こんにちは、ハワードジョイマンです。
「売上は前年より伸びているのに、原価率が上がってしまった。どのメニューが原因なのか、全然わからない」——飲食店経営者の方から、こうした相談をよくいただきます。
よくあるのは、月間の出数ランキングを見ながら「よく売れているメニュー=お店を支えているメニュー」だと判断しているケースです。でも実際に数字を掘り下げると、出数上位のメニューの粗利率が低く、売れれば売れるほど原価率が悪化する構造になっていることがあります。
これは珍しい話ではありません。むしろ、複数店舗を運営するオーナーさんの多くが同じ落とし穴に入っています。今回は「リピート率を上げる」という切り口から、メニューの収益構造を正しく把握するための5つのポイントを整理します。
こんな方におすすめ
- ✅ 売上は横ばいなのに原価率が上昇傾向にある方
- ✅ 出数ランキングだけでメニュー評価をしている方
- ✅ リピーターを増やしたいが、何から手をつければいいかわからない方
- ✅ 複数店舗で原価率にバラつきがある方
- ✅ 過去にPOSやタブレットを導入したが、データを活用できていない方
📋 この記事でわかること
- 「売れ筋=儲け筋」という思い込みがなぜ危険なのか
- 出数・売上・粗利・リピート率の4軸でメニューを評価する方法
- リピート率と原価率が実は深く連動している理由
- モバイルオーダーを活用して客単価とリピートを同時に改善する具体的な手順

「出数が多い=稼ぎ頭」は危険な思い込み
飲食店の経営者に「一番売れているメニューは何ですか?」と聞くと、多くの方がすぐに答えられます。でも「そのメニューの粗利率は?」と続けると、答えに詰まることが多い。
出数ランキングは目に見えやすいですし、現場のスタッフも「これがうちの人気メニューです」と誇らしく言います。ところが、出数が多くても仕入れコストや廃棄ロスが重なると、利益への貢献度は想像以上に低いケースがあります。
たとえば、出数ランキング1位のメニューの粗利率が低く、出数は少ないけれど粗利率の高いメニューが埋もれていた——ということは珍しくありません。数字を整理して、初めてそれに気づくのです。
結論から言うと、メニューは「出数」「売上」「粗利」「リピート率」の4軸で評価しないと、正しい意思決定ができません。この4軸を使ったABC分析が、今回お伝えするリピート率向上の出発点になります。
リピート率と原価率はなぜ連動するのか
「リピート率の話をしているのに、なぜ原価率が出てくるの?」と思う方もいるかもしれません。でも、この2つは想像以上に深くつながっています。
お客さまがリピートしてくれる理由の多くは「また食べたいメニューがある」「コスパがいい」「満足感が高かった」のいずれかです。逆に言えば、粗利率が低いメニューを無理に売り続けると、価格を維持するために質を下げる圧力がかかり、その結果、お客さまの満足度が落ちてリピートが減るという悪循環に入ります。
つまり、メニューの収益構造を正しく把握することは、原価率の改善であると同時に、リピート率を高めるための基盤づくりでもあるんです。
✓ ここまでのポイント
- 出数ランキングだけでは、本当に利益を生んでいるメニューは見えない
- 「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸分析が原価率改善の起点になる
- メニューの収益構造を整えることが、リピート率の改善にも直結する
リピート率を上げる5つのポイント
チェックポイント①:粗利が高いメニューを「看板メニュー」に育てているか
お客さまが「このお店に来た理由」になるメニューは、意図的に作るものです。偶然ヒットしたメニューに頼るのではなく、粗利率が高く、かつお客さまの満足度が高いメニューを特定し、それを積極的に訴求していく戦略が必要です。モバイルオーダーであれば、おすすめバナーや「本日の一推し」表示を使って、視線を誘導することができます。
✅ ポイント:メニュー表の1ページ目に何を置いているか、今すぐ見直してみてください。粗利率上位3品が目立つ位置にあるかどうかが確認ポイントです。
チェックポイント②:リピーターが注文するメニューを把握しているか
初来店のお客さまと2回目以降のお客さまでは、注文するメニューが異なることが多いです。リピーターが必ず頼むメニューを特定できれば、そのメニューの品質維持と在庫管理を最優先にすべきことがわかります。来店頻度と注文履歴が連携できている環境があれば、この分析は難しくありません。
✅ ポイント:「再注文率」が高いメニューは、リピーターを呼ぶ磁石です。廃棄ロスを恐れて仕入れを絞りすぎると、品切れがリピーターの離脱につながるリスクがあります。
チェックポイント③:オプション・追加注文の仕組みがあるか
リピート率と客単価は、切り離して考えがちですが、実は連動しています。「このお店に来ると、いつもちょっと贅沢できる」という体験が、リピートの動機になります。スタッフが口頭で追加提案するのは属人的になりがちですが、モバイルオーダーのタイミング表示や「あと1品いかがですか」の自動訴求は、店舗や時間帯に関わらず均一に機能します。
✅ ポイント:追加注文の声かけが「スタッフのキャラクターによる」になっていたら、仕組みに置き換えることを検討してください。
チェックポイント④:新規とリピーターを区別してデータを見ているか
「来店者数が増えた」という数字の中に、新規とリピーターが混在している場合、実態が見えません。新規客を増やしながらリピーターが減っているケースでは、合計の来店者数は横ばいでも、店の将来性は悪化しています。来店を会員化し、「初来店から30日以内に再来店したか」を追えるようにすることが出発点です。
✅ ポイント:LINE登録やデジタル会員証を使って、来店ごとに顧客を識別できる仕組みを持っているかどうかが分岐点になります。
チェックポイント⑤:メニューの改廃判断にデータを使っているか
「このメニュー、なんか最近出ていないね」という感覚で廃番を判断している場合、大事なメニューを誤って削除するリスクがあります。出数は少なくても、頼んだお客さまのリピート率が高いメニューは、静かな「ファンメーカー」である可能性があります。4軸分析を使えば、こうした隠れた優等生を発見できます。
✅ ポイント:メニューの改廃は、感覚ではなく「出数・売上・粗利・リピート率」の4軸で判断することを習慣にしてください。
モバイルオーダーが客単価とリピートを同時に動かす理由
増益繁盛クラブの会員さんからは、「モバイルオーダーの導入により客単価がアップした」という声をいただいています。
要因として考えられるのは、テーブルでお客さまが自分のペースでメニューを眺められるようになることです。これまでスタッフに声をかけるタイミングを逃して注文しなかった追加ドリンクやサイドメニューが、自然と注文されやすくなります。
これはまさに「注文機会のロス」を仕組みで取り戻す考え方です。スタッフが忙しくて声をかけられない時間帯でも、お客さまのスマホ画面は常にメニューを見せ続けています。おすすめ表示や期間限定バナーを活用すれば、粗利率が高いメニューへの誘導も自然な形で行えます。
さらに、注文データが蓄積されることで「このテーブルは前回何を頼んだか」が見えてきます。これがリピーター分析の基礎データになり、CRMと組み合わせることで「あのメニューがまた頼みたい」という来店動機を個別に届けられるようになります。
「売れているものと、お店を支えているものは、別の話です。多くの経営者が出数ランキングを見て安心しますが、私が最初に確認するのは粗利構成比です。そこに、本当の経営課題が隠れています」
ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 有限会社繁盛店研究所)
私自身、飲食店を中心に833件以上の支援を通じて感じてきたのは、「データがあるのに見ていない」経営者と「データがなくて見られない」経営者の二極化です。どちらも結果は同じで、毎月の数字が出るたびに驚いて、対策は翌月になる。このサイクルから抜けるには、見る指標を変えることが先決です。
まとめ:「売れ筋」を疑うことから、リピート率の改善が始まる
今回お伝えした5つのポイントを振り返ると、共通しているのは「思い込みを数字で検証する」という姿勢です。出数が多いから安心、売上が増えているから大丈夫——その感覚が、原価率悪化とリピーター不足を同時に引き起こしていることがあります。
4軸(出数・売上・粗利・リピート率)での分析は、決して難しい話ではありません。ただ、手作業で追うのは現実的ではないので、データが自動で集まって分析できる環境を整えることが重要です。増益繁盛クラブの会員さんの中には、月商350万円から620万円に伸びた方や、リピート率が38%から71%に改善した方もいます。まずはメニューの収益構造を正しく把握することから始めてみてください。
モバイルオーダーの導入に関心がある方、あるいは今の原価率の悪化原因を一緒に整理したいという方は、お気軽にご相談ください。モバイルオーダーなどの導入支援と経営コンサルをセットで対応しています。