飲食店DX

原価管理の完全ガイド|手作業をやめる5ステップ

こんにちは、ハワードジョイマンです。

先日、ある居酒屋チェーンのオーナーさんとお話しする機会がありました。売上は昨年比で5%増。なのに、通帳の残高が増えない。月次の数字が出るのが翌月の中旬で、「何が起きたのか」を知るのがいつも2週間後——そういう状況でした。

秋冬になると仕入れコストが動きます。光熱費も上がる。そういう季節の変わり目になると、じわじわと原価率が悪化しはじめるのに、「どのメニューが原因か」を手作業で突き止めるのは現実的に難しい。気づいたときには翌月分も同じ状態、ということが繰り返されます。

この記事では、そうした「分かっているのに打てない」状況を抜け出すために、手作業の原価管理を仕組みに置き換える5つのステップを解説します。21年間、飲食店610件以上を支援してきた経験から、実際に現場で機能した手順をお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. 手作業の原価管理がなぜ経営の足を引っ張るのか
  2. 原価率悪化の「犯人メニュー」を特定するための考え方
  3. 手作業をやめて仕組みに移行する5つの具体ステップ
  4. 導入後に成果を出した店舗の共通点

こんな方におすすめ

  • ✅ 原価率は把握しているが、どのメニューが原因か特定できていない方
  • ✅ 月次の数字が出るのが翌月中旬になっている方
  • ✅ 売上は伸びているのに利益が残らないと感じている方
  • ✅ 3〜30店舗を運営中で、店舗間の原価率に差がある方
  • ✅ 過去にExcelやスプレッドシートで管理しようとして断念した方
原価管理の完全ガイド|手作業をやめる5ステップ | 有限会社繁盛店研究所(Dinii正規代理店:モバイルオーダーシステム)

手作業の原価管理がじわじわと利益を削る理由

多くの飲食店経営者は、原価管理を「月に一度、伝票を集計する作業」として捉えています。それ自体は間違いではないのですが、問題はタイムラグにあります。

手作業で集計している場合、各店から日報が上がり、突合して、原価が判明するのはだいたい翌月の10日〜15日。つまり、7月に起きた問題が分かるのは8月の中旬です。その間、同じ損失が毎日積み上がっています。

もう一つ見落としがちなのが、「売れ筋=儲け筋」という思い込みです。注文数が多いメニューが必ずしも粗利に貢献しているとは限りません。仕入れコストが高く、ロスも出やすいメニューが「人気メニュー」として扱われているケースは、支援先で何度も見てきました。

「売上の報告より、粗利の報告の方が10倍重要です。売上が増えても、粗利が薄ければ手元には何も残らない。原価管理は守りではなく、利益を積み上げる攻めの行為です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

Excelやスプレッドシートで「なんとかやっている」という状態は、経営者の時間と判断力を少しずつ奪っています。それをやめる。それがスタート地点です。

原価率悪化の「犯人」を見つける4軸の見方

手作業をやめる前に、まず「何を見るべきか」を整理しておきましょう。原価管理において有効なのが、出数・売上・粗利・リピート率の4軸で商品を評価するABC分析です。

多くの店では「売れているか・売れていないか」の1軸でメニューを評価しています。でも本当に見るべきは「粗利をいくら稼いでいるか」です。

例えばこういうケースがあります。

  • A:月に200杯出るドリンク。原価率20%。粗利貢献◎
  • B:月に180杯出るメニュー。原価率62%。粗利貢献△

Bが「売れ筋」として強化され、Aが後回しにされていた——そういう構造が複数の支援先で見つかりました。4軸で評価することで、「何を売り込むべきか」が初めて見えてきます。

✓ ここまでのポイント

  • 手作業の原価管理はタイムラグが問題。気づいたときには損失が積み上がっている
  • 「売れ筋=儲け筋」は思い込み。出数・売上・粗利・リピート率の4軸で評価する必要がある
  • 月次報告を待つ体制から、日次で利益を見る体制への転換が求められる

手作業をやめる5ステップ

では、具体的にどう動けばいいのか。現場で実際に機能したプロセスを5ステップで解説します。

原価管理 STEP 1

現状のシステムと手作業の「棚卸し」をする

まず今、何のシステムを使っていて、どこが手作業になっているかを書き出します。POS・勤怠・予約・販促がバラバラに動いていることが多く、その「接続されていない部分」が手作業を生んでいます。棚卸しをしてみると、月額の総支払いが思ったより大きいことに気づく経営者も少なくありません。

⚠️ よくある失敗:「今のシステムでなんとかなっている」と思い込み、棚卸しを後回しにする。実態は非効率な手作業が積み重なっているだけというケースがほとんどです。

原価管理 STEP 2

メニューごとの「粗利構成比」を一度だけ手計算する

仕組みを作る前に、まず現状の数字を把握します。全メニューでなくて構いません。売上上位10〜15品について、仕入れ原価・廃棄率・実際の粗利を計算してみてください。ここで「思っていたより稼げていないメニュー」が必ず1〜2品出てきます。

⚠️ よくある失敗:全メニューを一気にやろうとして途中で止まる。まず上位10品だけに絞ることが重要です。

原価管理 STEP 3

POSと原価・勤怠を「1つのデータ基盤」に統合する

STEP2で現状把握ができたら、次は自動化です。ポイントは、バラバラに動いているシステムを1つの基盤に寄せること。POS・原価・勤怠が別々のままでは、集計作業は永遠になくなりません。データを統合することで、日次での利益可視化が初めて可能になります。

⚠️ よくある失敗:「今使っているPOSを変えたくない」という理由で統合を先送りにする。ベンダーを集約すると月額費用が下がるケースも多く、コスト削減と効率化が同時に実現することがあります。

原価管理 STEP 4

「日次レポート」の運用フローを決める

システムを入れても、誰がどのタイミングで数字を見るかを決めておかないと動きません。「毎朝9時に前日の粗利を確認する」「週次で原価率の変動をレビューする」といった運用フローを先に設計します。データが取れるようになっても、見る習慣がなければ宝の持ち腐れです。

⚠️ よくある失敗:システムは入れたが誰も数字を見ない。運用フローの設計なしに導入だけ済ませてしまうパターンです。

原価管理 STEP 5

月末を待たずに「着地予測」で打ち手を先手に変える

日次で数字が見えるようになると、月末を待たずに「このままいくと原価率が何%になるか」を予測できるようになります。着地予測が立てられると、仕入れ調整・メニュー訴求の変更・アルバイトシフトの見直しが月の途中で打てます。これが「後手から先手へ」の転換です。

⚠️ よくある失敗:着地予測はできるようになったが、対応策がない。予測に合わせた「打ち手の選択肢」をあらかじめ用意しておくことが重要です。

導入後に成果が出た店舗の共通点

「モバイルオーダーの導入により、注文点数がアップしました。客単価も上がって、原価率を意識した設計の重要性をあらためて感じています」

居酒屋チェーンオーナー(40代・男性)

増益繁盛クラブの会員さんの中には、月商300万円規模から年商2億5,000万円規模へと成長した方もいます。その方に共通しているのは、「仕組みを作ったあとも数字を見続けた」ことです。

システムを入れるだけでは原価管理は変わりません。変わるのは、データを見ながら判断する習慣が生まれたときです。

❌ よくあるパターン:「ツール導入=改善完了」と思ってしまう

  • 数字は取れるようになったが、見る人・見るタイミング・対応アクションが決まっていない
  • 導入後3ヶ月で誰も使わなくなり、月額だけが発生し続ける

✅ 成果が出るアプローチ

  • 導入前に「誰が・いつ・何を見るか」の運用設計を先に決める
  • 90日間の定着支援を前提に動く(現場に合わせた修正を繰り返す)
  • 数字の変化に対して「打ち手のリスト」を持っておく

私が代理店として提供しているDiniiのモバイルオーダーシステムは、POSと原価・CRMをひとつの基盤に統合できるため、STEP3〜5をまとめて実現できる設計になっています。ただ、ツールは「答え」ではありません。それをどう使うかの設計と定着支援があってはじめて意味を持ちます。

「効果が見込めない店には導入を勧めません。まず現状の数字を見て、仕組みを変えることで何がどう変わるのかを一緒に確認してから、次のステップを決めます」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

まとめ|原価管理は「見る」ではなく「動く」ための仕組みにする

原価管理の目的は、数字を記録することではなく、利益を残すために動くことです。手作業では、どうしても「気づくのが遅すぎる」という構造から抜け出せません。

5つのステップを改めて整理します。

  1. 現状のシステムと手作業を棚卸しする
  2. 売上上位メニューの粗利構成比を一度だけ手計算する
  3. POS・原価・勤怠を1つのデータ基盤に統合する
  4. 日次レポートの運用フローを決める
  5. 着地予測を使って、打ち手を月の途中で実行する

飲食店経営において、業界経験21年・支援実績610件以上を積んできた立場から言えることは、「原価管理が変わると、経営者の顔が変わる」ということです。翌月中旬に過去を振り返るのではなく、今月の数字を今週中に見て動ける状態になると、不安と焦りの質が変わります。

もし「うちの原価管理、このままでいいのかな」と感じているなら、まず現状を一緒に整理するところから始めましょう。全国対応・オンライン面談も可能ですので、静岡に限らずどこからでもご相談いただけます。

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