飲食店DX

ABC分析とは?飲食店のメニュー収益性を見抜く方法

実は、飲食店の売上上位20品で全体の売上の約80%を占めているケースが多い一方、その「売れ筋20品」の中に粗利がマイナスに近いメニューが含まれている例も珍しくありません。つまり、頑張って売れば売るほど原価率が上がる「勝ちを装った敗因」が、どの店にも潜んでいるのです。

こんにちは、ハワードジョイマンです。静岡県清水区を拠点に、飲食店経営者の利益構造改善を支援して21年になります。今回は、その現場で何度も使ってきた「ABC分析」の考え方と、飲食店のメニュー収益性を見抜く具体的な手順をお伝えします。

📋 この記事でわかること

  1. ABC分析の基本的な定義と、飲食店における使い方
  2. 「売れ筋=儲け筋」という思い込みを崩す分析の4軸
  3. 原価率悪化の犯人をメニュー単位で特定する手順
  4. 分析結果を新店立ち上げに活かして、黒字化を早める方法

こんな方におすすめ

  • ✅ 売上は前年並みなのに、手元に利益が残らないと感じている方
  • ✅ 原価率が上がっている原因をどのメニューで特定すればいいか分からない方
  • ✅ 新店を出すたびにメニュー設計をゼロからやり直している方
  • ✅ 多店舗展開を計画しているが、黒字化まで時間がかかって悩んでいる方
  • ✅ 「儲かるメニュー構成」を数字で語れる経営者になりたい方
ABC分析とは?飲食店のメニュー収益性を見抜く方法 | 有限会社繁盛店研究所(Dinii正規代理店:モバイルオーダーシステム)

ABC分析とは何か?飲食店での意味は?

ABC分析とは、商品・メニューを「重要度の高い順」にA・B・Cの3グループに仕分けする分類手法です。もともとは在庫管理の世界で使われていましたが、飲食店では「どのメニューが利益に貢献しているか」を見極めるために使います。

一般的には「売上の高い順」に並べてランク付けするだけで終わる場合が多いのですが、それだけでは不十分です。飲食店において本当に知りたいのは、「出数が多いメニューが、実際に利益を生んでいるかどうか」です。売上金額と粗利率は別物ですから、売れている品=儲かっている品とは限らない。ここを混同したまま走ると、努力が空回りします。

結論から言うと、飲食店でのABC分析は「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸で行うのが実践的です。

なぜ「売れ筋=儲け筋」という思い込みが危険なのか?

支援先の居酒屋さんで、こんなことがありました。月次の売上を見ると人気メニューランキング1位の看板鍋がよく出ている。でもFLコスト分析をかけてみると、その鍋の原価率が58%近くあった。しかも食材ロスが多く、仕込みに時間もかかっている。お客さんには喜ばれていますし、集客目的として意味はある。ただ、利益構造という視点では「稼ぎ手」ではなく「看板コスト」として扱うべきだった。

これは極端な例ではありません。飲食店支援610件以上の経験の中で、同様の構造は珍しくなく、むしろよくある。問題は、そのことに気づかないまま「人気メニューだからもっと売ろう」と動いてしまうことです。売るほど原価率が上がる、という矛盾が起きます。

「売上の数字を見て安心している間に、利益の出口が詰まっていることがある。大事なのは、売れた品を追いかけることより、儲かった品を守ることです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 繁盛店研究所)

メニューのABC分析はどうやって進めるのか?

実際の手順を、シンプルに4ステップで整理します。

メニュー分析 STEP 1

全メニューの「出数・売上・原価・粗利額」を一覧化する

まずはPOSデータを使って、一定期間(最低1ヶ月、できれば3ヶ月)の出数と売上を引っ張ります。そこに各メニューの仕入れ原価(食材費)を紐づけ、粗利額=売上ー原価を算出します。ここが出発点です。

⚠️ よくある失敗:「出数の多い順に並べて終わり」にしてしまうこと。出数の多さだけで判断すると、粗利の低いメニューが「優秀」と誤認されます。

メニュー分析 STEP 2

粗利額の累計で「A品・B品・C品」に仕分ける

粗利額を高い順に並べ直し、粗利累計が全体の70%に達するまでのグループを「Aランク」、次の20%を「Bランク」、残り10%を「Cランク」とします。売上ではなく粗利額でランク付けするのがポイントです。

⚠️ よくある失敗:売上金額で並べ替えてABCを決めてしまう。高単価メニューが自動的にA判定になり、真の儲け筋が埋もれます。

メニュー分析 STEP 3

出数ランクと粗利ランクのズレを探す

「出数は多いのに粗利ランクがC」→原価の見直しか価格設定の再検討が必要なメニュー。「出数は少ないのに粗利ランクがA」→もっと売れるよう訴求すれば、店全体の利益が改善するメニュー。このズレにこそ、打ち手があります。

⚠️ よくある失敗:ズレを発見して終わり。「だから次にどうするか」まで落とし込まないと、分析が報告書止まりになります。

メニュー分析 STEP 4

リピート率(再注文率)を第4の軸に加える

同じお客さんが「また来たときに注文するメニュー」かどうかも、収益性を測る重要な指標です。特にモバイルオーダーシステムを活用すると、同一顧客の注文履歴と来店回数が紐づくため、「このメニューが再来店のきっかけになっているか」が見えてきます。

⚠️ よくある失敗:一時点のデータだけで判断すること。季節変動や曜日特性を考慮せずに「廃止」を決めると、常連さんの離脱につながることがあります。

✓ ここまでのポイント

  • ABC分析は「売上」ではなく「粗利額」を軸にランク付けするのが飲食店での正しい使い方
  • 出数ランクと粗利ランクの「ズレ」に、原価率悪化の原因が隠れている
  • リピート率を第4軸に加えることで、メニューの長期的な価値が見えてくる

ABC分析の結果を、新店の立ち上げにどう活かすのか?

ここからが、多店舗展開を考えている経営者の方に特に聞いてほしい話です。

新店を出すたびにメニュー設計をゼロから行っている経営者の方は多いです。現場の勘と経験で組み立てるから、3ヶ月かけてようやく形になる。その間、黒字化は遠のく。この繰り返しに疲れていませんか。

ABC分析の真価は、実は「既存店での答え合わせ」にあります。既存店でAランクの粗利貢献メニューが明確になれば、それを新店の「最初から動かすメニュー」として設定できます。Cランクのメニューは新店では最初から外す。これだけで、立ち上げ期の原価率の乱れを防ぐことができます。

さらに、モバイルオーダーシステムを使っていれば、既存店のメニューデータ・写真・価格・オプション設定をそのまま複製して新店に展開することができます。メニュー登録に何日もかけていた作業が、大幅に短縮されます。

「新店の立ち上げが遅いのは、毎回ゼロから始めているから。儲かる仕組みを1店舗目で作り、それをコピーするだけで動く状態にする——これが多店舗展開の本来のかたちです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 繁盛店研究所)

増益繁盛クラブの会員さんの中には、既存店のABC分析をベースにメニュー構成を整理し、新店のオープン初月から黒字ラインに乗せた方もいます。「準備期間が短いほど成功する」わけではありませんが、「儲かる答えが既存店にある」という前提で動けるかどうかは、大きな差になります。

「モバイルオーダーの導入により注文点数がアップした」

居酒屋経営者(増益繁盛クラブ会員)

これは単純にオーダーの取りこぼしが減ったということだけではなく、モバイルオーダーの画面上でAランクメニューを上位表示・写真付きで訴求したことで、粗利の高い品が自然と注文されやすくなった、という側面もあります。分析と仕組みが連動したときに、初めて効果が出てくるのです。

ABC分析はどのくらいの頻度でやればいいのか?

一度やって終わり、では意味がありません。食材の仕入れ価格は変動しますし、季節や客層の変化でメニューの出数も変わります。最低でも3ヶ月に1回、理想は毎月末の数字が出たタイミングで更新することをおすすめしています。

ただ、手作業でExcelに転記して集計するのでは継続が難しい。これが続かない最大の理由です。POSシステムが自動でABC分析レポートを出力してくれる環境を作ることで、「やろうと思ったときに、すでに見える状態」にするのが現実的です。

特に多店舗展開を進めている経営者の方は、全店分の分析を毎月手動で行う時間的余裕はないはずです。データが自動で集まり、比較が一覧で見える仕組みに切り替えることが、経営判断のスピードを上げることに直結します。

まとめ:ABC分析は「売れ筋を守る」ためではなく「儲け筋を育てる」ためにある

ABC分析は難しい理論ではありません。「粗利の高い順にメニューを並べ直し、ズレに注目する」——それだけです。ただ、このシンプルな作業を継続できる仕組みを持っているかどうかが、月末の通帳残高に影響してきます。

そして、このメニュー分析の結果を新店の設計に活かすことで、立ち上げのスピードは確実に変わります。毎回ゼロから始める必要はない。既存店の「儲かる答え」を、仕組みごと複製する発想に切り替えてみてください。

「自分の店のメニューで、どれが本当の儲け筋なのか分からない」「新店を出すたびに黒字化まで時間がかかる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。メニューの収益性診断から、モバイルオーダーを活用した仕組みづくりまで、一緒に整理しましょう。お気軽にどうぞ。

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