飲食店DX

着地予測とは?月末の未達を月中に気づく方法

こんにちは、ハワードジョイマンです。

先日、3店舗を運営する焼肉店のオーナーから、こんな相談を受けました。「先月の原価率が悪かったことに気づいたのが、今月の15日なんです。もう先月のことを今さらどうにもできなくて……」という話でした。聞けば、各店の日報はLINEで送られてきて、それをExcelに転記して、原価の突合は仕入れ伝票と照らし合わせて――という作業を本部スタッフが毎月こなしているとのこと。

結果が出るのが翌月の中旬。それでは、月末に向けた手が打てないのは当然です。今回は「着地予測」をテーマに、月末の未達をなぜ月中に気づけないのか、どうすれば気づける状態になるのかを、具体的に整理していきます。

📋 この記事でわかること

  1. 着地予測とは何か、なぜ飲食店経営に必要なのか
  2. 数字が翌月中旬にしか出ない本当の原因
  3. 月中に未達を気づくための具体的な仕組みと手順
  4. 着地予測を活用して利益を改善した実例

こんな方におすすめ

  • ✅ 月次の数字が翌月中旬以降にしか出ず、打ち手がいつも後手に回っている方
  • ✅ 各店の日報を手作業で集計しており、負担が大きいと感じている方
  • ✅ 売上は前年比でプラスなのに、利益が残らない原因が掴めていない方
  • ✅ 複数店舗を運営しており、店ごとの数字のばらつきを把握できていない方
  • ✅ 月末になってから「今月は厳しかった」と気づくことが繰り返されている方
着地予測とは?月末の未達を月中に気づく方法 | 有限会社繁盛店研究所(Dinii正規代理店:モバイルオーダーシステム)

着地予測とは何か?

着地予測とは、月末を待たずに「今月の売上・利益がこのまま推移すると最終的にいくらになるか」をリアルタイムで把握・算出する経営管理の手法です。

たとえば、月の半ばで「今月は目標の78%ペース」とわかれば、残り2週間で何かしら手が打てます。でも、それが翌月の15日にわかっても、もう過去の話でしかありません。着地予測の本質は「まだ間に合うタイミングで現実を知る」ことにあります。

製造業や小売業ではすでに当たり前のように使われている概念ですが、飲食店、とくに複数店舗を運営するオーナーの元では、まだまだ「月次の振り返り」止まりのケースが多いのが実情です。

なぜ数字が翌月中旬にしか出ないのか?

結論から言うと、原因はほぼ例外なく「データが分散しているため」です。

よくあるパターンはこうです。売上はPOSから、原価は仕入れの紙伝票から、人件費は勤怠管理アプリから。それぞれ別のシステム・別の担当者が管理していて、誰かが手作業でExcelに転記・突合する。この作業が月をまたがないと完成しない構造になっています。

❌ よくある管理パターン

  • 日報は各店からLINEやメールで届く
  • 売上・原価・人件費がバラバラのシステムで管理されている
  • 月次の集計は本部スタッフが翌月の上旬〜中旬にかけて手作業で行う
  • 「先月の数字」を見ながら「今月の打ち手」を考えるしかない

✅ 着地予測ができる管理パターン

  • 売上・原価・人件費が同一の基盤(クラウド)に自動集約される
  • 日次・週次で利益が可視化され、経営者がスマホで確認できる
  • 月初の目標に対して現在何%ペースかが自動計算される
  • 異変があればアラートが通知され、月中に対策を打てる

手作業の集計に依存している限り、着地予測は構造的に不可能です。「もっとスタッフにまめに報告させよう」という精神論で解決する問題ではなく、仕組みそのものを変える必要があります。

✓ ここまでのポイント

  • 着地予測とは「月末を待たずに今月の着地を把握する手法」であり、月中に手を打つために使う
  • 数字が翌月中旬にしか出ない原因は、売上・原価・人件費のデータが分散していること
  • 解決策は精神論ではなく、データを一元化する仕組みの構築にある

月中に未達を気づくためには、何から始めればいいか?

着地予測を実現するためのステップを、現場レベルで具体的に整理します。

着地予測の構築 STEP 1

データを一か所に集める

まず「売上・原価・人件費の3つが同じ画面で見える状態」を作ることが最初のゴールです。POSで取れる売上データを起点に、仕入れ情報と勤怠データを紐づける。これが1つのシステム内で自動的に行われる環境が必要です。

⚠️ よくある失敗:「日報フォーマットを統一した」だけで終わってしまうケース。フォーマットを揃えても、集計が手作業のままでは遅延は解消されません。

着地予測の構築 STEP 2

日次で利益を確認するルーティンを作る

データが一元化されたら、次は「毎日、昨日の数字を2分で確認する」習慣を経営者自身が持つことです。スマホで全店の売上・FLコスト・粗利を俯瞰できる状態になれば、異変は必ず月中に見えてきます。

⚠️ よくある失敗:ダッシュボードを用意したが、見るのは月に一度だけ、というケース。ツールが整っても使うルーティンがなければ、着地予測は機能しません。

着地予測の構築 STEP 3

「目標対比ペース」を月初に設定する

着地予測を意味のあるものにするには、「月の目標」が先に設定されていることが前提です。月商目標と、それに対応する原価率・人件費率の目標数値を月初に入力し、実績がリアルタイムで対比される状態を作ります。これで初めて「今月は目標の何%ペース」という言語化ができます。

⚠️ よくある失敗:目標設定が「昨年同月比○%増」という漠然としたものにとどまっており、日次での対比が機能しないケース。目標は「売上・原価・利益の3軸」で設定することが大切です。

「経営者が月末に数字を見るのは、試合が終わってからスコアを確認するようなものです。着地予測は、試合の途中でスコアを見ながら戦略を変える力です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)

着地予測は、モバイルオーダーとどう繋がるのか?

「着地予測」という話をすると、「うちはまず売上を増やすのが先では」という反応をいただくことがあります。でも実際には、売上の「質」を変えることと、着地予測の精度を上げることは同時進行で取り組める話です。

増益繁盛クラブの会員さんの中には、モバイルオーダーを導入したことで客単価がアップした、という声が届いています。

「モバイルオーダーの導入により客単価がアップした」

増益繁盛クラブ 会員(飲食店オーナー)

モバイルオーダーの導入には、売上向上だけでなく「データが自動で取れる」という側面があります。注文内容・点数・単価・時間帯・テーブル別の情報が自動でシステムに蓄積されるため、手作業での転記が不要になります。これが着地予測の基盤となるデータ収集の自動化に直結するのです。

つまり、モバイルオーダーの導入は「省人化」だけが目的ではなく、「経営データを日次で取得できる状態を作る」という経営管理上の意味も持っています。

着地予測を活用すると、経営の何が変わるのか?

私が支援した飲食店経営者の中で、着地予測を導入した後に最も変わったのは「会議の質」でした。

それまでは「先月の数字を見て反省する」会議だったのが、「今月の着地を見て今週何をするか決める」会議に変わります。店長会議で「このペースだと月末に原価率が32%を超える。今週の仕入れを見直すか、売り切り商品を追加するか」という議論ができるようになる。

業界経験21年、飲食店支援実績610件以上の中で感じるのは、「打ち手が遅い経営者」と「先手を打てる経営者」の差は、能力の差ではなく「情報が届くタイミングの差」だということです。

「『なぜ先月の原価率が悪かったのか』を翌月中旬に分析しても、それは過去の解剖です。着地予測は、まだ生きている今月の経営を動かすための手段です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)

まとめ:月末の未達を防ぐために、今すぐできることは?

着地予測を「難しいこと」と捉える必要はありません。最初の一歩は「昨日の売上・原価・人件費を今日の朝に確認する」というシンプルな習慣から始まります。

ただし、その習慣を無理なく続けるには、データが自動で集まる仕組みが土台にないといけません。手作業の転記が残っている限り、翌月中旬の「過去の反省」から抜け出すのは難しいのが現実です。

もし今、各店の日報集計に数日かかっていたり、原価の確認が月をまたいでいるなら、そこが最初に手をつけるべきポイントです。

当事務所では、POS・原価・勤怠のデータを一元化し、日次での着地予測が動くまでを伴走する形でご支援しています。「まず自社の現状から整理したい」という方には、現状診断からお付き合いしています。お気軽にご相談ください。

Dinii導入相談・問合せはこちらから

モバイルオーダーシステム活用法はこちら(無料)


-飲食店DX