飲食店DX

飲食店のメニューにABC分析を使う手順|どの品目から見直すべきか

こんにちは、ハワードジョイマンです。

10月に入ると、秋の食材を使ったフェアメニューや季節限定品が増えてきますよね。新しいメニューが加わるたびに「また品数が増えた」「どれが稼ぎ頭なんだろう」という感覚が生まれるオーナーさんも多いと思います。

そして、こんな場面に心当たりはありませんか。月次の売上は悪くない。でも原価率だけがじわじわ上がっていて、手元に残る利益が少なくなっている。「どのメニューが原因なんだろう」と思いながら、結局何も手が打てないまま翌月を迎える——。

これ、実はとても多いご相談です。私がこれまで支援してきた飲食店を中心に833件以上のお店の中でも、「原価率が上がった理由が分からない」という問題は上位に入るほど頻出の課題です。

今回の記事では、ABC分析をメニューに使う具体的な手順を、「どの品目から見直すべきか」という判断軸に絞って解説します。「ABC分析とは何か」という概念論はすでに別記事で説明しているので、この記事ではもう一歩踏み込んで、実際にどの順で手を動かすかに絞ってお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. なぜ「売れているメニュー」が原価率悪化の犯人になるのか
  2. 出数・売上・粗利・リピート率の4軸でメニューを評価する手順
  3. ABC分析の結果をもとに「見直し優先順位」をつける判断基準
  4. データが手元にない店でも今日から始められる最初の一手

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上は落ちていないのに原価率だけが上がっていて原因が特定できない方
  • ✅ 「よく出るメニュー=儲かっているメニュー」だと思い込んでいた方
  • ✅ メニュー数が増えすぎて、どの品目に注力すべきか分からなくなっている方
  • ✅ 月次の数字が出るのが翌月中旬で、打ち手がいつも後手に回っている方
  • ✅ 3〜30店舗規模で、店舗ごとに原価率のばらつきがある方
飲食店のメニューにABC分析を使う手順|どの品目から見直すべきか | 有限会社繁盛店研究所

「よく出るメニュー=儲かるメニュー」は思い込みです

結論から言うと、売れ数(出数)が多いメニューが、必ずしも利益に貢献しているわけではありません。

たとえば、1日に30食出る看板メニューがあるとします。客の満足度も高い。でも原価率が45%だったとしたら、出れば出るほど粗利が薄くなっていきます。一方で、週に10食しか出ない単品が原価率28%で粗利額も高ければ、その品目こそが利益を支えている可能性があります。

この「出数と粗利のズレ」に気づかないまま運営を続けると、売上は横ばいなのに原価率だけが上がり続けるという、じわじわした悪化が起きます。飲食店の原価率が上がる原因としてよくある5つのパターンでも詳しく解説していますが、その多くは「どのメニューが引き金になっているか」を特定できていないことから始まっています。

「売れているから問題ない、と思って放置されているメニューほど、実は原価率の悪化を静かに引き起こしている。数字で見るまで誰も気づかないんです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・IT導入支援事業者)

「原価率が上がっているのに、どのメニューが原因か分からない」——その感覚のまま毎月を過ごしている方に、まず手元に置いてほしい資料があります。無料でダウンロードできる飲食店コストダウンガイド(63ページ)と、メニュー工学・食材費計算ツールがセットで使えます。メールアドレスを登録して届いた確認メールをクリックするだけで受け取れます。

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ABC分析を「4軸」で使う理由

一般的なABC分析は、売上や出数の多い順に品目を並べてA・B・Cに分類する手法です。ただし、この1軸だけで判断すると「売れている=残すべき」という結論に流れやすい。

私が飲食店の支援で使っているのは、次の4軸で品目を評価する方法です。

  • ①出数:どれだけ注文されているか(人気度)
  • ②売上金額:売上への貢献度
  • ③粗利額・粗利率:実際に手元に残るお金への貢献度
  • ④リピート率:そのメニューを注文した客が再来店しているか

この4軸を組み合わせることで、「よく出るけど粗利が薄い品目」「あまり出ないけど利益率が高い品目」「再来店に繋がっている品目」といった、単純な出数ランキングでは見えない実態が浮かび上がります。

売れているのに利益が出ない品目の見つけ方でも触れていますが、粗利の構成比を見ずにメニューの取捨選択をしている店は、改善の方向を誤りやすいです。

実際の手順|4ステップで「見直すべき品目」を特定する

メニューABC分析 STEP 1

全品目の「粗利額」を出す

まず、全メニューについて「販売価格 − 食材原価 = 粗利額」を計算します。原価はレシピ単位で計算するのが理想ですが、まず大まかな値でも構いません。「売価×原価率の概算」でも出せます。この段階では精度より網羅性を優先してください。

⚠️ よくある失敗:原価が「なんとなく」で止まっていて、食材ロスや仕込みロスが反映されていないケース。実際の原価は発注・廃棄まで含めて計算しないと、見た目の粗利率と現場の粗利率がずれます。

メニューABC分析 STEP 2

出数×粗利額で「粗利貢献ランキング」を作る

次に、「粗利額 × 月間出数 = 月間粗利貢献額」を全品目で計算し、降順に並べます。このランキングが、ABC分析の核心です。上位30%の品目が月間粗利の大部分を生み出しているケースが多く、まずそこを確認します。

⚠️ よくある失敗:売上金額ランキングと粗利貢献ランキングを混同してしまうこと。売上上位の品目が粗利下位になっていることは珍しくありません。

メニューABC分析 STEP 3

「出数は多いが粗利が低い品目」を特定する

STEP2のランキングと、出数ランキングを並べて比較します。ここで注目すべきは「出数ランキングでは上位なのに、粗利貢献ランキングでは中〜下位に落ちる品目」です。これがまさに「売れているのに儲かっていない品目」であり、原価率悪化の引き金になっている可能性が高い。

⚠️ よくある失敗:この品目をすぐに「廃盤にする」判断をしてしまうこと。廃盤よりも先に「原価の見直し」「販売価格の見直し」「仕込み方法の改善」で粗利を改善できないかを検討するのが正しい順序です。

メニューABC分析 STEP 4

リピート率を加えて「残すべき品目」を最終判断する

粗利だけで判断すると、実は再来店の動機になっている人気品目を外してしまうリスクがあります。そこで、「そのメニューを注文した客が再来店しているか」というリピート率のデータを加えて最終判断します。

粗利は低くてもリピートに繋がっている品目は、客の定着に機能しているため、単純に削るより「価格改定」か「セット構成への組み込み」で対処するほうが安全です。

⚠️ よくある失敗:リピート率のデータを取っていないために、この最終判断ができないこと。この問題は、注文データと来店履歴が連携していないシステム構成でよく起きます。

✓ ここまでのポイント

  • 出数が多くても粗利が低いメニューが、原価率悪化の主因になっていることがある
  • 4軸(出数・売上・粗利・リピート率)を組み合わせることで、見直し優先順位が明確になる
  • リピート率のデータがないと、最終判断で誤った品目を削るリスクが生じる

出数・粗利・リピート率の4軸で分析したくても、データの集計が手作業では続かない——その問題を解消するのが、レシピ原価管理ツールやメニュー工学ツールを含む無料の計算ツール群です。今回の手順をそのままツールに当てはめて使えるので、分析の入口として活用できます。登録は無料で、メール確認のみで完了します。

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データがない店は、まずここから始める

「うちはPOSの詳細データが出ないから分析できない」というご相談もよくいただきます。その場合、まず手書きでも構わないので1週間の出数を品目ごとに記録するところから始めてください。完璧なデータを待っていると、いつまでも改善が始まりません。

ただ、これを毎月手作業でやり続けるのは現実的ではありません。モバイルオーダーシステムを導入している店であれば、注文データが自動で蓄積されるため、品目別の出数・売上・粗利の集計を大幅に効率化できます。増益繁盛クラブの会員さんの中には、モバイルオーダーの導入をきっかけに客単価がアップした、という報告をくださった方もいます。注文の流れが可視化されると、「何がどれだけ出ているか」の把握が日次でできるようになるんですよね。

「モバイルオーダーの導入により客単価がアップした」

増益繁盛クラブ会員(飲食店経営者)

客単価が上がった背景には、「よく出るが粗利の薄いメニューから、粗利の厚いメニューへ注文が誘導されるようになった」という変化があることが多いです。メニュー表示の順番や写真の見せ方も、ABC分析の結果をもとに最適化できます。

客単価が上がらない店に共通する注文導線の問題についても合わせて読んでみてください。メニューの設計と注文の導線は、切り離せない関係にあります。

分析結果を「見直しアクション」に繋げる判断基準

ABC分析はあくまで「問題の発見ツール」です。出てきた数字をどう使うか、という判断基準を最後に整理します。

チェックポイント1:粗利貢献が低く、出数も少ない品目(C×C)

まずここを整理します。「出ない・儲からない」品目はメニューの複雑化を招くだけで、仕込みコストや廃棄ロスを生む要因になります。

✅ ポイント:廃盤候補筆頭。ただし季節限定品や来店動機になっている品目は除外して判断する。

チェックポイント2:出数は多いが粗利貢献が低い品目(A出数×C粗利)

原価率悪化の最大の要因になりやすいカテゴリです。ここを放置すると、売上が増えるほど原価率が上がるという逆説が起きます。

✅ ポイント:①原価の見直し(仕込み方法・ポーション変更)②販売価格の見直し③セット構成への組み込みで粗利改善を図る。削る前に改善を試みること。

チェックポイント3:粗利は高いが出数が少ない品目(C出数×A粗利)

「隠れた優等生」です。売れれば儲かるのに、目立たない場所に置かれていたり、スタッフが積極的に勧めていないケースがあります。

✅ ポイント:メニュー上の掲載位置・見せ方の改善、スタッフへの勧め方の共有で出数増加を狙う。

チェックポイント4:リピート率が高い品目

出数・粗利に関わらず、再来店に繋がっている品目は「店の看板」として機能しています。安易に削ると常連離れを招くリスクがあります。

✅ ポイント:リピート率が高い品目は残しつつ、粗利改善の工夫を別軸で行う。メニュー全体の粗利構成を底上げする戦略が基本。

まとめ|「売れているから問題ない」という感覚を、数字で疑う

原価率の悪化は、多くの場合「気づかないうちに積み重なってきた問題」です。特定のメニューが毎日よく出ているという事実は、それ単体では「儲かっている」の証拠にはなりません。

今回紹介した4ステップを使えば、「どのメニューから手を入れるべきか」の優先順位が明確になります。完璧なデータがなくても始められる部分はある。まずは今月の出数を品目ごとに記録するところから動いてみてください。

支援実績飲食店を中心に833件以上、業界経験21年の立場から言えるのは、「数字を見る前に廃盤を決めた店」よりも「数字を見てから判断した店」のほうが、改善の精度が圧倒的に高いということです。

もし「うちの店の分析をどこから手をつければいいか分からない」という場合は、お電話でもご相談を受け付けています。
📞 0543518655(有限会社繁盛店研究所/平日10:00〜15:00)

「品目ごとの粗利を出したい、でもPOSのデータがうまく使えていない」という状況なら、無料相談を使ってみてください。注文データと来店履歴が連携することで、今回解説した4軸分析が日常業務の中で回るようになります。導入前に現状のヒアリングから始めるので、まず話を聞くだけでも構いません。

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