こんにちは、ハワードジョイマンです。
9月に入ると、秋の行楽シーズンへ向けてインバウンド客の動きがまた活発になってきます。京都や大阪、東京だけでなく、静岡・富士山エリアでも外国人旅行者を見かける機会が増えたと感じる方は多いのではないでしょうか。
で、あなたのお店にも最近、外国人のお客さんが来店されていますか?
「来てくれるのはありがたいんだけど、スタッフが英語を話せなくて、注文が成り立たなかった」「なんとか対応できたけど、また来てもらえたかどうかわからない」——インバウンド客を迎える飲食店では、こうした悩みがよく聞かれます。
今回は、そこに正面から向き合う方法として、LINE公式アカウントを入口にしてインバウンド客の「その後」をつなぎとめる仕組みを、居酒屋チェーンを想定して解説します。「外国語対応できるスタッフを採用する」という力業ではなく、仕組みで解決するところがポイントです。
📋 この記事でわかること
- 言語の壁がインバウンド客の失客につながる具体的な構造
- LINE公式アカウントと自動翻訳の組み合わせで何が変わるか
- LINE友だち登録を再来店・来店者総数の増加につなげる流れ
- 多店舗展開を考える飲食チェーンが仕組み化で得られるもの
こんな方におすすめ
- ✅ 外国人のお客さまが来店しているが、スタッフの語学力に頼った対応になっている方
- ✅ インバウンド客を取り込みたいが、人的コストをかけずに仕組みで対応したい方
- ✅ LINE公式アカウントは作ったものの、友だち登録が増えず再来店につながっていない方
- ✅ 複数店舗で外国語対応の品質にばらつきがあり、均一化したい方
- ✅ 「来てくれた外国人のお客さんがその後どうなったか」を追えていない方

「また来てくれたか」が分からない、インバウンド客の失客問題
まず前提として確認しておきたいのが、インバウンド客の「失客」は目に見えにくいという点です。
日本人の常連客であれば、「最近来てないな」と肌感覚でわかります。でも、旅行者として来た外国人のお客さんは、そもそも「1回きりが前提」と思われがちです。だから再来店がなくても「仕方ない」と片づけられてしまう。
ところが実際には、同じエリアに複数日滞在する旅行者は珍しくありません。気に入った店があれば翌日また来る、ということもありえます。さらに帰国後にSNSで情報を発信したり、次の来日時に再訪したりする可能性もあります。
ここで問題になるのが「言語の壁」です。スタッフが英語・中国語・韓国語を話せれば接客は成り立ちますが、それはスタッフの個人能力に依存した状態。そのスタッフが不在の日、あるいはそもそも語学対応できる人材を採用できていない店では、注文が伝わらず、お客さんが困ったまま帰る——というシーンが起きます。
「外国語対応はスタッフの能力に頼ると、日によって品質がバラつきます。仕組みで補えるところは仕組みにしてしまう、そのほうが店舗も、お客さまも、楽になります」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)
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多店舗の居酒屋で起きやすいこと——対応の属人化と失客の連鎖
たとえば、複数店舗を運営する居酒屋チェーンがあったとします。
観光スポットの近くにある店舗には、週末を中心にインバウンド客が訪れる。英語対応できる店長がいる日は問題なく注文が完結するけれど、その店長が休みの日や、別の店舗ではうまくいかない——こうした状態は珍しくありません。
メニューが日本語のみだと、写真があるものはまだしも、ドリンクメニューになると説明ができず、お客さんが「とりあえずビール」の一言だけで終わってしまう。追加注文が生まれにくいため、インバウンド客のテーブルだけ客単価が低くなりがちです。
さらに深刻なのは、お客さんとの接点がその場限りで終わってしまうことです。名前もわからない、また来てくれるかどうかもわからない。「なんとなく来てくれた、なんとなく帰った」という状態が積み重なっていきます。
そこで考えたいのが、LINE公式アカウントを軸にした仕組みの再構築です。
LINE公式アカウントで「接点」を生み、翻訳機能で「注文」をつなぐ
まず行いたいのは、店内のQRコードからLINE公式アカウントへ誘導する導線づくりです。テーブルと入口に多言語表記のPOPを設置し、「メニューを見るにはLINEを使ってください」という流れを作ります。
ここで役立つのが、LINE公式アカウントと連携できるモバイルオーダーです。製品によっては、LINEから注文画面へアクセスすると、スマートフォンの言語設定に合わせて自動翻訳が表示されるものがあります。そうすれば、スタッフが英語を話さなくても、お客さんはメニューを自分の言語で確認して注文できます。
そうなると何が変わるか——まず、追加注文が生まれやすくなります。「ドリンクは?」と聞いても通じなかった場面が、画面上で「これとこれ」と選べる流れになる。スタッフも楽になり、客単価の改善も期待できます。
でも、より大きいのは「その先」です。
LINE公式アカウントの友だちとして登録されたお客さんには、その後も日本語と英語の両方でメッセージを送ることができます。滞在期間中に「明日もお待ちしています」とメッセージを送れば、翌日の再来店のきっかけになります。帰国後も、次の来日時に思い出してもらう接点として残ります。
モバイルオーダーの導入を支援したお店からは、「LINE友だちが増えて、再来店客数も含めた来店者総数が伸びた」という声をいただいています。
インバウンド客単体の話だけでなく、LINE友だちとしてつながった全体の来店者数が動いた、という点が重要です。LINE公式アカウントは、国内のリピーター施策とインバウンド対応を同時に動かせるプラットフォームになっています。
✓ ここまでのポイント
- インバウンド客の失客は「旅行者だから仕方ない」で片づけられがちだが、再来店・SNS拡散・次回来日という可能性がある
- 言語対応をスタッフの能力に依存すると、店舗・曜日によって品質がバラつく
- LINE公式アカウント+モバイルオーダーの自動翻訳を組み合わせると、接点づくりと注文の完結を同時に仕組み化できる
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多店舗展開チェーンに「仕組み化」が必要な理由
こうした取り組みを進めるとき、多店舗チェーンがぶつかりやすいのが「1店舗でうまくいっても、他の店舗で再現できない」という壁です。これは飲食チェーンの属人化を外す3つのポイントでも詳しく取り上げている問題で、多店舗展開における最も根深い課題のひとつです。
一部の店舗だけ「インバウンド対応がうまくいっている」状態で、残りの店舗は手つかず、ということもよくあります。「あの店長がいるからできる」という状態は、仕組みと呼べません。
解決のポイントは「標準化」です。
チェックポイント①:対応品質が「人」に依存していないか
語学対応できるスタッフが不在の日に、外国人のお客さんが来たときのオペレーションが決まっていますか?「なんとかする」は属人化の典型です。
✅ ポイント:注文をLINE経由のモバイルオーダーに集約することで、スタッフの語学力に関係なく注文が完結する状態を先に設計する。
チェックポイント②:来店客との接点がその場限りで終わっていないか
外国人のお客さんが来店したとき、LINE友だち登録への誘導がスタッフまかせになっていると、登録率にばらつきが出ます。
✅ ポイント:テーブルのQRコードからLINEへの誘導を仕組みとして設計し、スタッフが「声をかけなくても」登録が起きる導線を作る。
チェックポイント③:LINE配信の内容が日本語オンリーになっていないか
友だち登録まで取れても、その後のメッセージが日本語のみだと、外国人フォロワーとの接点が活きません。
✅ ポイント:配信メッセージに英語(あるいは主要なインバウンド客の言語)を添えることで、再来店を促すコミュニケーションができる。LINEを使った配信についてはLINE配信の活用方法も参考になります。
「誰が対応しても同じ結果が出る」状態が、チェーンの価値になる
全店に展開するときは、LINE公式アカウントの設定や配信文の作り方をフォーマットにしておくことが大切です。店長が戸惑いやすい部分をフォーマットで埋めておけば、「やること」が明確になり、運用が回り始めます。
飲食店のLINE公式アカウント活用については別記事(飲食店のLINE公式アカウント活用ガイド)でも基本を解説しているので、これから始める方はそちらも参考にしてみてください。
結論から言うと、インバウンド対応を「スタッフの得意・不得意」に任せている限り、チェーンとしての対応品質は均一化できません。でも逆に言えば、仕組みさえ整えれば、語学力がないスタッフでも外国人のお客さんを気持ちよく迎え、LINEで接点を持ち、再来店を促せるようになる。
「外国語対応の問題は、採用で解決しようとするから難しくなる。注文の仕組みと接点の設計を変えるだけで、今のスタッフのまま対応できる状態になります」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)
私自身、飲食店を中心に833件以上の支援を通じて感じてきたのは、「採用」や「人の能力」で解決しようとすると、コストと時間がかかりすぎるということです。仕組みで解決できることは仕組みにする——これが「がんばらない経営」の本質です。
まとめ:「また来たい」をつかまえるのは、仕組みの役割
インバウンド客は、来店してくれた瞬間だけが接点ではありません。LINEでつながれば、その後も関係を続けられる。自動翻訳で注文の壁をなくせば、客単価も改善できる。そしてそれを全店で均一に提供できる状態にすることが、チェーンとしての強みになります。
「うちはインバウンドが少ないから」という声もよく聞きますが、来店者のうち何人が外国人で、その何人がLINE登録していて、何人が再来店しているか——この数字を把握している飲食店経営者の方は、まだ多くありません。
まず「見える化」から始めること。それが、失客を防ぐ最初の一歩です。
「誰が対応しても同じ結果が出る」仕組みを全店に展開したい、というところまで読み進めていただけたなら、次は自分の店の現状を整理するタイミングです。有限会社繁盛店研究所では、導入前の状況診断から設定代行・90日間の定着伴走までをパッケージで提供しており、過去にIT導入で失敗した経験がある方の相談も受け付けています。