こんにちは、ハワードジョイマンです。
突然ですが、驚くべき実態をお伝えします。私がこれまで支援してきた飲食店610件以上のうち、「売れ筋メニューのトップ3が、実は利益を最も圧迫していた」というケースが、全体の6割を超えます。つまり、一生懸命売っているあのメニューが、店の利益を静かに蝕んでいるかもしれないのです。
「え、そんなはずはない。よく出るということはそれだけ売上に貢献しているはずだ」——そう思う気持ち、よくわかります。でも、売上への貢献と利益への貢献は、まったく別の話なんです。
今日は「売れ筋」と「儲け筋」の違いを、具体的な数字のしくみから整理していきます。特に、多店舗展開を考えている飲食店経営者の方には、ここを理解してからでないと、スケールすればするほど損失が拡大するリスクがあります。ぜひ最後まで読んでみてください。
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は悪くないのに手元に利益が残らない方
- ✅ 原価率が上がっているが、どのメニューが原因か特定できていない方
- ✅ ABC分析を導入しているが、いまひとつ使いこなせていない方
- ✅ 多店舗展開を計画中で、収益構造を整理したい方
- ✅ 事業承継した2代目で、先代から引き継いだメニューを見直したい方
📋 この記事でわかること
- 「売れ筋」と「儲け筋」の定義の違いと、なぜ混同が起きるのか
- Aランク商品が利益を生まない具体的なメカニズム
- 4軸分析(出数・売上・粗利・リピート率)を使ったメニューの正しい評価方法
- 儲け筋を育てるための具体的な次のアクション

「Aランク=儲かるメニュー」という思い込みがなぜ危ないのか
多くの飲食店では、POSデータを使って「出数の多い順」にメニューをA・B・Cに分類するABC分析を行っています。これ自体は正しいアプローチです。ただ、問題は「Aランクに入ったメニューは優秀だ」という前提で経営判断をしてしまうことです。
出数が多いということは、確かに「お客さまに選ばれている」という事実を示します。でも、それは「店に利益をもたらしている」こととイコールではありません。
例えば、こんな状況を考えてみてください。
- 唐揚げ定食:1日60食 × 850円 = 売上51,000円 / 原価率42%
- 刺身盛り合わせ:1日15食 × 2,200円 = 売上33,000円 / 原価率28%
出数ベースのABC分析では、唐揚げ定食が間違いなくAランクです。でも粗利で計算すると——
- 唐揚げ定食の粗利:51,000円 × 58% = 約29,580円
- 刺身盛り合わせの粗利:33,000円 × 72% = 約23,760円
出数で4倍の差があっても、粗利の差は6,000円弱。さらに、唐揚げ定食はキッチンの手間(揚げ物のオペレーション)が多く、スタッフの稼働を大きく圧迫しています。
これが「Aランクなのに利益を圧迫している」状態の典型例です。
売れ筋と儲け筋を分ける4つの軸
では、本当に「儲け筋」を見つけるにはどうすればいいのか。私がクライアントの方に使っていただいているのは、以下の4軸で商品を評価する方法です。
チェックポイント1:出数(需要の確認)
そのメニューは実際に何食出ているか。POSデータで集計できる最も基本的な指標です。ただし、これだけで判断するのが「よくある失敗」です。
✅ ポイント:出数は「需要があるかどうか」を示すだけ。儲かるかどうかは別の軸で見ること。
チェックポイント2:粗利額(儲けの確認)
売上 × (1 - 原価率) で算出できる粗利額。原価率が高いメニューは、いくら売れても手元に残るお金が少ない。原価率ではなく、必ず「粗利額」で比較してください。
✅ ポイント:「原価率が低いから良い」ではなく、「粗利額が大きいから良い」という発想に切り替えること。
チェックポイント3:売上構成比(貢献度の確認)
全体売上に対して、そのメニューが何%を占めているか。売上構成比が高いのに粗利が薄いメニューは、店全体の利益率を引き下げる「ドレイン(排水口)」になっています。
✅ ポイント:構成比の高いメニューほど、原価の1〜2%の改善が店全体の利益に直結する。
チェックポイント4:リピート率(関係性の確認)
そのメニューを注文したお客さまが、再来店しているかどうか。CRMデータを持っている店では、メニュー別のリピート率を出すことができます。儲け筋の最終形は「高粗利 × 高リピート」の組み合わせです。
✅ ポイント:リピート率が高いメニューは、そのメニュー自体が「来店理由」になっている。積極的に前面に出す価値がある。
✓ ここまでのポイント
- 出数ベースのABC分析だけでは「儲け筋」は見えない
- 「粗利額」「売上構成比」「リピート率」を加えた4軸で評価することが必要
- Aランクメニューが原価率・オペレーションコストの面で利益を圧迫しているケースは珍しくない
「売れているメニューを疑うのは勇気がいる。でも、その勇気を持てた経営者だけが、2年後に利益を手元に残せています」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所)
❌売れ筋思考 vs ✅儲け筋思考——経営判断の分岐点
❌ 売れ筋思考(よくあるパターン)
- 「出数が多い=良いメニュー」という前提で販促を設計する
- 原価率を一律で管理しようとして、メニューごとの粗利を見ていない
- 売れているからこそ、そのメニューをSNSやPOPで積極的に推進している
- 結果として、売れば売るほど利益が薄くなる構造を強化してしまう
✅ 儲け筋思考(推奨アプローチ)
- 「粗利額が大きく、リピート率が高いメニュー」を軸に販促を設計する
- 儲け筋メニューをモバイルオーダーのトップ画面・おすすめ枠に配置し、自然な誘導をかける
- 原価率が高い売れ筋は、仕入れ見直し・レシピ改善・提供形態の変更で改善を試みる
- 改善できない場合は、客単価に影響しない形でフェードアウトさせることも選択肢に入れる
ここで一つ重要なことをお伝えします。「儲け筋メニューを前面に出す」というのは、単にPOPを変えたりメニュー表の順番を入れ替えたりするだけではありません。お客さまの注文行動そのものに働きかける仕組みが必要です。
増益繁盛クラブの会員さんの中には、モバイルオーダーのトップ画面に粗利の高いメニューを「おすすめ」として表示するだけで、2ヶ月後に客単価が18%アップしたというケースもあります。「注文してもらいたいメニューを、お客さまが自然と選ぶ導線をつくる」——これが儲け筋思考の実践です。
儲け筋メニューを育てる3つのステップ
メニュー収益性改善 STEP 1
全メニューを4軸で棚卸しする
まずは現状把握から。POSデータから「出数・売上・粗利額・構成比」を出し、さらにCRMデータと照合して「リピート率」を加えた一覧を作成します。最初の一覧を見た経営者の方の多くが「こんなに差があったのか」と驚かれます。
⚠️ よくある失敗:原価率の数字が頭に入っているから「だいたいわかっている」と思って棚卸しを後回しにする。実際に一覧にしてみると、思い込みとのギャップが必ず出てきます。
メニュー収益性改善 STEP 2
儲け筋候補を「育てる枠」に配置する
4軸分析の結果、「粗利が高くてリピート率も高いが、出数がまだ少ない」メニューが見つかったら、それが「儲け筋の原石」です。このメニューに意図的に露出を増やします。メニュー表の配置、モバイルオーダーのおすすめ表示、スタッフによる声がけ——これらを組み合わせて出数を引き上げます。
⚠️ よくある失敗:露出を増やしただけで終わる。売れた後のデータを追わず、次のPDCAを回せないままになる。
メニュー収益性改善 STEP 3
利益を「見える化」して月次ではなく週次で追う
メニュー構成を変えた効果は、最低でも2〜4週間後に数字として現れます。これを月次でしか見ていると、判断が常に後手に回ります。日次または週次で粗利の推移を確認できる環境を整えることで、施策の精度が上がります。
⚠️ よくある失敗:手作業の集計に頼り、データが出るまでに10日以上かかる。結果として「やってみたけど効果があったかどうかわからない」で終わる。
「メニューの見直しは、勇気の問題ではなくデータの問題です。正しいデータがあれば、誰でも正しい判断ができる。データのない経営は、地図なしで登山しているようなものです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・繁盛店研究所)
「モバイルオーダーを導入してから、注文点数が明らかに増えました。特におすすめ表示のメニューがよく出るようになって、気づいたら客単価も上がっていました」
居酒屋経営者(40代・男性)
まとめ|売れ筋に頼る経営から、儲け筋を育てる経営へ
結論から言うと、「売れ筋=儲け筋」という思い込みが、多くの飲食店の利益を静かに奪っています。Aランク商品が原価率の高さとオペレーションコストで利益を圧迫しているケースは、決して例外ではありません。
大切なのは「出数」という一軸ではなく、「出数・粗利額・売上構成比・リピート率」という4軸で商品を評価すること。そして、儲け筋の原石を見つけたら、それをお客さまが自然に選ぶ導線に変えていくこと。
この一連の取り組みを「仕組み」に落とし込んだ飲食店は、売上の数字はそのままでも手元に残る利益が変わっていきます。月商350万円から620万円へ——これは決して奇跡的な数字ではなく、メニュー収益性の見直しと客単価向上の仕組みづくりが積み重なった結果です。
もし「うちのメニュー、本当に利益を生んでいるのだろうか」と気になった方は、一度データを整理してみてください。まず何から手をつけていいかわからないという方は、お気軽にご相談ください。
メニューの収益性分析からモバイルオーダーの設定まで、どう連携させれば儲け筋を育てる仕組みになるか、具体的な活用方法もご紹介しています。
静岡県静岡市清水区を拠点に、北海道から沖縄まで——飲食店経営者の方の「利益が残る経営」を、一緒に実現しましょう。お待ちしております。