この仕事を21年続けてきて、毎年必ずある相談があります。それは「急に赤字店舗の立て直しを任されたが、何から手をつければいいかわからない」というものです。
こんにちは、ハワードジョイマンです。有限会社繁盛店研究所の経営コンサルタントとして、飲食店を中心に833件以上の現場に関わってきた経験から言うと、はじめて立て直しを任されたマネージャーが最初につまずくのは、「ちゃんとしたことをしようとしすぎる」ことです。
やる気があるからこそ、あれもこれも同時に動かそうとする。でも結論から言うと、赤字店舗の立て直しは「順番が命」です。この記事では、初めてこの役割を担う飲食店マネージャーの方が、迷わず動き出せるように、基本から丁寧にお伝えします。
📋 この記事でわかること
- 赤字店舗の立て直しで、最初に確認すべき数字の見方
- 後付けで積み上がったシステム費用の棚卸し方法と一本化の考え方
- リピーターを増やすための顧客接点の作り方(LINE活用を含む)
- 「数字で判断できる店づくり」への最初の一歩
こんな方におすすめ
- ✅ はじめて赤字店舗の立て直しを任されて、何から手をつけるか迷っているマネージャー
- ✅ 売上は落ちていないのに手元に利益が残らない理由を知りたい方
- ✅ 月次の数字が出るのが遅く、打ち手がいつも後手に回っていると感じている方
- ✅ 複数のシステムが乱立していて、毎月の固定費の総額をすぐに答えられない方
- ✅ リピーター対策を「なんとなく」でやっていて、効果が測れていない方

まず「赤字の正体」を数字で特定する
立て直しを任されたとき、多くの方が「集客を増やさなければ」と真っ先に動き出します。気持ちはわかります。でも、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けても意味がありません。まず確認すべきは「どこから漏れているか」です。
確認する順番は、FL(食材費+人件費)→ その他固定費→ 売上の構成、この順番が基本です。
FL比率(食材費と人件費の合計が売上に占める割合)が極端に高い場合、値付けの問題か、ロスの問題か、人員配置の問題かに分かれます。これを「なんとなく高い」で止めるのではなく、どの品目で原価が膨らんでいるかをABC分析(売上構成比の高い順に並べる方法)で確認します。
月次の数字が翌月中旬に出てくるような環境では、この判断がいつも1ヶ月遅れます。「打ち手がいつも後手に回る」という感覚があるなら、数字が届くタイミングの問題を疑ってください。飲食店の利益率が低い原因をFL・人件費・ロスの順番で診断する方法も参考になります。
チェックポイント1:FL比率は何%か
食材費と人件費を合算した数字が売上の何%にあたるかを計算してください。業態によって目安は異なりますが、この数字を把握していないまま他の手を打っても、改善の効果が測れません。
✅ ポイント:まずは直近3ヶ月分のデータを並べて、数字が月によってどれだけ変動しているかを確認すること。変動が大きい月に何があったかを探ることが、原因特定の近道です。
チェックポイント2:システム費用の月額合計をすぐ言えるか
POS、予約管理、勤怠、LINE配信ツール、アンケートシステム——これらが別々のベンダーから請求されているとき、月額の合計を即答できる経営者・マネージャーは多くありません。後付けで増えていくから、気づかないうちに固定費が積み上がっているのです。
✅ ポイント:まず全システムのサービス名・月額・契約期間を一覧表に書き出すことから始めてください。これを「システム棚卸し」と呼んでいます。これをするだけで「こんなに払っていたのか」と気づくケースは少なくありません。
✓ ここまでのポイント
- 赤字の立て直しは集客より先に「どこから漏れているか」の特定が先決
- FL比率の把握と、月次データが出るタイミングの確認を最初に行う
- システム費用は「棚卸し表を作る」ことで初めて総額が見える
再来店率を「測ったことがない」まま進めてきた店が、リピーター戦略を数字で動かせるようになるには、顧客データの蓄積から始める必要があります。集客キーワード100選や「グルメポータルに振り回されない独自集客網の作り方」など、今日から使える資料を無料でまとめて受け取れます。登録はメールアドレスのみです。
「システム費用の月額合計を即答できない」という状況に、思い当たる部分があったのではないでしょうか。棚卸しの次に何を見ればいいかを整理するために、飲食店コストダウンガイド(63ページ)とメニュー工学・食材費計算ツールが無料で使えます。メールアドレスを入力して届いたメール内のURLをクリックするだけで受け取れます。
積み上がったシステム費用を一本化する考え方
赤字店舗の固定費を見直すとき、人件費の次に手をつけやすいのがシステム費用です。ただし「とにかく安いものに切り替える」という判断は危険で、使えないツールに変えてしまうと現場が混乱します。
整理の手順はシンプルです。
整理 STEP 1
全システムを機能別に並べ替える
棚卸し表ができたら、各システムが「注文管理」「顧客管理」「予約」「決済」「勤怠」「分析」のどの機能を担っているかを横に書き加えます。同じ機能をカバーするシステムが複数あれば、それは統合できる可能性があります。
⚠️ よくある失敗:「長年使っているから」という理由だけで古いシステムを残し、新しいシステムと両方を使い続けて費用が増える。
整理 STEP 2
統合可能な領域を1社に寄せる
現在、モバイルオーダー・POS・CRM・予約・勤怠・決済・経営管理を一つのシステムでカバーできるプロダクトも出てきています。バラバラに契約していた複数サービスの合計月額より、一体型に切り替えた方が安くなるケースは少なくありません。
重要なのは「安くなるかどうか」だけでなく、「日次で数字が見えるようになるか」という視点です。月中旬にならないと数字が出ない状況が、そのまま解消されるかどうかを必ず確認してください。
⚠️ よくある失敗:機能が多いからと導入したが、現場スタッフが使いこなせず3ヶ月で形骸化する。導入後の定着支援まで含めて選ぶことが重要です。
「後付けで増えたシステムの総額を、即答できる経営者は稀です。棚卸しをすると、『思っていたより高かった』とおっしゃる方が少なくありません。そしてその後に気づくのが、機能が重複しているということです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士)
なお、店舗DXの投資順序を間違えないための考え方についても別の記事でまとめていますので、どのツールから手をつけるか判断に迷っている方は合わせて読んでみてください。
リピーターを増やす仕組みを「数字で」作る
固定費の整理と並行して進めたいのが、リピーター戦略です。新規集客に費用をかけながら、2回目の来店率を一度も測っていない——これは赤字店舗によくあるパターンです。
リピーターを増やすためには、まず「来てくれたお客様に次回も来てもらうための接点」を作ることが先決です。そのための手段として今、多くの飲食店がLINE公式アカウントを活用しています。
実際に、モバイルオーダーの導入を支援したお店からは、こんな声をいただいています。
「LINE友だちが増えて再来店客数も含めた来店者総数が伸びた」
モバイルオーダーの導入を支援したお店
注目してほしいのは「LINE友だちが増えた」という部分です。友だち数はただの人数ではなく、「自分の店に興味を持ち、また来てもいいと思っているお客様のリスト」です。この数が増えることで、来店のきっかけをこちらから作れるようになります。
ただし、LINEで配信するだけでリピーターが増えるわけではありません。「誰が・いつ・何回来たか」というデータと組み合わせて初めて、「3ヶ月以上来ていないお客様に再来店を促すメッセージ」のような精度の高いアプローチができます。これをCRM(顧客関係管理)と呼びます。
飲食店へのCRM導入とはじめての顧客データ活用について詳しくまとめた記事もありますので、リピーター戦略をこれから設計したい方はぜひ参考にしてください。
チェックポイント3:再来店率を測っているか
今の自分の店の再来店率(一定期間内に新規で来たお客様のうち、もう一度来た割合)を言えますか。この数字がない状態でリピーター対策をしても、効果が出ているかどうかが判断できません。
✅ ポイント:まず「来店履歴が記録できる仕組み」を作ることが先決です。モバイルオーダーや予約システムと顧客データを連携させることで、来店回数・頻度・注文履歴が蓄積されます。
チェックポイント4:ポイントカードやスタンプで「なんとなく」やっていないか
紙のポイントカードやスタンプカードは、誰がどのくらい来ているかのデータが残りません。カードが溜まっても来ない方が一定数いる理由がわからないまま、コストだけがかかり続けます。
✅ ポイント:デジタルの顧客管理に切り替えることで、「来なくなった時期」「来店頻度の変化」が可視化されます。飲食店のポイントカードとデジタルCRMの違いを比較した記事も参考にしてみてください。
「数字で判断できる店」にするための最初の一歩
ここまで読んでいただいた方は、赤字の立て直しに必要なことが「やみくもに動くことではない」と感じていただけたと思います。結論から言うと、最初の一歩は「現状の数字と費用を一覧で見える状態にする」ことです。
❌ よくあるパターン(後手に回る立て直し)
- 集客施策から先に手をつけて、費用対効果が測れない
- システムを増やして固定費がさらに膨らむ
- 月次データが遅く、問題が深刻になってから気づく
✅ 推奨アプローチ(数字ベースの立て直し)
- FL比率・システム費用・再来店率の3点を先に把握する
- システムを統合して固定費と管理の手間を同時に下げる
- 日次で数字が見える環境を作り、打ち手を「今月中」に動かせるようにする
「立て直しを任されたマネージャーの方に最初にお伝えするのは、『がんばり方を変えること』です。努力の量を増やすより、見えていなかった数字を見えるようにする。それだけで、判断のスピードが変わります。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士)
まとめ:順番を守れば、はじめてでも動ける
赤字店舗の立て直しをはじめて任されたマネージャーの方へ、この記事でお伝えしたことをまとめます。
- まずFL比率を確認し、「漏れている場所」を特定する
- 次にシステム費用を棚卸しし、統合できる領域を見つける
- 再来店率を計測できる仕組みを作り、リピーター戦略を数字で設計する
- 日次で経営数字が見える環境を整えて、打ち手を後手に回さない
「何から始めればいいかわからない」という状態は、情報が足りないのではなく、数字が見えていないことが原因であることが多いです。棚卸しから始めることで、次の手が自然に見えてきます。
個別に状況を聞いてみたい方は、お電話でも受け付けています。
📞 0543518655(有限会社繁盛店研究所/平日10:00〜12:00・13:00〜15:00)
システムの棚卸し・統合・定着支援まで一体で進めたいと感じているなら、ツール選定の前に現状の構成を一度診てもらうことが近道です。モバイルオーダーなどの導入・初期設定代行から90日間の定着伴走までをパッケージで提供している繁盛店研究所へ、まず相談内容を送ってみてください。