飲食店DX

飲食店のCRMのやり方|顧客データをどう集め、どう活かすかの事例

こんにちは、ハワードジョイマンです。

「SNSも頑張ってる。料理のクオリティも上げた。でも、なぜか近所の競合に負けてる気がする……」

「グルメサイトに広告費を払っているが、初回来店でそれっきりになるお客さんが多い」

「お客様の顔は覚えているのに、何を好きで何回来てくれているか、データとして持っていない」

飲食店経営者の方から、こういった声をよくいただきます。共通しているのは、「お客様のことを感覚では知っているが、データとして持っていない」という状態です。

商品力だけで差をつけるのが難しい時代になりました。同じ価格帯、似た料理ジャンル、似た立地の競合が増える中で、エリアで一番選ばれる店になるための武器は「顧客との関係性の深さ」です。そして、その関係性を設計するのがCRM(顧客関係管理)です。

この記事では、「顧客データをどう集め、どう活かすか」を、実際によく起きる状況をケースとして取り上げながら解説していきます。

📋 この記事でわかること

  1. 飲食店のCRMで「集める」「活かす」の具体的な設計の考え方
  2. よくある失敗ケースと、うまくいくケースの違い
  3. モバイルオーダーなど店舗DXとCRMを連動させると何が変わるか
  4. 顧客データを「他店が真似できない関係性」に変える実践ステップ

こんな方におすすめ

  • ✅ 新規集客に費用をかけているが、2回目の来店率を把握していない方
  • ✅ グルメポータルへの依存を減らし、自前のリピーター基盤を作りたい方
  • ✅ 同業の中で抜きん出て、エリアで一番選ばれる店を目指している方
  • ✅ 過去にポイントカードを導入したが、思ったような効果が出なかった方
  • ✅ 3〜30店舗規模で、複数店舗に再現性のある集客の仕組みを作りたい方
飲食店のCRMのやり方|顧客データをどう集め、どう活かすかの事例 | 有限会社繁盛店研究所

CRMで最初に問うべき「再来店率は何%ですか?」という質問

私がコンサルティングの最初に必ずする質問があります。「御社の再来店率は何%ですか?」——この質問にすぐ答えられる飲食店経営者の方は、正直なところ多くありません。

再来店率を把握していないということは、折角来てくれたお客様が「次も来てくれたのか、それっきりだったのか」を判断する手段がない状態です。これはマーケティングとして、相当なリスクです。新規集客に広告費を使い続けても、お客様が定着しなければ「バケツに穴が開いたまま水を注ぎ続ける」構造になります。

CRMの出発点は、この穴を見つけて塞ぐことです。そのために必要なのが、「誰が、いつ、何を注文し、何回来たか」というデータの蓄積です。

「再来店率を測っていない店に、CRMを入れても意味がありません。まず測ること。測れる仕組みを作ること。そこからすべてが始まります」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

飲食店のリピート率の定義と正確な測り方については別記事で詳しく解説していますので、数値の取り方から確認したい方はそちらも参考にしてみてください。

「再来店率を測っていない」「データはあるが活かし方がわからない」——そう感じながらこの記事を読み進めているなら、まず手元に使えるツールと情報を揃えるところから始められます。飲食店コストダウンガイド(63ページ)や、グルメサイトに依存しない独自集客網の作り方など、すぐに使える資料が無料で手に入ります。メールアドレスを登録して届いた確認メールをクリックするだけで受け取れます。

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ケース1:「スタンプカード導入済み」なのにデータが活かせていない店

よくあるケースとして、紙のスタンプカードやポイントカードを長年運用しているが、それが「お客様に何かを渡すためだけのツール」になっている状態があります。

このパターンで起きる問題は3つです。

❌ スタンプカードだけのCRM(よくあるパターン)

  • 誰が何回来たか、集計できていない
  • カードを忘れたお客様の来店回数がリセットされる
  • 常連さんへの特別なアプローチができない
  • 次回来店につながるメッセージを送る手段がない

✅ デジタルCRMを連動させたアプローチ(推奨)

  • 来店回数・注文履歴が自動でデータ化される
  • 一定回数来店したお客様に自動でLINEメッセージが届く
  • 常連さんと新規さんをデータで分けてアプローチできる
  • 「久しぶりですね」の一声を、仕組みとして実現できる

飲食店のポイントカードとデジタルCRMの違いを比較した記事もありますので、「いまのポイントカードで十分か迷っている」という方はそちらも読んでみてください。

ケース2:モバイルオーダー導入店が顧客データを資産に変えるプロセス

次のケースは、モバイルオーダーを導入した店舗でCRMを本格活用し始めた場合です。これは増益繁盛クラブの会員さんの中に複数見られる実例です。

モバイルオーダーを導入したことで「注文点数がアップした」という声を多くいただいています。

「モバイルオーダーの導入により注文点数がアップした」

増益繁盛クラブ会員(飲食店経営者)

なぜ注文点数が上がるのか。スタッフが注文を取りに回る手間がなくなり、お客様が自分のペースで追加注文しやすくなるからです。同時に、システム上でレコメンドやセット提案が表示されれば、一人あたりの注文数は自然に増えます。

そしてここが重要なのですが、モバイルオーダーで記録された注文履歴は、そのままCRMのデータになります。

データ活用 STEP 1

注文履歴から「よく頼まれるメニュー」を特定する

全体のABC分析(売上貢献度による商品のランク付け)をすることで、利益率の高いメニューが実際に注文されているかどうかを確認できます。注文点数が増えても、原価率の高いメニューばかり出ていれば手元の利益は改善しません。データを見てメニューを設計し直すことが大切です。

⚠️ よくある失敗:「注文数が増えた=成功」で止まってしまい、どのメニューが利益に貢献しているかを分析しないケース。注文点数とFLコスト(食材費+人件費)はセットで確認してください。

データ活用 STEP 2

LINE連携で「来店したお客様」にメッセージを届ける仕組みを作る

モバイルオーダー時にLINE友だち登録をしてもらう流れを作ることで、来店者のLINEリストが積み上がります。このリストに対して、来店後3日目に「またのご来店をお待ちしています」ではなく、「先日ご注文いただいた◯◯、実は季節限定で11月末までなんですよ」といった、履歴に基づいたパーソナルなメッセージを送ることができます。

⚠️ よくある失敗:LINEの友だちを増やすことが目的になってしまい、登録後にクーポンを一斉配信するだけで終わるケース。それでは「割引目当てのお客様」しか残りません。

データ活用 STEP 3

来店頻度でお客様をセグメントし、アプローチを変える

月1回以上来る「常連層」、2〜3ヶ月に1回の「準常連層」、初回来店から再訪のない「休眠層」——この3つで送るメッセージの内容を変えます。常連層には感謝と新メニュー情報、準常連層には「最近来てないですよね」と気づかせるきっかけを、休眠層には「また来たくなる理由」を提供します。

⚠️ よくある失敗:全員に同じ内容のメッセージを送り続けること。常連さんに「初回限定クーポン」を送ってしまうような事故が起きます。

✓ ここまでのポイント

  • 紙のスタンプカードは「データが残らない」という致命的な弱点がある。デジタル化することで顧客データが資産になる
  • モバイルオーダーの注文履歴は、そのままCRMのデータとして活用できる。注文点数の増加と利益改善はセットで設計する
  • LINEリストはただ増やすだけでなく、来店履歴に基づいたメッセージ設計があってはじめて再来店につながる

モバイルオーダーで注文点数が増えても、その先のCRM設計がなければリピーターは増えない——そのギャップを埋めるために、まず数字で自店の現状を把握するところから始めてみてください。メニュー工学ツールや食材費計算ツールなど、日次の利益を可視化するための計算ツールが無料で使えます。登録は無料で、届いたメールの確認リンクをクリックするだけです。

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ケース3:多店舗展開で「店長によって数字が違う」を解消するCRM活用

3〜10店舗を展開しているオーナーから「店長によって数字が違う」という相談を受けることがあります。売上の差だけならまだしも、「なぜ違うのか説明できない」という状態が問題です。

CRMをチェーン全体で統一して運用すると、店舗間で次のような比較が可能になります。

  • 再来店率が高い店舗と低い店舗の違いは何か
  • 常連客の来店頻度が落ちているのは特定の店舗だけか、全体的な傾向か
  • 注文点数が高い時間帯・曜日はどこか

このデータが揃うと、「A店長の接客が良い」という感覚論ではなく、「A店舗では来店3回目以降のお客様の来店頻度が高い。その要因として、モバイルオーダー時の追加注文提案率が高い」という仮説を立てられます。再現性のある強みを言語化できれば、それを他店舗に横展開することができます。

飲食店のKPI設定と現場が動く目標の決め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。数値で店舗間を比較できる環境を整えたい方は合わせてお読みください。

顧客データを「他店が真似できない関係性」に変える、本当の意味

ここまで読んでいただいて、CRMは「データを集めるツールを入れること」ではないと気づいていただけたと思います。

結論から言うと、CRMの本質は「お客様との関係性を、担当者の記憶ではなく仕組みとして持続させること」です。

名物スタッフが辞めたら常連さんも離れた——こういった話は珍しくありません。逆に言えば、顧客データとアプローチの設計が仕組みとして残っていれば、スタッフが替わっても関係性は続きます。これが他店に真似されない強みになります。

「顧客データは、正直に言えばどんな競合も真似できません。あなたの店に来たお客様の、来店回数・注文履歴・好み——これは他店には絶対にない、あなただけの資産です。それを活かさないのは、金庫に大切なものをしまったまま鍵をなくしているようなものです」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

私がコンサルティングで飲食店経営者の方に伝えるのは、「ツールを入れることが目的ではない」という点です。モバイルオーダーもLINEも、あくまで顧客データを集めて活かすための手段です。飲食店支援実績833件以上の現場から見ると、ツールを入れただけで終わる店と、仕組みとして定着させて成果を出す店の違いは、「導入後の設計があるかどうか」に尽きます。

飲食店へのCRM導入とはじめての顧客データ活用についての基礎的な解説記事もありますので、「そもそもCRMって何から始めるの?」という方はそちらから読んでいただくのがおすすめです。

まとめ:CRMで「エリアで一番選ばれる店」を目指す

この記事でお伝えしたことを整理します。

  • CRMの出発点は「再来店率を測ること」。測れていない店は、まず計測の仕組みを作る
  • 紙のポイントカードはデータが残らない。デジタル化することで顧客データが資産になる
  • モバイルオーダーの注文履歴はCRMデータになる。注文点数の増加は、利益改善の設計とセットで考える
  • LINEリストは「ただ増やす」より「誰に何を送るか」の設計が先
  • 多店舗では店舗間のCRMデータ比較が、再現性ある強みの言語化につながる
  • 顧客データは他店が絶対に持てない、自店だけの競争資産

商品力だけで差がつかない時代に、エリアで一番選ばれる店になるために必要なのは、顧客との関係性を「感覚」から「仕組み」に変えることです。そのための第一歩として、この記事が少しでも役に立てれば嬉しいです。

具体的な進め方や、今の自店のCRM状況について話したい方は、お電話でもお気軽にどうぞ。
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