「広告を出す前に、まず自分の店の数字を確認してください」——これは、私が飲食店経営者の方とお話しするとき、最初に必ず伝えることです。
グーグル広告を検討するとき、多くの方が「どんな広告文にするか」「予算はいくらか」という広告側の話から入ります。でも実際には、広告を出す前に「今の店に、広告費を回収できる仕組みがあるか」を確認することの方が、はるかに重要です。
今回は、ある飲食チェーンのオーナーとのやりとりを交えながら、「広告を始める前に決めておきたいこと」を具体的に整理していきます。
📋 この記事でわかること
- グーグル広告の前に確認すべき「予約と電話」の計測方法
- QSCを数値化して、店舗間の差を事実ベースで議論する方法
- LINE活用で再来店率を上げるための仕組みの考え方
- 広告費を使う前に整えるべき「再来店の仕組み」の順序
こんな方におすすめ
- ✅ グーグル広告を始めたいが、何から準備すればいいか迷っている方
- ✅ 広告費は使っているのに、2回目の来店率を把握できていない方
- ✅ 店長と数字の話をしたいが、根拠になるデータが手元にない方
- ✅ 店舗ごとに集客結果がバラバラで、その原因が特定できていない方
- ✅ LINEや予約システムを導入したが、再来店との関係が見えていない方

「広告を出せば来る」という前提が崩れるとき
静岡市内で3店舗を運営されているある居酒屋チェーンのオーナー(以下、Aさん)から相談を受けたのは、ちょうど昨年の秋のことでした。
「グーグル広告を月15万円ほど使い始めたんですが、正直、効いているのかどうかわからなくて」
Aさんの言葉を聞きながら、私はまず一つだけ質問をしました。
「先月、広告経由で何件の予約が入って、そのうち何件が2回目に来ましたか?」
答えは「わからない」でした。
これは珍しいことではありません。グーグル広告には「クリック数」「表示回数」といったデータが出ます。でも「その人が実際に来店したか」「電話に繋がったか」「2回目に戻ってきたか」は、広告管理画面には出てきません。店側で仕組みを作らない限り、永遠にわからないままです。
広告費を正しく評価するには、「予約件数」と「電話件数」を計測する体制を先に作ることが不可欠です。これが、グーグル広告を始める前に決めておきたいことの第一歩です。
広告を出す前に「予約と電話を数える体制があるか」という問いが出てきましたが、そもそも自店のコスト構造や集客の現状を整理するツールが手元にないという方も多いはずです。飲食店コストダウンガイド(63ページ)や飲食店の集客キーワード100選など、今すぐ使える資料と計算ツールを無料でまとめて受け取れます。メールアドレスの登録だけで、無料でダウンロードできます。
予約と電話を「数える」ために必要な準備
「数えましょう」と言うのは簡単ですが、実際にどうやって計測するかが問題です。
グーグルビジネスプロフィールには、電話タップ数や「ウェブサイトクリック数」などの基本的な指標が表示されます。また、グーグル広告の「コンバージョン設定」を使えば、電話発信や予約ページへの遷移を計測することも可能です。
ただ、ここで見落とされがちなのが「広告経由ではない電話」との分離です。例えば、グーグルマップから直接電話をかけてきたお客さんと、広告をクリックして電話してきたお客さんを区別できていないと、費用対効果の計算が正確にできません。
Aさんの店舗では、最終的に次の方法で整理しました。
チェックポイント①:電話の流入元を分けて記録しているか
電話が鳴ったとき「どこで知りましたか?」と一言スタッフが聞く、あるいは広告専用の電話番号を設定するなど、流入元を分ける仕組みが必要です。
✅ ポイント:スタッフに「なぜ聞くか」を説明しないまま指示すると定着しません。「この数字が月のコストと直結する」と伝え、店長を巻き込むことが先決です。
チェックポイント②:予約システムに「流入元」を記録できているか
予約システムを使っている場合、予約時の備考欄や属性項目に「グーグル広告経由」「グーグルマップ経由」などのラベルを付けることで、後からコホート分析が可能になります。
✅ ポイント:飲食店の予約・顧客管理システム導入の流れでも解説していますが、システム導入後に「誰がどう使うか」を決めずに入れると、この種のデータは蓄積されません。
チェックポイント③:2回目の来店率を月次で把握しているか
広告で新規客を集めたとして、その方が翌月に戻ってきているかどうかは、CRM(顧客管理)の仕組みがなければ追えません。再来店率の計測なしに広告投資の判断はできません。
✅ ポイント:「再来店率は何%ですか」という問いに即答できない段階では、広告よりも先に再来店の仕組みを整える方が、投資対効果が高くなります。
✓ ここまでのポイント
- グーグル広告の効果を測るには、電話・予約の流入元を「広告経由」と「それ以外」に分ける計測体制が先に必要
- 予約システムへの流入元ラベル付けと、2回目来店率の月次把握が、広告費の正当性を判断する最低ラインになる
QSCの数値化やLINEを使った再来店の仕組みを「実際に自店でどう動かすか」が次の問いになってきた段階だと思います。グルメサイトに依存しない独自の集客網の作り方や、割引ゼロで成果を出す販促100など、仕組みを自分で設計するための資料を無料でまとめて入手できます。登録はメールアドレスのみ、無料です。
店長と「精神論」ではなく「数字」で話すために
ここからが、Aさんとの対話で最も時間をかけた部分です。
広告の話を整理する中で、別の問題が浮かび上がりました。3店舗あるうち、1店舗だけ電話の取りこぼしが多く、予約転換率が他の2店舗と比べて明らかに低い。でも、その店長に「何とかしてくれ」と言っても、具体的に何を改善すればいいのかが伝わらない——という悩みでした。
「『もっと頑張れ』では誰も納得しません。店長が動くのは、自分の店の数字と他の店の数字を並べて見せたときです。感情ではなく、事実が人を動かします。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
Aさんの場合、まず着手したのはQSCのスコアリングです。QSC(Quality:品質、Service:サービス、Cleanliness:清潔さ)を「感覚」ではなく「点数」で評価する仕組みを店舗ごとに導入しました。
例えば「電話対応のスピードと折り返し率」「ピーク時の注文取りまでの待ち時間」「トイレの清掃チェック頻度」などを数値化し、月1回の店長会議でその数字を並べる。すると「うちの店は電話の折り返しが翌日になっているケースが多い」という事実が出てきました。
この数字があれば、「もっと丁寧に対応して」ではなく「折り返しを当日中に完了させる。対応者と時間帯のルールを今日決めましょう」という具体的な議論ができます。
飲食店の販促効果がわからないまま続けていませんか?数字で判断する方法でも触れていますが、「効果がある・ない」を感覚で話し合っても、現場は変わりません。QSCの数値化は、広告を正しく機能させるための「店の土台」を整える作業でもあるのです。
LINEが「広告の補完」ではなく「リピートの主軸」になる理由
Aさんの店舗でもう一つ取り組んだのが、LINE公式アカウントを活用した再来店の仕組みです。
グーグル広告で新規客を集めても、2回目の来店に繋げる仕組みがなければ、毎月広告費をかけ続けないといけません。これは、底に穴の開いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。
LINEを活用したリピーター施策の核心は「来店時にLINE友だちになってもらう」「来店履歴に応じたメッセージを送る」というシンプルな流れです。ただし、ここでもやはり「数字で判断する」視点が重要になります。
増益繁盛クラブの会員さんの中には、モバイルオーダーの導入をきっかけにLINEとの連携を整えた結果、こんな声をいただいています。
「LINE友だちが増えて、再来店客数も含めた来店者総数が伸びた。広告費を増やさなくても、来店数が上がってきた。」
増益繁盛クラブ会員(飲食店経営者)
このケースで重要なのは「LINE友だちが増えた」ではなく「来店者総数が伸びた」という部分です。友だち数は手段であって、目的は来店です。この区別ができているかどうかが、LINE施策が成果に繋がるかどうかの分かれ目になります。
Aさんの店舗では、LINE友だち登録者へ月2回配信するメッセージに「来店回数に応じた特典」を組み込み、3ヶ月後の再来店率の変化を追いかける設計にしました。数字を追う仕組みがあるから、次の打ち手が判断できます。
なお、モバイルオーダーとLINEの連携によるリピーター戦略については、私たちが提供しているdainiiモバイルオーダーシステムの導入支援の中でも、90日間の定着伴走としてサポートしています。ツールを入れて終わりではなく、数字が動き始めるまで並走するスタイルです。
広告を出す「前」に整えるべき順序
ここまでの話を整理すると、グーグル広告を飲食店が正しく使うための順序は次のようになります。
❌ よくあるパターン
- 広告を出す→クリックが来る→来店しているかどうかわからない→「効果がなかった」で終わる
- 広告費を増やしても、再来店の仕組みがないため毎月新規客を獲得し続けないといけない
✅ 推奨アプローチ
- ①電話・予約の流入元を計測できる体制を作る
- ②QSCを数値化し、店舗ごとの差を事実ベースで把握する
- ③LINEを使った再来店の仕組みを先に整える
- ④再来店率が一定水準に達したら、広告で新規集客を加速する
この順序を逆にすると、広告費は「穴の空いたバケツへの水」になります。逆に言えば、③まで整っている店は、広告を出したときの費用対効果が格段に上がります。
「広告を出す前に『再来店率は何%ですか』と必ず聞きます。この答えが出てこない段階では、広告よりも先に整えるべきことがあります。効果が見込めない状態で広告費を使わせたくないんです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
広告の話は、実は「店の仕組みが整っているかどうか」の問いと表裏一体です。飲食店の広告の種類と選び方、費用対効果を数字で比べる方法もあわせて読んでいただくと、どの広告手段が自店に向いているかの判断材料になります。
まとめ:「数えること」から始める広告準備
グーグル広告を始める前に決めておきたいことは、広告の設定でも予算の設定でもなく、「今の店で、何が数えられているか」の確認です。
予約件数、電話件数、流入元、再来店率——これらが計測できている店は、広告を始めたときに「効いている・効いていない」を判断できます。計測できていない店は、広告費が正しく使われているかどうかすら評価できません。
そして、数字が出てくると、店長との会議も変わります。「もっと頑張れ」という言葉が、「折り返し電話の当日完了率を先月の60%から80%に上げる」という具体的な目標に変わる。この変化が、広告以上に売上と利益を動かすことも少なくありません。
まずは自分の店で、今月何件の電話があって、何件が予約に繋がったか——そこから始めてみてください。
ご相談は電話でも受け付けています。
📞 0543518655(有限会社繁盛店研究所)
月〜金 10:00〜12:00 / 13:00〜15:00
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