こんにちは、ハワードジョイマンです。
「原価率が先月より上がっているのに、どのメニューが原因なのか分からない」
「食材の発注量を変えていないのに、なぜか利益が減っている」
「月次の数字が出るのが翌月中旬で、気づいたときにはもう手遅れ」
飲食店経営をしていると、こういうことが重なる時期がありますよね。秋から年末にかけての繁忙期を前に、「原価率だけ先行して上がっている」という相談を受けることがよくあります。
問題はここです。多くの飲食店経営者の方が、「売れているメニューが儲かっているはず」という思い込みで経営判断をしているという点。でも実際には、売上ランキング上位のメニューが粗利を最も食いつぶしているケースが、珍しくありません。
この記事では、原価率が悪化する「よくある5つのパターン」を整理したうえで、どの順番で何を見直せばいいか、手順を追って解説します。ぼんやりした「原価率が高い」という感覚を、数字で特定できる状態に変えるためのステップです。
📋 この記事でわかること
- 飲食店の原価率が上がる「よくある5つのパターン」の全体像
- 「売れ筋=儲け筋」という思い込みがどう利益を損なうか
- ABC分析で4軸(出数・売上・粗利・リピート率)から商品を再評価する具体的な手順
- 数字を月次ではなく日次で把握するための仕組みづくり
こんな方におすすめ
- ✅ 原価率が上がっているが、どのメニューが原因か特定できていない方
- ✅ 売上ランキングで「人気メニュー」を判断しているが、粗利は確認したことがない方
- ✅ 月次レポートが出るのが翌月中旬以降で、打ち手がいつも後手になっている方
- ✅ 複数店舗を運営していて、店舗ごとの原価率の差が気になっている方
- ✅ IT導入を考えているが、何から手をつければいいか迷っている方

原価率が上がる「よくある5つのパターン」
まず全体像を把握しましょう。現場でよく見られる原価率悪化のパターンは、大きく5つに分類できます。
チェックポイント①:粗利の低いメニューが「売れ筋」になっている
売上枚数の多いメニューが、実は粗利率の低い商品だった——というケースは少なくありません。たとえば「定番の唐揚げ」が出数トップでも、原材料費が上がっていれば粗利額は薄い。でも「よく出るから主力商品」として扱い続ける。これが積み重なると、売上は維持されているのに利益が残らない構造が出来上がります。
✅ ポイント:メニューを「出数」だけでなく「粗利額」で見直す視点を持つこと。売れていることと儲かっていることは別の話です。
チェックポイント②:仕入れ価格の変動を売価に反映できていない
食材の市場価格は季節や需給で変動します。特に近年は食材費の上昇が続いています。にもかかわらず、メニュー価格は「変えると客離れが怖い」という理由で数年据え置きのまま、というお店が少なくありません。
✅ ポイント:仕入れ価格の変動をトリガーに、売価または仕入れ先を定期的に見直す仕組みを持つこと。原価率から逆算して売値を設計する方法も参考にしてみてください。
チェックポイント③:ロスが計測されていない
発注量と売上数量のギャップ(食材ロス)を日次で把握していないお店では、「なんとなく廃棄が多い」という感覚はあっても、どの食材がどれくらいロスになっているか数字で出ていません。感覚で発注している限り、ロスは減りません。
✅ ポイント:在庫管理と売上データを連携させ、ロス率を品目別に可視化すること。
チェックポイント④:まかないや試食が原価に含まれていない
スタッフへのまかない費用や、試作・試食の食材費が原価計算から外れているケースです。1人あたり数百円でも、スタッフ数が増えたり、複数店舗になると積み上がって原価率に影響します。
✅ ポイント:まかない費用を福利厚生費として人件費側に計上するか、原価として明示的に管理するか、方針を決めて統一すること。
チェックポイント⑤:店舗ごとに仕込み量や盛り付けのルールが違う
複数店舗を展開していると、店長の裁量で盛り付け量が変わったり、仕込みの取り率がバラバラになることがあります。本部は同じレシピを出しているつもりでも、現場での解釈が違えば原価率は店舗ごとにズレます。「店長によって数字が違うが、その理由を説明できない」という悩みは、実はここに根本原因があることが多いです。
✅ ポイント:レシピのグラム数・取り率・盛り付け基準を数値化し、店舗間で共有できる状態をつくること。
✓ ここまでのポイント
- 原価率悪化の原因は「仕入れ価格」だけでなく、メニュー構成・ロス・店舗間のバラつきなど複数の要因が絡んでいる
- 「売れているメニュー=儲かっているメニュー」という思い込みが、最も見落とされやすいポイント
- 問題の特定には、感覚ではなく品目別・店舗別の数字が必要
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「売れ筋=儲け筋」という思い込みを外す
少し踏み込んで考えてみましょう。あなたのお店で「一番よく出るメニュー」の粗利額を、すぐに答えられますか?
売上ランキングを見て「このメニューが人気だ」と判断するのは自然なことです。でも、その商品の粗利額・粗利率・リピート率を合わせて確認している経営者の方は、実はそれほど多くありません。
「売上で判断するから迷子になる。粗利で見ると、お店の本当の姿が見えてくる。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/有限会社繁盛店研究所)
たとえばこういうケースを考えてみてください。月に500食出る「人気メニューA」と、150食しか出ない「地味メニューB」。売上だけ見るとAが圧倒的に貢献しているように見える。でも粗利額で見たとき、仮にAの粗利が1食100円、Bの粗利が1食400円だったとしたら?
Aは500食×100円=5万円、Bは150食×400円=6万円——粗利額では逆転することもあるのです。
さらに、BはリピーターがAより多く、月2〜3回来る常連客が好んで注文している、という分析結果が出たとしたら、このメニューの位置づけは「地味な脇役」から「利益と集客を同時に支える戦略商品」に変わります。
このような分析を、手作業のExcelでやろうとすると限界があります。だからこそ、自店の数字を整理する手順を事前に整えておくことが重要です。
ABC分析で商品を「4軸」で再評価する手順
では具体的に何をすればいいか。ここからはステップで説明します。
メニュー分析 STEP 1
「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸データを揃える
まず手元に揃えるべきデータは4つです。①各メニューの月間出数、②売上額、③粗利額(売上-食材費)、④そのメニューを注文した顧客の再来店率。この4つが揃って初めて、「何を売り続けるべきか」「何を見直すべきか」が判断できます。
⚠️ よくある失敗:売上額だけ、または出数だけで分析を終わらせてしまうこと。片方だけ見ると「売れているが儲かっていない商品」を気づかずに推し続けることになります。
メニュー分析 STEP 2
ABC分析で商品を4ゾーンに分類する
粗利額の高い順に商品を並べ、上位70%に入るものをA群(最重要商品)、次の20%をB群(育成候補)、残りをC群(見直し対象)に分類します。ここで重要なのは、「出数のABC」と「粗利のABC」を別軸で見ること。出数Aでありながら粗利Cの商品(よく出るが儲からない)が見つかったとき、初めて「見直すべきメニュー」が特定できます。
⚠️ よくある失敗:人気メニューをABC分析にかけることに心理的抵抗を感じ、分析を「人気の低い商品だけ」に限定してしまうこと。全商品を同じ基準で見ることが前提です。
メニュー分析 STEP 3
「リピーター率」を加えて戦略を決める
粗利が高くてもリピーターに選ばれていない商品は、一見の客向けの商品です。逆に、粗利が中程度でもリピーター率が高い商品は、常連客をつなぎとめる「関係性商品」として別の価値があります。この2軸を組み合わせることで、「どのメニューをLINE配信で告知すべきか」「何をおすすめ表示に変えるか」といった具体的な打ち手に落とし込めます。
⚠️ よくある失敗:分析して終わり、になること。「出数Aかつ粗利A」の商品をモバイルオーダーのトップ画面に表示する、という実行まで進んで初めて分析が意味を持ちます。
メニュー分析 STEP 4
日次で数字を確認できる仕組みに切り替える
月次レポートでは、問題が起きてから2〜3週間後に気づくことになります。「月次の数字が出るのが翌月中旬で、打ち手がいつも後手に回る」という悩みを持つ経営者の方が多いのは、この構造が原因です。日次で粗利と出数を確認できる環境があれば、週単位で仮説と検証を回せます。
⚠️ よくある失敗:「まずExcelで試してから」と後回しにすること。手作業の集計には限界があり、分析疲れで継続しなくなります。仕組みとして自動化されていないと、現場には定着しません。
「原価率の問題は、たいていメニューの問題ではなく、見ている指標の問題です。数字の解像度を上げると、やることが絞れてくる。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士/有限会社繁盛店研究所)
モバイルオーダーが「粗利分析」に与える実際の変化
モバイルオーダーの導入を支援したお店からは、「客単価がアップした」という声をいただいています。
モバイルオーダーで変わるのは、単に「スマホから注文できる」という利便性だけではありません。「粗利の高いメニューを画面上で戦略的に見せられる」という設計の変化があります。紙のメニューでは全商品を並列に扱うしかありませんが、デジタルメニューなら粗利の高い商品を上位表示したり、おすすめボタンで誘導したりする設計が可能です。
つまりモバイルオーダーは「注文を楽にするツール」ではなく、ABC分析の結果を、メニュー設計として即座に反映できる経営ツールでもあります。
「過去にITツールを導入したが、使いこなせず解約した」という経験がある方も多いと思います。飲食店のシステム乗り換えで失敗しないための注意点は、ツール選びの前に確認しておく価値があります。また、飲食店のIT化の最初の1歩の手順として、何から始めるべきかも整理しています。
私たち有限会社繁盛店研究所は、飲食店を中心とした支援実績833件以上、業界経験21年の中で、「ツールを入れたが定着しなかった」という現場を何度も見てきました。だからこそ、導入と同時に数字の読み方・メニュー設計の見直しまで伴走する形でサポートしています。
まとめ:原価率を「感覚」から「数字」で管理する
飲食店の原価率が上がるとき、その原因は一つではありません。「仕入れが高くなった」という単純な話だけでなく、売れ筋メニューの粗利構成、ロスの見えない積み上がり、店舗間のオペレーションのバラつきなど、複数の要因が絡んでいます。
今回の5つのパターンとABC分析の4ステップは、「何が起きているか分からない」という状態を、「どのメニューが、どの理由で、どれだけ利益を削っているか」という具体的な問いに変えるための手順です。
まず自店のメニューを「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸で並べてみることから始めてみてください。見えていなかったものが出てくるはずです。
「どこから手をつければいいか分からない」という方は、お電話でも気軽にご相談ください。
0543518655(有限会社繁盛店研究所/平日10:00〜12:00・13:00〜15:00)
4軸のABC分析を「仕組みとして自動で回す」ところまで進めたい場合、モバイルオーダーとPOS・CRMを一体で動かす環境が必要になります。モバイルオーダー導入の初期設定から粗利分析の設定代行・定着支援まで、一体でサポートする相談窓口があります。相談は無料で、導入が見込めない場合はその旨を正直にお伝えしています。