
「求人を出しても誰も来ない」は、もはや努力の問題ではない
こんにちは、ハワードジョイマンです。
突然ですが、こんな数字をご存知でしょうか。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」によると、2026年8月の有効求人倍率は接客・給仕職業従事者が2.31倍、飲食物調理従事者が2.21倍で、職業計の1.06倍を大きく上回っています(パート含む原数値)。つまり、求人広告を出しても応募がゼロという状況は、あなたの店の問題ではなく、構造的な問題です。努力を重ねても報われないのは当然で、努力の方向を変えるしかありません。
では、その「方向」とはどこか。結論から言うと、採用を前提にしないオペレーション設計です。ホール1名分の業務を仕組みに置き換え、その浮いた原資を既存スタッフへ還元する。この流れを作ることで、採用に依存しない経営に転換でき、さらにリピーターが増えるという好循環が生まれます。
この記事では、その仕組みを7ステップで具体的に解説します。
こんな方におすすめ
- ✅ 求人広告を出しても応募が来なくて困っている飲食店経営者の方
- ✅ ホールが慢性的に人手不足で、現場が回っていない方
- ✅ リピーターを増やしたいが、どこから手をつけていいか分からない方
- ✅ 既存スタッフに長く働いてほしいが、時給を上げても辞めてしまう方
- ✅ 採用ではなく「仕組み」で経営を安定させたいと考えている方
📋 この記事でわかること
- 「人が採れない」を努力で解決しようとすることの限界と、正しいアプローチ
- ホール1名分の業務を仕組みに置き換える7ステップの全体像
- 仕組み化によってリピーターが増える理由とそのメカニズム
- 既存スタッフの定着率を上げながら、客単価も同時に上げる方法
なぜ「採用を頑張る」よりも「仕組みを作る」のか
飲食店の経営者の方と話すと、「採用がうまくいかないのは自分のやり方が悪いのでは」と感じている方が少なくありません。でも、それは違います。
地方・郊外のロードサイドにある飲食店ほど、近くに競合となる職場が多く、同じパイを奪い合っている状態です。時給を上げれば採れるかもしれませんが、それはコストの増加であり、利益を圧迫します。そして時給で集めたスタッフは、もっと高い時給が出れば去っていきます。
根本を変えるには、「人がいることを前提にしたオペレーション」から脱却することです。お客さまが自分のスマートフォンで注文・決済まで完結できる仕組みを作れば、ホール1名分の業務は実質なくなります。その分、残ったスタッフに手厚い評価と報酬を渡せるようになる。結果として定着率が上がり、接客の質も上がる。接客の質が上がれば、リピーターが生まれやすくなる——この連鎖が本質です。
「採用できないことを嘆く前に、採用しなくていい仕組みを作ることが先です。人手不足は、むしろ仕組みを変えるタイミングのサインです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 飲食店経営コンサルタント)
7ステップで仕組みを作る:省人化とリピーター獲得を同時に実現する
では、具体的にどう動けばいいのか。以下の7ステップで順を追って解説します。
リピーター戦略 STEP 1
今のオペレーションのどこに「人の手」が集中しているかを棚卸しする
まず現状を可視化します。注文を取る・料理を運ぶ・会計をするという3つのフローのうち、どこにスタッフの時間が最も使われているかを確認しましょう。多くの店では「注文を取る」「会計処理」の2点に、ホール業務のかなりの時間が使われています。
⚠️ よくある失敗:「うちはそんなに時間かかっていない」と思い込んでいるケース。実際にストップウォッチで計測すると、ピーク時にスタッフが注文対応に追われて料理の提供が遅れているのが見えてきます。
リピーター戦略 STEP 2
「注文」と「会計」をお客さまのスマートフォンへ移す
モバイルオーダーを導入し、注文とお会計をお客さまのスマートフォンで完結させます。これによってホール1名分の業務が仕組みに代替されます。スタッフがやることは「料理を届ける・場の空気を作る」という、本来の接客業務だけになります。
⚠️ よくある失敗:「お客さんが使えないかも」という不安で導入をためらうこと。実際には、テーブルのQRコードをスマートフォンで読み込むだけで注文できるシステムが主流で、年配の方でも数回使えば慣れてもらえます。
リピーター戦略 STEP 3
注文データから「売れ筋」ではなく「儲け筋」を特定する
モバイルオーダーを導入すると、商品ごとの注文数・売上・粗利がデータとして蓄積されます。このデータを使って、出数は多いが粗利が低いメニューと、頼まれる回数は少ないが粗利が高いメニューを仕分けします。売れ筋=儲け筋ではない、というのが飲食業の落とし穴です。
⚠️ よくある失敗:「人気メニューは変えない」という固定観念で分析を止めてしまうこと。データを見ると、価格設定を少し見直すだけで客単価が改善するケースもあります。
リピーター戦略 STEP 4
モバイルオーダーの「おすすめ表示」で客単価を自然に上げる
注文画面の中で、粗利の高いメニューやサイドメニューを自動的にサジェストする設定にします。「このお料理と一緒に注文されることが多い一品です」という形で表示するだけでも、追加注文につながりやすくなります。スタッフが声かけをしなくても、仕組みが売上を作る状態です。
⚠️ よくある失敗:おすすめ表示を設定したまま放置すること。季節メニューや在庫状況に合わせて月1回は見直す習慣を作りましょう。
✓ ここまでのポイント
- 採用問題は努力ではなく、構造を変えることで解決できる
- STEP1〜2で「人の手」が集中しているオペレーションを仕組みに置き換える
- STEP3〜4でデータを使って客単価を上げる土台ができる
増益繁盛クラブの会員さんからは、「モバイルオーダーの導入により客単価がアップした」という声をいただいています。注文画面のおすすめ表示やオプション訴求を工夫することで、値上げをせずに客単価を上げることを目指せる。これが仕組みの力です。
リピーター戦略 STEP 5
来店を「会員化」して、顔の見えるお客さまリストを作る
ここからがリピーター戦略の核心です。モバイルオーダーの注文時にLINE友だち登録を促す導線を設けることで、来店したお客さまを自動的に会員化できます。「今日初めて来た人が、また来てくれたかどうか」を把握できていない店は少なくありませんが、これが分かるようになると初めて打ち手が生まれます。
⚠️ よくある失敗:LINEの友だち登録を促すだけで、その後のコミュニケーションが止まってしまうこと。登録してもらっても、配信がなければ忘れられます。
リピーター戦略 STEP 6
「来店→配信→再来店」の自動サイクルを設計する
来店から3日後・7日後・14日後に、自動でLINEメッセージが届く仕組みを設定します。クーポンを配るだけでなく、「あの日のお料理はいかがでしたか」「今週のおすすめをご紹介します」という形で関係性を育てる配信が効果的です。配信ごとに開封率・来店数・売上をデータで追い、PDCAを回します。
⚠️ よくある失敗:配信を「告知」だけに使うこと。お客さまが「また行きたい」と思う情報を届けることが先決です。
リピーター戦略 STEP 7
浮いたコストを既存スタッフへ還元し、チームを安定させる
STEP1〜6で省人化と客単価アップが実現すると、使わなくなった求人広告費・削減できた人件費の余白が生まれます。この原資を既存スタッフの時給アップ・評価制度・インセンティブに充てます。時給を「採用のため」に上げるのではなく、「いてくれているから」渡す——この順番が、定着率を本当に上げる鍵です。
⚠️ よくある失敗:省人化で浮いたコストをそのまま利益に回してしまうこと。チームへの還元なくして定着率の改善は難しく、また人手不足のスパイラルに戻ります。
❌ よくあるパターン:採用→定着せず→また採用→コスト増
- 求人広告費が固定コスト化する
- 教育コストがかかるたびに現場が不安定になる
- 既存スタッフのモチベーションが下がり、連鎖退職が起きる
✅ 推奨アプローチ:仕組み化→省人化→原資を既存スタッフへ還元
- 求人広告費を削減できる
- 既存スタッフが評価され、離職率が下がる
- 接客の質が上がり、リピーターが生まれやすくなる
「仕組みを作る」ことへの不安に答える
ここまで読んで、「うちでも本当にできるのか」と感じた方もいるかもしれません。
私は21年間、飲食店を中心に833件以上の経営者の方を支援してきました。その経験から言えるのは、「過去にITツールを入れて失敗した」という方ほど、導入後の伴走設計がなかったケースが多いということです。システムを入れることがゴールになってしまっていた。
だからこそ私が提供するのは、ツールの販売ではなく、現場に定着するまでの仕組みごとセットにした支援です。初期設定の代行から始まり、90日間の定着伴走まで一緒に動きます。効果が見込めない状況では、導入を勧めません。それが、21年間ブレずに続けてきたスタンスです。
「システムを入れる前に、私は必ず『今の再来店率は何%ですか?』と聞きます。この数字が分からない店に、どんなツールを入れても成果は出にくいのです。まずそこから始めましょう」
ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 飲食店経営コンサルタント)
まとめ:採用を諦めることは、経営を諦めることではない
「人が採れない」のは、あなたの努力が足りないからではありません。地方・郊外の飲食店が置かれた構造的な問題であり、同じ土俵で戦い続けることに意味はありません。
採用を諦めることは、経営を諦めることとは違います。採用に依存しないオペレーションを作り、既存スタッフを大切にして、来てくれたお客さまをリピーターにしていく。この7ステップは、その具体的な道筋です。
一歩目として、今の自店のオペレーションでどこに人の手が集中しているかを書き出してみてください。それだけで、次にやることが見えてきます。
モバイルオーダーの導入や、省人化オペレーションの設計について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。あなたの店の状況を聞いた上で、効果が見込めるかどうかも含めて正直にお話しします。