着実な多店舗展開

2号店が回らないのは、スタッフの練度のせいではありません

こんにちは、ハワードジョイマンです。

先日、福岡で焼肉店を3店舗経営されているオーナーさんと、オンラインで2時間ほど話し込む機会がありました。

「ジョイマンさん、正直に言うと、2号店のスタッフが使えなくて困っています。同じことを教えているはずなのに、1号店と全然違う。もう一度スタッフを入れ替えようかと思っているんですが……」

そう打ち明けてくれたとき、私は「少し待ってください」と話を遮りました。

なぜなら、この相談を私はこれまで何十回と聞いてきたからです。そして、スタッフを入れ替えて問題が解決したケースを、私はほとんど知らないからです。

結論から言うと、2号店が回らない理由の大半は、スタッフの練度ではありません。原因は別のところにあります。この記事では、その正体と、再現性を高めるための考え方を整理します。

📋 この記事でわかること

  1. 「スタッフのせい」に見えて実は違う、2号店失敗の本当の原因
  2. 1号店の成功が「オーナーの才能」に依存していた場合に何が起きるか
  3. 再現性を持たせるための3つの言語化ステップ
  4. 予約データと顧客台帳が多店舗展開に果たす役割

こんな方におすすめ

  • ✅ 2号店・3号店を出したいが、再現できるか不安な繁盛店オーナー
  • ✅ すでに2号店を出したが、1号店と同じ結果が出ずに悩んでいる方
  • ✅ 店長に任せたいのに、結局自分が現場に入ってしまっている方
  • ✅ 売上は伸びているのに、店舗数の割に利益が残らないと感じている方
2号店が回らないのは、スタッフの練度のせいではありません | 有限会社繁盛店研究所(飲食店向け予約管理システム「ebica」正規代理店)

1号店が回っていたのは「仕組み」があったからではなかった

先ほどの福岡のオーナーさんとの会話に戻りましょう。

私は「1号店が繁盛し始めた頃、あなた自身は毎日何時間、現場にいましたか」と聞きました。

しばらく間があって、「……ほぼ朝から閉店まで、ずっといました」という答えが返ってきました。

これが、すべてを説明しています。

1号店が回っていたのは、オーナーが常にいたからです。常連さんの好みを覚えていたのはオーナー。繁忙時間帯に配席を瞬時に判断していたのもオーナー。クレームが出たときに空気を読んで動いていたのも、オーナー本人でした。

これは才能と呼んでもいい。しかし才能はコピーできません。

2号店に配属されたスタッフは、練度が低いのではなく、「判断する材料」を持っていないのです。どのテーブルにどの順で案内するか。何分待っているお客様に声をかけるか。常連さんに何を話しかけるか。そのすべてが、オーナーの頭の中にしかなかった。

「スタッフを変えると、一時的に少し良くなります。でも半年後にはまた同じ状態になる。それは人の問題ではなく、仕組みがないことの問題です。仕組みがない場所では、誰が来ても同じことが繰り返されます。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・経営コンサルタント)

「あなたの勘」を翻訳する3つのステップ

では、どうすればいいのか。私がコンサルティングの現場でオーナーさんと一緒に取り組むのは、「オーナーの頭の中にあるものを、言葉と仕組みに置き換える」作業です。具体的には3つのステップがあります。

再現性構築 STEP 1

配席の「勘」をルールにする

「このグループには奥のテーブルが合う」「カップルには窓際を優先する」——そういう判断、意識せずにやっていませんか。それをルールとして書き出す。「2名・カップル風の場合、窓際A・Bを優先。満席の場合はカウンター左端を案内する」という形で言語化するだけで、新人でも同じ判断ができるようになります。

⚠️ よくある失敗:「状況による」で済ませてしまうこと。状況のパターンを5〜10通り書き出せば、ほとんどのケースはカバーできます。

再現性構築 STEP 2

常連客の情報を台帳に移す

「来店履歴・好みのメニュー・アレルギー・誕生日・記念日」——これがオーナーの頭の中にある間は、オーナーが休めません。電話予約のタイミングや来店時に一言確認してデータに残す習慣をつくれば、2号店のスタッフが「初めて会うお客様」に対して、1号店と同じおもてなしができるようになります。

⚠️ よくある失敗:「予約システムに入力する手間がかかる」と後回しにすること。入力は1回で済みますが、属人化した記憶は1人が辞めた瞬間に消えます。

再現性構築 STEP 3

予約の流れを「見える化」する

オーナーが1号店で何気なくやっていたこと——「今日は19時に6名の予約が入っているから、17時台を少し抑える」という判断——これは予約全体を頭で把握しているからできる技です。スタッフにその把握はできません。予約状況をリアルタイムで可視化するシステムがあれば、その判断はスタッフでもできるようになります。

⚠️ よくある失敗:「うちは小さい店だから紙の台帳で十分」と思い込むこと。小さいうちにデジタルに移行するほうが、多店舗展開時の移行コストは圧倒的に小さく済みます。

✓ ここまでのポイント

  • 2号店の不振はスタッフの能力ではなく「仕組みのなさ」に原因がある
  • オーナーの「勘」は才能であり、そのままではコピーできない
  • 配席ルール・顧客台帳・予約の見える化の3つが再現性の土台になる

「1号店の成功」を解剖するインタビュー法

福岡のオーナーさんとの対話に戻ります。私が提案したのは、スタッフの入れ替えではなく、「1号店の成功を解剖するインタビュー」でした。

具体的には、オーナー自身に「1号店で一番繁盛していた日」を再現してもらいます。その日、何時に何をしたか。どのお客様に何を話しかけたか。厨房に何を伝えたか。どの席をどの順で使ったか。

これを聞き出すと、多くのオーナーが初めて自分の「勝ちパターン」に気づきます。

「あ、自分って毎回これをやってたんだ」

その気づきが、言語化の始まりです。

インタビューの手法は、実はお笑い芸人時代に鍛えたものが役に立っています。漫才は「言葉にしないと伝わらない」世界です。自分の中にある「おかしいと感じた感覚」を、他人が笑える言葉に翻訳する作業——これはコンサルティングで「暗黙知を形式知にする」プロセスと本質的に同じです。

再現性が高い店舗の「データの使い方」

増益繁盛クラブの会員さんの中には、月商300万円の飲食店から年商2億5,000万円規模へ成長した方がいます。その方が多店舗展開で意識していたことの一つが、「予約データを出店判断に使う」ことでした。

どの時間帯に、どんな客層が、何名で来るか。リピート率はどう推移しているか。これらが数字として蓄積されていれば、「2号店を出すべきか、今の店を深掘りすべきか」の判断に使えます。

「月商350万円から620万円になった会員さんがいますが、そこで起きたのは『売上を増やした』というよりも、『取りこぼしを止めた』ことでした。予約のデータを見ていくと、こぼれている予約の量に本人が一番驚いていた。」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・経営コンサルタント)

データがある店舗とない店舗では、多店舗展開の「判断の根拠」が全く異なります。

❌ 勘と経験だけで2号店の立地を決める

  • 成功の再現性が測れない
  • 「なぜ1号店が繁盛したか」が言語化されていないため、新しい立地での判断基準がない
  • 失敗しても原因の特定ができず、次に活かせない

✅ 1号店のデータを解析してから2号店を設計する

  • 繁忙時間帯・客層・リピート率など「勝ちパターン」の根拠が数字で出る
  • 銀行や投資家への説明材料になる
  • 新店のスタッフへの引き継ぎが「感覚」ではなく「基準」でできる

「リピート率が38%から71%になった会員さんがいます。何か特別なことをしたわけではありません。来てくれたお客様の情報をちゃんと残して、次回の来店時に活かす。それだけでこれだけ変わる。2号店展開を考えるなら、この仕組みが先です。」

40代・男性(居酒屋オーナー)

まとめ:2号店は「仕組みを持ち出す」場所である

2号店が回らない理由をスタッフのせいにすると、入れ替えを繰り返すだけで本質は変わりません。消耗するのはオーナーと、辞めていくスタッフだけです。

2号店とは、1号店で作った仕組みを「持ち出す」場所です。配席のルール、顧客台帳、予約の見える化——これらが1号店で整っていれば、2号店は「コピーする」ことができます。整っていなければ、どれだけ優秀なスタッフを入れても、オーナーの代わりはできません。

私が飲食店の支援を始めて21年飲食店だけで610件以上の経営者と向き合ってきた中で、確信していることがあります。それは「再現性は仕組みからしか生まれない」ということです。

今の店の「勝ちパターン」がどこにあるのか、まだ言葉になっていないオーナーさんは、ぜひ一度ご相談ください。現状の予約・集客の構造を整理しながら、2号店に持ち出せる仕組みの設計を一緒に考えます。

まずは無料でお話しできますので、お気軽にどうぞ。

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