設定します。この数字を週次で追うことで、エリアマネージャーは「何を改善すべきか」の優先順位が見えるようになります。

⚠️ よくある失敗:月次の売上だけを報告するミーティングに終始し、問題の打ち手が「もっとがんばれ」になってしまうケース。数字は「何が起きているか」を見るためにあります。

多店舗展開の仕組み化 STEP 3

エリアマネージャーの「介入ルール」を決める

いつ、どんな状態になったら、エリアマネージャーが現場に入るか——この基準がないと、エリアマネージャーは「常に現場に引っ張られる人」になります。例えば「FLコスト比率が2ヶ月連続で目標を5%超えたら現地確認する」といった基準を設けることで、現場依存から抜け出せます。

⚠️ よくある失敗:エリアマネージャーが現場の人手不足を埋めるためにシフトに入るようになり、本来の管理業務をする時間がなくなるケース。

「月商350万円が620万円になった、リピート率が38%から71%になった——こういう変化は、売上を追いかけた結果ではありません。仕組みを整えた結果です。エリアマネージャーを育てることも同じで、その人の能力より先に、その人が機能できる環境をつくることが経営者の仕事です。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 増益繁盛クラブ主宰)

「2号店、3号店と出してきましたが、正直ずっと自分が見ていないと不安でした。仕組みを整えて初めて、店長に任せられるという感覚が生まれました。」

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エリアマネージャーがいなくても多店舗を管理できますか?

「人を増やす前提を捨てる」という発想も、今の時代には重要な選択肢です。

政府は飲食業分野での特定技能1号の受け入れを2026年4月から原則停止する方針を示しており、「人を採って店を増やす」という方程式は、構造的に成立しにくくなってきています。

エリアマネージャーという人を置く前に、「エリアマネージャーがやるべき業務の一部を仕組みに置き換える」という考え方があります。

たとえば、各店舗の予約状況をスマートフォンから一元確認できる状態をつくれば、わざわざ各店に電話して状況を確認する手間がなくなります。電話不応答を自動で対応するAIが導入されていれば、ピークタイムにエリアマネージャーが「電話が取れているか」を心配する必要もなくなります。

私が飲食店610件以上の支援をしてきた中で感じるのは、多店舗展開で行き詰まる多くのケースは「人の問題」ではなく「情報の問題」だということです。各店の状態がリアルタイムで見えていれば、少ない人数でも適切な意思決定ができます。

まとめ:エリアマネージャーを機能させるために、今できることは?

飲食店のエリアマネージャーとは、「複数店舗の業績と品質を、現場に入らずに管理する人」です。ただし、その人を育てる前に整えるべきことがあります。

  • 1号店の勝ちパターンを言語化する
  • 各店舗の状況をリアルタイムで可視化する
  • 判断基準をルールとして標準化し、誰でも再現できる形にする

「任せたいのに任せられない」という状況は、その人の力量より先に、仕組みの問題であることがほとんどです。仕組みを先に整えることで、エリアマネージャーは初めてその本来の役割を果たせるようになります。

もし「うちの多店舗展開、どこから手をつけるべきか分からない」と感じているなら、まず現状を整理するところから始めてみてください。予約・集客の数字から見えてくる課題は、思った以上に具体的です。

お気軽にご相談ください。一緒に整理しましょう。

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