こんにちは、ハワードジョイマンです。
多店舗展開を考えている経営者の方から、よくこんな悩みを聞きます。「物件の話は来ている。でも今の店長に任せられる状態じゃない。待っていたら物件は他に取られてしまう」。
店長が育つのを待つ間に、物件は他社に取られる。これは、多店舗展開を狙うすべての経営者が直面する構造問題です。
今回は、会員ランク制度(特にプラチナ会員)の来店頻度データを武器に、この課題に向き合う考え方と手順をご紹介します。「出店を急ぎたいけれど再現性が不安」という方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
こんな方におすすめ
- ✅ 3〜10店舗規模で、次の出店タイミングを見計らっている方
- ✅ 会員ランク制度に興味はあるが、どう設計すればいいか迷っている方
- ✅ 既存店の仕組みを新店にそのまま展開したい方
- ✅ 店長が育つ前に出店したいが、失敗が怖い方
- ✅ プラチナ会員など優良顧客の来店頻度を高めたい方
📋 この記事でわかること
- 会員ランク制度でプラチナ会員の来店頻度を上げる仕組みの作り方
- なぜ会員ランクの仕組みが「多店舗展開の再現性」に直結するのか
- 既存店の顧客データを新店立ち上げに活かす具体的な手順
- モバイルオーダーとCRMを一体化するときの考え方

会員ランクを導入する前の「よくある状態」
居酒屋・ダイニング系の店舗では、来店客が「誰なのか」を把握できていないことがよくあります。Aさんが月3回来ているのか、初回なのか、データがない。だからポイントカードを作っても、スタンプが貯まっているかどうかしか分からない。
これは、多店舗展開の文脈でいうと致命的な問題です。なぜなら、「どんなお客さんが、どのくらいの頻度で来て、何を注文しているか」というデータがなければ、新店で同じ成功を再現できないからです。
店舗が増えても、各店のリピーター構成が分からない。店長によって「なんとなく常連さんがいる」という感覚はあっても、数値として把握できていない。こうした状態はめずらしくありません。
❌ よくある状態(会員管理なし)
- 来店客が初回か常連かを区別できない
- ポイントカードはあるが、顧客データとして活用できていない
- 新規集客コストがかかり続ける一方、リピーター比率が不明
- 店長が変わると常連さんが離れる、というリスクがある
✅ 会員ランク導入後の理想状態
- 来店回数・累計金額・注文履歴がデジタルで蓄積される
- プラチナ・ゴールド・一般など、ランク別にアプローチを変えられる
- 店長が変わっても、顧客データは店舗に残る
- 新店出店時に、既存店の優良顧客データを参照して戦略を立てられる
プラチナ会員の来店頻度を上げる仕組み
顧客管理(CRM)の機能を使えば、会員ランク制度はシンプルに設計できます。たとえば、累計来店回数と利用金額に応じてランクが上がる仕組みです。
来店頻度を上げるのは、「早く上のランクに上がりたい」という動機だけではありません。LINE連携による来店後のフォローメッセージが大きな役割を果たします。
たとえば、プラチナ会員には来店翌日に「〇〇さん、昨日はありがとうございました。次回ご来店時にお好きなドリンク1杯をサービスします」という個別メッセージが自動送信されるように設定しておく。こうした「自分が特別扱いされている」と感じられる接点が、次の来店のきっかけになります。
モバイルオーダーの導入を支援したお店からは、「客単価がアップした」という声もいただいています。モバイルオーダーは注文の利便性を高めるだけでなく、「何をいつ注文したか」というデータを蓄積します。システムによっては、プラチナ会員が過去に注文した料理・ドリンクをもとに、「このお客様には〇〇をおすすめしよう」という情報を画面で確認できます。スタッフが覚えていなくても、データがカバーしてくれるんです。
✓ ここまでのポイント
- 会員ランク制度は、来店頻度と客単価を同時に引き上げる仕組みになりうる
- プラチナ会員へのフォローメッセージ自動化が、再来店率を高める核心
- モバイルオーダーとCRM連携により、スタッフ依存なくパーソナル対応が実現する
「仕組みの複製」が多店舗展開の速度を決める
ここが今回の記事でいちばん伝えたいポイントです。
多くの経営者の方が心配するのは、「店長が育っていないのに出店できるのか」です。でも、考え方を逆にするとどうでしょう。「店長の成長を待つのではなく、店長がいなくても回る仕組みを先に作る」。
「店長の判断力を育てるのは時間がかかります。でも、判断のための仕組みとデータを整えることは、今すぐできます。プラチナ会員が誰で、何が好きで、いつ来るかが分かれば、新しい店長でも初日からある程度の接客ができる。それが多店舗展開の再現性です。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
具体的な流れをお伝えします。
新店立ち上げ STEP 1
既存店の会員データ・メニュー設定を複製する
システムによっては、既存店で構築したメニュー構成・オプション設定・顧客ランクの条件設定を、新店舗にそのままコピーできるものがあります。ゼロから作り直す必要がない。これが立ち上げ期間の短縮に直結します。
⚠️ よくある失敗:新店ごとにメニュー設定を担当者が手動で入力するため、入力ミス・設定漏れが発生し、オープン初日に注文トラブルが起きる。
新店立ち上げ STEP 2
既存店の優良顧客(プラチナ会員)に新店オープンを先行告知する
既存店のプラチナ会員は、すでにそのブランドに高い愛着を持っている層です。新店オープン前にLINEで「先行ご招待」として告知することで、オープン初週から常連候補が来店します。新規客ゼロから始めなくていい、というのは心理的にも経営的にも大きな違いです。
⚠️ よくある失敗:新店の集客をグルメポータルの掲載だけに頼り、初月の集客費用が膨らんでしまう。
新店立ち上げ STEP 3
モバイルオーダーを初日から稼働させ、スタッフの習熟コストを下げる
新店のスタッフはオペレーションに慣れていません。その状態でオーダーテイクを手作業でやると、ミスが増え、クレームが出やすくなります。お客様のスマホから注文が飛んでくる仕組みを最初から入れておけば、スタッフはオーダーを取る必要がない。接客と料理の提供だけに集中できます。
⚠️ よくある失敗:スタッフが慣れてきてからDXを入れようと後回しにする。結果、悪いオペレーションが定着してしまい、後から変えにくくなる。
「プラチナ会員」が多店舗展開の安全弁になる理由
多店舗展開で失敗するパターンの多くは、「新店が軌道に乗るまでの赤字期間が想定より長い」ことです。売上の立ち上がりが遅い。常連が育たない。スタッフが定着しない。この三重苦が重なります。
会員ランク制度、とりわけプラチナ会員という層を既存店で育てておくことは、新店の立ち上げリスクを下げる保険になります。飲食店を中心に833件以上の支援をしてきた経験からお伝えすると、新店オープン時に既存店のプラチナ会員を動員できれば、初月の客数のブレを抑えやすく、スタッフのモチベーションも維持しやすくなります。
なぜモチベーションに影響するか。それは、オープン初日から「ありがとう」と言ってくれるお客さんがいるかどうかで、スタッフの手応えがまったく違うからです。業界経験21年、増益繁盛クラブの会員さんの事例を見てきた感覚として、これは数字には出にくいけれど無視できない要素だと感じています。
まとめ|仕組みを先に複製する、という発想転換
会員ランク、とくにプラチナ会員の来店頻度が上がる背景には、「自分が特別扱いされている」という体験の積み重ねがあります。それはスタッフの個人的な記憶力ではなく、データと仕組みによって再現できるものです。
そしてその仕組みは、一度作ってしまえば新店にそのまま複製できる。店長が育つのを待たなくていい。物件を逃さなくていい。
「早く出店したいけれど失敗が怖い」と感じているなら、まず今の店で会員ランクの仕組みを作ることが、出店速度を上げる最初の一手だと私は思っています。
顧客管理(CRM)・モバイルオーダーを使った会員ランク設計や、多店舗展開パッケージについてご興味のある方は、ぜひ一度ご相談ください。現状をヒアリングした上で、お店に合った形をご提案します。