こんにちは、ハワードジョイマンです。
「原価率が上がってきているのは分かっている。でも、どのメニューが原因なのかが特定できない」「仕入れ値を交渉するにも限界がある。もう値下げしか手がないのか……」——こういった悩みを、3店舗以上を運営するオーナーさんからよく聞きます。
飲食店の原価率を下げる方法とは、仕入れを削るか値上げするかの二択ではありません。結論から言うと、「売れているメニューの中から儲かっていないメニューを特定し、構成を変える」ことが、最も即効性のある打ち手です。
この記事では、値下げや仕入れ交渉に頼らず、原価率を適正水準に戻すための具体的なアプローチをQ&A形式で整理しました。
📋 この記事でわかること
- 原価率が上がる「本当の原因」はどこにあるか
- 売れ筋≠儲け筋の構造を見抜くABC分析の使い方
- 値下げ以外で客単価と利益を同時に改善する方法
- モバイルオーダーが原価率改善に効く理由
こんな方におすすめ
- ✅ 原価率が上がっているのに原因のメニューが特定できていない方
- ✅ 売上は落ちていないのに手元に利益が残らないと感じている方
- ✅ 値上げへの踏み切りに迷っている飲食店経営者の方
- ✅ 3〜30店舗規模で多店舗管理の数字の精度を上げたい方
- ✅ 過去にシステムを入れたが使いこなせず解約した経験がある方

原価率が上がる「本当の原因」はどこにある?
まず前提として確認しておきたいのですが、原価率の悪化を「仕入れ値の高騰」だけに帰因させているケースが非常に多いです。もちろん、昨今の食材価格の上昇は無視できません。ただ、それだけが原因なら、全メニューの原価率が均等に上がるはずです。
実際に現場を診断してみると、「特定のメニューカテゴリだけ原価が突出している」「売れ筋上位3品が、実は粗利が低い」というケースが大半です。
原価率が上がる主な構造的原因を整理すると、次のようになります。
チェックポイント1:商品別の粗利構成比を把握しているか
「売上ランキング」を見て安心しているオーナーさんは多いですが、売上が高いメニューが粗利も高いとは限りません。たとえば、月間出数1位のメニューの原価率が45%だった場合、売れれば売れるほど利益が薄くなっていきます。
✅ ポイント:月1回でも「出数×粗利額」の積み上げを確認するクセをつけましょう。売上ランキングと粗利ランキングを並べて見るだけで、見えていなかった構造的赤字が浮かんできます。
チェックポイント2:廃棄ロスの実態を数字で把握しているか
仕入れた食材のうち、実際に売上に変換された割合を「歩留まり」と言います。廃棄ロスが多い店では、原価率の計算上は問題なくても、実質的な食材コストは大幅に跳ね上がっています。日次・週次での廃棄記録がなければ、「なんとなく高い」状態から抜け出せません。
✅ ポイント:廃棄記録の仕組みを作り、メニュー別の「実質原価率」を算出できる状態を目指しましょう。
チェックポイント3:月次の数字が出るタイミングが遅すぎないか
各店から日報を集計して原価が判明するのが翌月中旬——これでは打ち手がいつも後手に回ります。「先月何を間違えたか」を翌月に知る経営は、常にバックミラーを見ながら運転しているようなものです。
✅ ポイント:日次で利益を可視化できる仕組みへの移行が、原価改善の第一歩です。
✓ ここまでのポイント
- 原価率悪化の原因は「仕入れ値」だけでなく、特定メニューの粗利構造にある場合が多い
- 売れ筋ランキングと粗利ランキングを並べて見ることで、構造的な問題が見えてくる
- 月次の数字が翌月中旬にしか出ない状態では、改善の手が常に遅れる
「売れ筋=儲け筋」ではない?ABC分析の使い方は?
ABC分析とは、商品を「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸で評価し、どのメニューを伸ばすべきか、どれを見直すべきかを判断するフレームワークです。
シンプルに言うと、こういう分類になります。
❌ よくある思い込み(売上だけで判断)
- 「このメニューは注文数が多いから看板商品だ」と安心している
- 新メニューを追加し続けてラインナップが膨らみ、食材管理が複雑化する
- 原価率が高い商品ほど「人気がある」と誤解し、プッシュしてしまう
✅ ABC分析を使った判断(4軸評価)
- 出数が多くて粗利も高い商品を「育てる」——この商品を注文動線の上流に置く
- 出数は多いが粗利が低い商品は「改善」——盛り付けの変更・仕入れ先の見直し・サイズ変更で粗利を改善する
- 出数も粗利も低い商品は「廃止候補」——メニュー数を絞ることで食材ロスも減る
「メニューの数を増やすことが豊かさだと思っているオーナーさんが多いんですが、実は逆です。メニューを絞ると、仕込みが効率化され、スタッフの習熟度が上がり、廃棄が減る。3つの原価改善が同時に起きます」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/有限会社繁盛店研究所)
増益繁盛クラブの会員さんの中には、ABC分析でメニューを38品から21品に絞り込んだ結果、原価率が3ポイント改善し、調理オペレーションのスピードも上がったという事例があります。「減らすのが怖い」という心理的な壁を越えることが、最初のハードルです。
値下げ以外で客単価を上げる打ち手とは?
原価率の改善には、「分子(原価)を下げる」アプローチと「分母(売上)を上げる」アプローチの2方向があります。値下げ以外で売上を伸ばす、つまり客単価を上げるための打ち手として有効なのが次の3つです。
客単価向上 STEP 1
写真・動画メニューで「頼みたい」を引き出す
テキストだけのメニューと、料理の魅力が伝わる写真・動画メニューでは、注文点数に明確な差が出ます。特にドリンクやサイドメニューは「見た目で頼む」傾向が強く、視覚的な訴求が追加注文に直結します。
⚠️ よくある失敗:「全メニューに写真を入れる」と作業が膨大になり、更新が止まります。まずABC分析で「伸ばすべき商品」に絞って写真を追加するのが現実的です。
客単価向上 STEP 2
オプション訴求と追加注文の「自動化」
「お肉に合うソースはいかがですか?」「もう一杯いかがですか?」——口頭での声かけはスタッフの技量に依存し、人が不足しているとそもそも声がかけられません。モバイルオーダーを活用すると、注文完了画面や一定時間後に自動でおすすめを表示できます。スタッフが忙しい時間帯でも、客単価向上のための訴求が途切れません。
⚠️ よくある失敗:おすすめを表示させるだけで終わり、「何を表示するか」の設計をしないまま運用すると効果が出ません。粗利の高い商品をオプション画面に意図的に配置することが重要です。
客単価向上 STEP 3
再来店客への「2杯目・〆の一品」の仕掛け
初来店客より再来店客の方が、滞在時間も注文点数も長い傾向があります。常連化した顧客に「前回頼んでいなかった商品」をレコメンドする仕組みを作ると、追加注文が自然に増えます。これはCRM(顧客管理)と注文データの連携があって初めてできる打ち手です。
⚠️ よくある失敗:CRMと注文データが別システムで、連携されていないと機能しません。データを一元管理できる環境が前提になります。
「値上げするかどうか悩む前に、今のメニュー構成で取れていない客単価を回収することを先にやりましょう。1組あたり300円の追加注文が増えるだけで、月商ベースでどれほど変わるか——計算すると驚きますよ」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/有限会社繁盛店研究所)
モバイルオーダーは原価率改善に効くのか?
「モバイルオーダーは人手不足対策でしょ?」と思われがちですが、実は原価率・利益構造の改善にも直接つながります。
弊社でご支援しているDiniiのモバイルオーダーシステムを導入されたオーナーさんからは、こういった声をいただいています。
「モバイルオーダーを入れてから、注文点数が明らかに上がりました。スタッフが注文を取りに行く回数が減った分、料理提供やテーブルの様子を見る時間が増えたのも大きいです」
居酒屋オーナー(40代・男性)
「LINE友だちが増えたことで、定期的に再来店してくれるお客さまが増えました。新規集客のコストを抑えながら、来店者総数が伸びています」
ダイニングバー経営者(30代・女性)
モバイルオーダーが原価率改善に効く理由は、大きく2つあります。
ひとつは「売上データの精度が上がること」。手書き伝票や口頭注文では発生しやすいオーダーミスや漏れが減り、実際の販売データが正確に蓄積されます。これがABC分析の精度向上に直結します。
もうひとつは「注文行動のコントロールができること」。画面上のメニュー配置・写真の有無・おすすめ表示の位置を変えるだけで、注文の傾向を変えることができます。つまり、粗利の高い商品を自然に選んでもらう導線設計が可能になります。
弊社では、Dinii正規代理店として、システムの導入設定だけでなく「どのメニューをどう配置するか」の設計支援と、導入後90日間の定着伴走をセットで提供しています。飲食店支援実績610件以上、業界経験21年の知見を活かして、データが経営判断に使える状態まで一緒に作り込みます。
まとめ:原価率改善は「見える化」と「構成の見直し」から始まる
今回の内容を整理すると、飲食店の原価率を下げるには、以下の順番で取り組むのが最もシンプルで効果的です。
- 月次の数字を日次に変え、「今月の着地」をリアルタイムで把握する
- ABC分析で「出数・粗利・リピート率」の3軸から商品を再評価し、メニュー構成を整理する
- 廃棄ロスの記録を始め、「実質原価率」を商品別に把握する
- モバイルオーダーで注文導線を設計し、粗利の高い商品の注文を自然に増やす
「何から手をつければいいか分からない」という状態から、「どのメニューを改善すれば利益が残るか」が見える状態への移行——これが、値下げに頼らない原価率改善の出発点です。
もし現状の数字の見方やメニュー構成の診断にご興味があれば、まずは気軽にご相談ください。現状のシステム環境や課題をお聞きした上で、整理できるところから一緒に考えていきます。