飲食店DX

ABC分析の手順を5ステップで解説

こんにちは、ハワードジョイマンです。

先日、静岡市内で居酒屋を3店舗経営しているオーナーさんからこんな相談をいただきました。

「原価率が気づいたら2ポイントくらい上がってるんですよね。でも、どのメニューが原因なのか全然わからなくて……売上ベスト10を見てもピンとこないし、どこから手をつければいいのか」

このパターン、本当によくあります。感覚的には「売れているメニュー=儲かっているメニュー」と思いがちなんですが、実際は全然そうじゃないことが多い。そのズレを可視化するのが、今回テーマにする「ABC分析」です。

飲食店のメニュー管理においてABC分析は基本中の基本なのですが、「やり方がよくわからない」「どのデータを使えばいいか迷う」という声をよく耳にします。そこでこの記事では、実際にコンサルティングの現場で使っている手順を5ステップで解説します。

こんな方におすすめ

  • ✅ 原価率が上がっているが、どのメニューが原因か特定できていない方
  • ✅ 売上ランキングは見ているが、粗利の観点でメニューを評価したことがない方
  • ✅ 多店舗経営で、店舗ごとのメニュー構成の違いを数値で把握したい方
  • ✅ データに基づいてメニュー改廃の判断をしたい方
  • ✅ 値上げせずに客単価を改善する方法を探している方

📋 この記事でわかること

  1. ABC分析とは何か、飲食店経営における位置づけ
  2. 5ステップの具体的な手順と各ステップの落とし穴
  3. 分析結果をどうメニュー戦略に活かすか
  4. デジタルツールを使って自動化する方法
ABC分析の手順を5ステップで解説 | 有限会社繁盛店研究所(Dinii正規代理店:モバイルオーダーシステム)

そもそもABC分析とは?飲食店で使う意味

ABC分析とは、取り扱うアイテムを「売上・粗利・出数」などの指標で並べ替え、上位グループ(Aランク)・中位グループ(Bランク)・下位グループ(Cランク)に分類する手法です。もともとは在庫管理や生産管理の分野で使われてきたフレームワークですが、飲食店のメニュー評価にも非常に有効です。

重要なのは、「何を軸にランク付けするか」によって、見えてくる景色が全く変わるという点です。

たとえば「出数(注文数)」で並べると売れ筋メニューが上位に並びます。でもここに「粗利額」の軸を加えると、よく出るのに利益が薄いメニューが浮かび上がってきます。逆に、あまり目立たないけれど粗利率が高いメニューも見えてくる。

このギャップを把握しないまま「売れてるから大丈夫」と思っていると、気づかないうちに原価率が上がり続ける——というのが、多くの飲食店が陥るパターンです。

「売上ランキングを見て安心している経営者ほど、原価率の悪化に気づくのが遅い。売れているメニューと儲かっているメニューは、別のリストに載っていることが多いんです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

ABC分析の手順:5ステップで完全解説

メニュー分析 STEP 1

分析の「軸」を決める

まず最初に、何を基準にランク付けするかを決めます。飲食店の場合、以下の4軸を組み合わせるのがおすすめです。

  • ① 出数(何皿売れたか)
  • ② 売上金額(売上への貢献度)
  • ③ 粗利額(単価 × 出数 × 粗利率)
  • ④ リピート率(このメニューが目当てで来る客の割合)

初めて取り組む場合は、まず「出数」と「粗利額」の2軸から始めるとわかりやすいです。

⚠️ よくある失敗:「売上金額」だけで分析して終わりにしてしまうケース。売上が大きくても原価率が高ければ、実質的には利益を圧迫しているメニューになります。粗利額の軸は必ず入れてください。

メニュー分析 STEP 2

データを収集・整理する

次に、分析に必要なデータを揃えます。最低限必要なのは以下の項目です。

  • メニュー名
  • 一定期間の出数(最低1ヶ月、できれば3ヶ月)
  • 販売単価
  • 原価(食材原価)

ここから「粗利額 = (販売単価 − 原価) × 出数」を計算します。Excelやスプレッドシートで十分対応できます。

⚠️ よくある失敗:期間を1週間で切り取ってしまうこと。季節メニューや曜日の偏りがあるため、最低でも1ヶ月単位のデータを使いましょう。また、原価データが古いまま更新されていないケースも非常に多いです。仕入れ価格の変動を反映させることを忘れずに。

メニュー分析 STEP 3

全メニューを粗利額の高い順に並べ替える

データが揃ったら、粗利額の高い順に全メニューを並べ替えます。そして累計構成比を計算します。

  • 全メニューの粗利額合計を100%として
  • Aランク:上位で粗利の70%を占めるメニュー群
  • Bランク:次の20%を占めるメニュー群
  • Cランク:残り10%のメニュー群

この時点で「うちの店の粗利の7割を支えているメニューは何か」が明確になります。そのメニューこそ、守り続けなければいけない「稼ぎ頭」です。

⚠️ よくある失敗:Cランクをすぐに廃止しようとすること。Cランクの中には「このメニューがあるから来る」という集客メニューや、他メニューとのセット注文を促すアンカーメニューが含まれている場合があります。廃止の判断はSTEP5まで進んでから行いましょう。

メニュー分析 STEP 4

「出数ランク」と「粗利ランク」のマトリクスで分類する

STEP3で粗利軸のランク付けができたら、今度は同じメニューを出数でもランク付けします。そして2軸を組み合わせたマトリクスを作ります。

注目すべきは以下の2つのゾーンです。

  • 出数:高 × 粗利:低……よく売れているが利益が薄い。「負け筋メニュー」と呼んでいます。レシピ見直し・原価交渉・価格改定の対象
  • 出数:低 × 粗利:高……売れていないが儲かる。「眠っている金のメニュー」です。写真撮り直し・メニュー内の掲載位置変更・POPで推薦する価値があります

増益繁盛クラブの会員さんの中には、このマトリクス分析をきっかけに「眠っていた金のメニュー」を推しメニューに昇格させ、3ヶ月で粗利率を3ポイント改善したオーナーさんもいます。

⚠️ よくある失敗:分析を「単品」で見ること。たとえばドリンクとフードはセットで購買される傾向があるため、組み合わせで粗利を見ることも大切です。

メニュー分析 STEP 5

分析結果を「アクション」に変換する

分析はゴールではなく、あくまでスタートラインです。ランク分けの結果をもとに、メニューごとのアクションを決めます。

  • Aランク(粗利貢献大・出数大):品質・安定供給の維持。原価上昇に対して最も早く対処する
  • Bランク(中間層):A昇格の余地があるか、Cへの転落リスクはないかを定期確認
  • Cランク(粗利貢献小):集客機能・セット注文誘発効果を評価した上で、改廃・値上げ・原価見直しを検討
  • 「眠っている金のメニュー」:打ち出し強化(掲載位置・推薦コメント・写真刷新)
  • 「負け筋メニュー」:原価見直しか、価格調整を検討

⚠️ よくある失敗:一度分析して終わりにすること。仕入れ価格の変動・季節変化・新メニュー追加によってランクは変わります。最低でも3ヶ月に1回は再分析するサイクルを作りましょう。

✓ ここまでのポイント

  • ABC分析は「出数」だけでなく「粗利額」を軸に加えることで、本当の稼ぎ頭と原価率悪化の原因が見えてくる
  • 出数が高くて粗利が低い「負け筋メニュー」と、出数が低くて粗利が高い「眠っている金のメニュー」の2ゾーンに着目する
  • 分析結果は必ずアクションに変換し、3ヶ月サイクルで更新する

分析を「仕組み」にするとどう変わるか

「ABC分析を一度やって終わりにする店と、毎月自動で更新して翌日の仕入れに反映できる店では、3年後の粗利構成が全然違ってきます。分析は鮮度が命です」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

Excelで手作業のABC分析は、最初の「現状把握」には有効です。ただ、複数店舗を運営していたり、メニュー数が100品を超えてくると、毎月の更新が現実的に難しくなってきます。

私がDiniiの正規代理店として導入支援をしている理由のひとつはここにあって、Diniiの商品分析機能を使うと、このABC分析が自動的に行われ、日次・週次・月次で「どのメニューが粗利に貢献しているか」を可視化できます。

❌ よくあるパターン(手作業・後手管理)

  • 月末に手作業でExcelを集計する
  • 原価データの更新が滞り、分析が古い数字のままになる
  • 複数店舗のデータが統合されず、全体像が見えない
  • 分析と打ち手の間に2〜3週間のラグが生まれる

✅ 推奨アプローチ(データ統合・自動分析)

  • POSと原価データが連動し、自動でランク更新される
  • 仕入れ価格の変動が即座に粗利計算に反映される
  • 複数店舗を横断した比較分析が可能
  • 翌日の仕入れ量・推薦メニュー変更にすぐ反映できる

「モバイルオーダーの導入により注文点数がアップしました。おすすめ表示が自動で出るので、スタッフが声をかけなくても高粗利メニューが売れるようになったのが驚きでした」

居酒屋経営者(40代・男性)

「分析の結論を出す前に確認してほしい」3つのポイント

チェックポイント1:原価データは最新ですか?

食材の仕入れ価格は頻繁に変動します。半年前の原価データを使っていると、分析結果が現実とズレたものになります。仕入れ業者からの価格改定通知をトリガーに、必ず原価マスタを更新する運用を作りましょう。

✅ ポイント:月1回、仕入れ先の請求書と原価マスタを突き合わせる確認タスクをカレンダーに固定する。

チェックポイント2:分析期間に偏りはありませんか?

お盆・年末年始・桜の季節など、来客数が集中する時期のデータだけで分析すると、通常期には異なる結論が出ることがあります。可能であれば、繁忙期・閑散期を含めた3ヶ月以上のデータで判断しましょう。

✅ ポイント:季節メニューは通常メニューと分けて分析し、混在させないようにする。

チェックポイント3:廃止判断は「単品」だけで下していませんか?

粗利貢献が低いCランクのメニューでも、「このメニュー目当てに来る固定客がいる」「注文のきっかけになる集客メニューとして機能している」という場合があります。廃止の前に、リピーターとの関連性を確認することが重要です。

✅ ポイント:CRMや顧客データと組み合わせて、特定メニューを注文するリピーター客の来店頻度を確認する。

まとめ:分析は「利益を守る経営判断」の出発点

ABC分析の5ステップをおさらいすると、こうなります。

  1. 軸を決める(出数・売上・粗利額・リピート率)
  2. データを収集・整理する(最低1ヶ月分、原価は最新を使う)
  3. 粗利額の高い順に並べ、累計構成比でABCに分類する
  4. 出数ランク×粗利ランクのマトリクスで「負け筋」と「眠っている金のメニュー」を見つける
  5. ランク別にアクションを決め、3ヶ月ごとに更新する

飲食店経営において「原価率の悪化を感じているが、どこが原因かわからない」という状態は、売上が落ちていない分だけ、放置されやすい課題です。でも、気づいたときには手元の利益がじわじわ削られているという現実があります。

今回紹介した手順は、Excelでも取り組めるシンプルなものですが、飲食店支援実績610件以上の現場で繰り返し使ってきた実際の手順です。まずは1ヶ月分のデータで試してみてください。

もし「自動化の仕組みを作りたい」「複数店舗のデータを一元管理したい」という場合は、Diniiの商品分析機能を活用した導入支援も行っています。導入前に「本当に効果が見込めるか」を一緒に確認しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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