飲食店DX

居酒屋の常連づくりを始めた理由と、仕組み化するまでにやったこと

こんにちは、ハワードジョイマンです。

「常連さんが来てくれているから、うちはまだ大丈夫」——そう思っていた居酒屋オーナーが、ある日こんな相談を持ち込んでくれました。「最近、来てくれていたあのお客さんたちを見かけなくなった。でも、なぜ離れたのか分からない」と。

常連客に頼っているのに、その常連客のことを実はほとんど把握していない。誰が、いつ来て、何を頼んで、最後に来たのがいつか——そういう情報がどこにも残っていない。接客はベテランスタッフが感覚でこなしていて、その人が辞めたら客との関係もリセットされてしまう。

これ、あなたのお店でも起きていませんか?

今回は、「感覚頼りの常連づくり」から「仕組みによる再来店の確保」へと切り替えるまでに何をやったか、その道筋を整理してお伝えします。テーマは一点です。次の世代に渡せる経営の形をつくること。自分の勘に依存した経営は、自分にしか継げません。

📋 この記事でわかること

  1. 「感覚の常連づくり」がなぜ事業承継の障壁になるか
  2. LINEとモバイルオーダーを使って顧客接点をデータ化する方法
  3. 再来店率をKPIとして追いかけるための仕組みの作り方
  4. 誰でも再現できる「常連づくりの型」に落とし込むSTEP

こんな方におすすめ

  • ✅ 常連客が売上を支えているが、その実態をデータで把握できていない方
  • ✅ ベテランスタッフの退職後に「あの人がいなければ」となった経験がある方
  • ✅ 2代目への承継を考えているが、引き継げる「仕組み」がまだない方
  • ✅ LINEやモバイルオーダーを導入したものの、使いこなせていないと感じている方
  • ✅ 再来店率という指標を、一度もきちんと測ったことがない方
居酒屋の常連づくりを始めた理由と、仕組み化するまでにやったこと | 有限会社繁盛店研究所

「あの常連さん、最近来てないな」では遅い

居酒屋の経営において、常連客は売上の安定装置です。新規客の獲得コストが高騰している今、一度来てくれたお客様に継続的に足を運んでもらう仕組みは、損益計算の上でも非常に大きな意味を持ちます。

ところが、多くの居酒屋では「常連づくり」がスタッフ個人の接客力と記憶力に委ねられています。「田中さんはいつも生ビール2杯からスタートして、〆は必ずお茶漬け」という情報は、担当スタッフの頭の中にしか存在しない。そのスタッフが辞めた瞬間に、田中さんとの関係は一から積み上げ直しです。

もっと言えば、田中さんが「そういえば最近来てないな」と気づくのは、すでに離れてしまってからです。離脱のタイミングで打ち手を持っていない状態が、感覚頼りの常連づくりの最大の弱点です。

私がコンサルに入る居酒屋で最初に必ずする質問があります。「再来店率は何%ですか」。この問いに即答できるオーナーは、833件以上の支援経験の中で、驚くほど少ない。数字がなければ、改善のスタートラインにも立てません。

「再来店率を測ったことがない」「常連づくりがスタッフ頼みになっている」——そう読みながら思い当たっている方に、まず手元で使える資料をお渡しします。飲食店コストダウンガイド(63ページ)や、グルメサイトに頼らない独自の集客網の作り方など、今日から参照できる内容を揃えています。メールアドレスの登録だけで無料で受け取れます。

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きっかけは「スタッフが辞めたこと」だった

増益繁盛クラブの会員さんの中に、3店舗を運営する40代の居酒屋オーナーがいます。売上は月商350万円前後で安定していたものの、10年来のホールスタッフが突然退職したことで経営の地滑りが起きました。

売上が落ちたのではありません。常連客の「顔」と「好み」を知っている人間がいなくなって、接客のクオリティが揃わなくなった。お客様の側も敏感で、「なんか変わったな」という感覚が積み重なり、来店頻度が少しずつ下がっていきました。数字に出るまでに3ヶ月かかりました。

このオーナーが私に相談してきた言葉が印象的でした。「自分が現場に立てばなんとかなる。でも、このまま続けていたら息子に渡せない」。

「自分の勘に依存した経営は、自分にしか継げません。常連づくりを属人スキルのままにしておくと、それは経営資産ではなく、特定の個人に紐付いた消耗品になってしまう」

ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)

このオーナーが求めていたのは、ツールではなく「仕組み」でした。誰がホールに立っても同じ精度で顧客との関係を維持できる、再現性のある常連づくりの型。それをゼロから一緒に設計することになりました。

まず「接点」をデジタルに移した——LINEとモバイルオーダーの役割

最初にやったのは、お客様との接点をスタッフの記憶からシステムに移すことです。具体的には、LINE公式アカウントへの誘導とモバイルオーダーの導入を同時に進めました。

常連づくりの仕組み化 STEP 1

来店時にLINE友だち追加を促す導線を作る

テーブルにQRコードを設置し、注文の前にLINEを追加してもらう流れを作りました。特典(ドリンク1杯サービス等)を絡めることで、追加率が一気に上がります。重要なのは「追加してもらうこと」ではなく、「追加後に何を送るか」を先に設計しておくことです。

⚠️ よくある失敗:LINEを追加してもらっても、その後の配信設計がなく、販促の告知を流すだけになってしまうケース。これでは開封率が下がり、ブロックされるだけです。

常連づくりの仕組み化 STEP 2

モバイルオーダーで「誰が何を頼んだか」をデータとして残す

モバイルオーダーを導入すると、注文データがリアルタイムでシステムに蓄積されます。「何番テーブルが何を頼んだか」が記録されるので、LINEのIDと来店データを紐付けていくことで、徐々に顧客プロファイルが形成されていきます。モバイルオーダー導入後に客単価が上がる理由でも解説していますが、データが蓄積されると「何を次に勧めるか」の精度が上がり、客単価にも影響が出てきます。

⚠️ よくある失敗:データは溜まっているのに、誰も見ていない状態。週1回でも数字を確認するルーティンを先に決めておかないと、宝の持ち腐れになります。

常連づくりの仕組み化 STEP 3

「来ていないお客様」を自動で検知する仕組みを作る

LINE配信を来店サイクルに合わせて設計します。例えば「30日以上来店がないお客様に自動でメッセージを送る」という設定を作れば、離脱の予兆段階で接触できます。感覚では「なんとなく最近来てないな」止まりだったものが、数字で把握できるようになります。

⚠️ よくある失敗:配信内容がクーポンや割引ばかりになること。「また来てほしい」という気持ちは、割引ではなく「あなたのことを覚えていますよ」という情報で伝えるほうが再来店につながります。

✓ ここまでのポイント

  • 常連づくりをスタッフ個人の記憶に任せると、退職と同時に顧客関係がリセットされる
  • LINEとモバイルオーダーを組み合わせることで、来店履歴と顧客接点をデータ化できる
  • 「来ていないお客様を自動で検知する」仕組みが、離脱防止の鍵になる

LINEとモバイルオーダーを組み合わせた顧客データ化の流れは整理できたと思いますが、「自分の店でどこから始めるか」という具体的な順番は、店の規模や現状によって変わります。飲食店の集客キーワード100選や食べログ・ぐるなびに振り回されない集客網の作り方など、実務に直結する資料を無料でまとめて受け取れます。登録はメールアドレスだけで完了します。

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数字で動くようになると、現場が変わった

仕組みを稼働させてから数ヶ月で、このオーナーから連絡が来ました。「LINE友だちが増えて、再来店客数も含めた来店者総数が伸びた」という報告でした。

「LINE友だちが増えて再来店客数も含めた来店者総数が伸びた」

増益繁盛クラブ会員(居酒屋オーナー)

この言葉のポイントは「再来店客数も含めた来店者総数」という表現です。新規客だけが増えたのではなく、既存客が戻ってきた上で、全体の来店数が増えている。これが本来の常連づくりの成果です。

そして、もう一つ変化がありました。現場スタッフが「今月の再来店率」を自分から気にするようになったことです。数字が見えると、人は動きます。「今週誰が来ていないか」「この方には何を送ろうか」という会話が、バックヤードで自然に生まれるようになりました。

属人的な感覚ではなく、データを共有の言語として使う文化。これが、次の世代に渡せる経営の形です。

なお、居酒屋の常連客を増やす仕組みと来店頻度を上げる施策も合わせて読んでいただくと、今回の内容との連続性が見えてきます。

「誰でも再現できる」が事業承継の条件

私が飲食店経営者の方に繰り返しお伝えしていることがあります。「あなたが現場にいなくても回る仕組みを作ることが、経営者の仕事です」と。

常連づくりでいえば、以下の問いに答えられるかどうかが分岐点です。

チェックポイント1:再来店率を数字で把握しているか

「なんとなく来てくれている」ではなく、先月の初来店客のうち翌月も来た割合を出せるかどうか。この数字がなければ、改善が進んでいるかどうかも判断できません。

✅ ポイント:まず再来店率の定義を決め、月次で追う習慣をつけることが最初の一歩。POSやモバイルオーダーのデータと照合すれば算出できます。

チェックポイント2:顧客接点がスタッフ個人に依存していないか

「あのスタッフが辞めたら、あのお客さんも来なくなる」という状況が1件でも思い当たれば、仕組み化が必要なサインです。

✅ ポイント:LINEのID・来店履歴・注文傾向をシステムに移し、「お店」として顧客関係を持つ状態にする。スタッフが変わっても引き継げる情報が残るかどうかが基準です。

チェックポイント3:配信の内容が「割引ありき」になっていないか

LINE配信がクーポン一辺倒だと、来店動機が割引に紐付いてしまい、値引きをやめると来なくなる客層が育ちます。

✅ ポイント:季節のおすすめや「あなたが好きそうな一品」という文脈で送ることで、関係性が深まる配信設計に切り替えましょう。LINE公式アカウントでインバウンド客の失客を防ぐ仕組みづくりも参考になります。

まとめ:「自分の勘」を「店の仕組み」に変える

居酒屋の常連づくりを仕組み化する道のりは、派手ではありません。やることは地道です。LINE友だちを増やす。来店データを溜める。離脱しそうなお客様に早めに接触する。その繰り返しです。

ただ、その地道な積み上げが「数字で動く現場」を作り、「誰でも再現できる型」を生みます。2代目に渡す時に「あとは感覚でやってくれ」では、引き継いだ方が気の毒です。判断のロジックをデータと仕組みに移しておく。それが、今この瞬間から始められる事業承継の準備です。

何か気になることがあれば、お気軽に電話でもどうぞ。0543518655(有限会社繁盛店研究所・平日10〜12時/13〜15時)

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