こんにちは、ハワードジョイマンです。
郊外の幹線道路沿いを走っていると、かつて賑わっていた場所に「テナント募集」の貼り紙を見かけることがあります。人口の流出、高齢化、若年層の外食離れ——これらは「いつか来る問題」ではなく、地方の居酒屋オーナーが毎月の数字として向き合っている現実です。
ただ、こう言うと「じゃあ撤退するしかないのか」と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。人口が減っているエリアでも、来店者数を伸ばしている店はあります。その差を分けるのは「立地」や「料理の腕」だけではなく、経営の仕組みが属人的かどうかという点です。
今回は、地方ロードサイドで複数店舗を運営する居酒屋を想定して、「次の世代に渡せる経営モデル」の考え方をお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 人口減少エリアで来店者数を伸ばすために押さえたい施策
- 属人的な経営から「データで判断できる仕組み」へ移行するステップ
- LINE活用によるリピーター戦略が事業承継にどう効くか
- 次世代に経営を渡せる「再現性のある店づくり」の構造
こんな方におすすめ
- ✅ 地方・郊外のロードサイドで3〜15店舗を運営している居酒屋オーナーの方
- ✅ 人口減少が進む商圏で、新規集客よりリピーター強化にシフトしたい方
- ✅ 親の代から続く店を引き継いだ、または今後承継させたいと考えている方
- ✅ 店長ごとに数字が違う理由を説明できず、仕組み化に困っている方
- ✅ 自分の勘に頼った経営から脱却し、データで動ける体制を作りたい方

「オーナーがいないと回らない店」は、承継できない
地方ロードサイドで複数店舗を運営しているオーナーから、よく聞く悩みがあります。「売上は落ちていないのに手元に利益が残らない。そして、自分がいないと店が回らない」というものです。
数字だけ見れば悪くない。でも月次の損益が出るのは翌月中旬で、その頃には打てる手がほとんどない。店長ごとにFLコストも客単価もバラバラで、なぜその差が生まれているかを説明できない——こうした状態は、規模が大きくなるほど起きやすくなります。
「自分の勘に依存した経営は、自分にしか継げません。作り上げてきたものを次の世代に渡すには、まず判断の根拠をデータに移すことが先決です。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)
見落とされがちなのが、常連客の管理が「オーナーの頭の中」にしかないという問題です。「あの常連さんが先月来ていない」と気づくのは、偶然その話題が出たときだけ。失客に気づく仕組みがないのです。
「再来店率が何%かわからない」「LINEは登録してあるけど使いこなせていない」——そう感じながら読み進めた方は、まず自店の現状を数字で整理するところから始めるのが早道です。無料登録後すぐ使えるレシピ原価管理ツールや、増益繁盛プランナー(AI対話でリピーター戦略の方向性を整理できる5ステップ)が手元に揃います。メールアドレスだけで登録でき、無料です。
施策①:まず「再来店率」を数字で把握する
最初にやることはシンプルです。「再来店率は今、何%ですか?」という問いを立てること。答えが「わからない」なら、そこが出発点です。
再来店率が測れていない店は、新規客に費用をかけ続けても、バケツの底に穴が開いたまま水を注いでいる状態です。居酒屋のリピーターを増やす完全ガイドでも触れていますが、地方店こそ「新規より既存」の戦略が効きます。商圏の人口が限られているからです。
具体的には、POSと連携した形で顧客の来店頻度データを取り始めます。初来店から30日以内に再来店した比率、60日以内、90日以内——コホート分析と呼ばれる手法ですが、難しく考える必要はありません。「一度来てくれたお客さんが、次に来るまで何日かかっているか」を可視化するだけです。
チェックポイント①:自分の店の再来店率を言えるか
「だいたい半分くらいは常連さんだと思う」という感覚的な把握では、施策が打てません。月ごとに数字が出せる状態にすることが第一歩です。
✅ ポイント:POSデータと顧客IDを紐づけ、「初来店→30日以内再来店率」を毎月確認できる仕組みを作ることから始める。
チェックポイント②:失客に気づくタイミングが遅れていないか
常連客が来なくなっても、オーナーが気づくのが翌々月になっていることは珍しくありません。それでは手の打ちようがない。
✅ ポイント:「30日以上来店がない顧客リスト」を自動で抽出できる仕組みを用意し、週次で確認する習慣を作る。
施策②:LINEを「販促ツール」ではなく「接点維持ツール」として使う
再来店率の可視化と並行して着手したいのが、LINE公式アカウントの整備です。ここで多くの飲食店がやりがちな失敗が、「クーポンを配って終わり」という使い方です。
おすすめは、来店時にLINE登録を案内するオペレーションを標準化すること。ポイントは、登録の動機を「割引」ではなく「情報を受け取れる」価値に置くことです。旬のメニュー情報、産地の話、店長のおすすめ——こうしたコンテンツを定期的に配信し、お店との「関係性」を途切れさせない設計にします。
モバイルオーダーの導入を支援したお店からも、「LINE友だちが増えて再来店客数も含めた来店者総数が伸びた」という声が届いています。人口が減っているエリアでも、「来た人を逃さない仕組み」が機能すれば、来店者数を伸ばす余地はあります。
LINE公式アカウントで失客を防ぐ考え方も参考にしてください。LINEの本質は「一斉配信ツール」ではなく「関係性を継続するインフラ」です。この視点が変わるだけで、使い方も運用の設計もまったく変わります。
✓ ここまでのポイント
- 再来店率を数字で把握していない店は、失客が見えないまま新規集客コストだけが積み上がる
- LINEは「クーポン配信」ではなく「来た人との関係性を切らさないインフラ」として設計する
- 人口減少エリアでも、既存顧客との接点を維持する仕組みがあれば来店者総数を伸ばす余地はある
日次での数字の可視化や、LINEと連携した再来店率の管理——「やりたいのはわかるが、どのシステムで、どう設定すればいいかがわからない」という段階で止まっている方は多いです。モバイルオーダーなどの導入・初期設定から90日間の定着支援までをまとめて相談できる窓口があります。過去にIT導入で途中挫折した経験がある方にこそ、まず話を聞いてほしい内容です。
施策③:「オーナーの判断」をデータと標準オペレーションに置き換える
いちばん時間をかけたいのが、ここです。自分がいなくても店が回る状態を作ること——これが事業承継の本質でもあります。
具体的には、各店舗のFLコスト・客単価・注文点数・再来店率を、日次で確認できる経営管理の仕組みを整えます。「月次の数字が翌月中旬に出る」状態から、「前日の数字が翌朝には手元に届く」状態へ切り替えるイメージです。
そうなると、「なんとなく悪そうだな」という感覚で動いていた店長への指示が、「先週と比べて注文点数が落ちている。ドリンクの追加提案タイミングを確認してほしい」という具体的な指摘に変わります。これが属人的な経営からの脱却です。
判断の根拠がデータになれば、次世代の経営者も同じロジックで動けます。「お父さんだからできた」ではなく、「この数字がこうなったらこう動く」というルールが引き継ぎ可能な資産になるのです。
親の代から続く居酒屋チェーンの経営改革、何から手をつけるかでも書きましたが、承継の準備は「誰かに任せる直前」から始めるのでは遅すぎます。今の経営の中に、再現性を埋め込んでいくことが重要です。
どんな店でも使えるポイント
人口減少エリアで生き残るためにやることは、決して「特別な施策」ではありません。
❌ よくある対応パターン
- グルメポータルへの掲載費を増やして新規集客を強化する
- 値下げや大型クーポンで客数を維持しようとする
- 「なんとかなるだろう」と数字から目を背ける
✅ おすすめのアプローチ
- まず再来店率を測り、「どこで客が抜けているか」を特定する
- LINEを活用して既存顧客との接点を維持し、来店頻度を上げる
- 日次での数字の可視化により、オーナー不在でも判断できる仕組みを作る
大切なのは「仕組みを先に作り、その仕組みに経営を乗せる」という順序です。
モバイルオーダーシステムを活用すると、注文データと顧客データを連携させやすくなり、こうした仕組みの土台を作りやすくなります。ただし、ツールを入れただけでは何も変わりません。大切なのは、そのデータを使って「誰が・何を・いつ判断するか」というオペレーションをセットで設計することです。
まとめ:地方の居酒屋が生き残る経営モデルの本質
人口減少は、どの地域でも避けられない現実です。ただ、その現実の中でも「来た人をリピーターにする仕組み」と「データで動けるオペレーション」を持つ店は、生き残る力を持ちやすくなります。
そしてもう一つ、見逃しがちな視点があります。それは事業承継の問題です。人口が減る地域ほど、後継者が「自分にはできない」と感じやすい。でも、判断のロジックがデータと仕組みの中に落とし込まれていれば、次世代は「引き継ぐ」のではなく「続ける」ことができます。
属人的な経営は、一代限りの経営です。今日からでも、「この判断をデータに移せないか」という問いを持ちながら店を見てみてください。来店頻度を上げる具体的な施策も参考にしながら、まずは自店の再来店率を数字で把握するところから始めてみましょう。
「次の世代に渡せる経営にしたい」——その思いがあるなら、最初の一手は仕組みの設計です。オーナーの勘をデータに置き換え、誰でも再現できる店づくりを一緒に進めるための相談を受け付けています。地方ロードサイドの3〜30店舗規模で、複数システムを併用している状況でも対応可能です。