こんにちは、ハワードジョイマンです。
突然ですが、こんなデータをご存知でしょうか。
総務省の消費者物価指数によると、2025年の外食の価格は前年比4.0%上昇しました。一方で、帝国データバンクの調査では、飲食店業界の価格転嫁率は32.3%(2025年7月)で、全業種平均の39.4%を下回っています。コストの上昇分を、まだ価格に乗せきれていないお店が多いということです。
「値上げ=客が逃げる」と不安になるのは当然です。ただ、結果を分けるのは「やり方次第」です。
今回の記事では、値上げで客離れを防ぐために何をすべきか、そしてそもそも「値上げ」という手段に頼らなくても客単価を上げられる方法があるという話を、ステップ形式で解説します。
📋 この記事でわかること
- 値上げ前に確認すべき「客離れリスクの診断」ステップ
- 価格を据え置いたまま客単価を上げるオペレーション設計
- モバイルオーダーを使った追加注文の自動化の具体的な方法
- 値上げを実施するなら、常連客に受け入れてもらうための伝え方
こんな方におすすめ
- ✅ 原価率が上がっているのに価格転嫁に踏み切れずにいる方
- ✅ 値上げを検討しているが、常連客が離れるのが怖い方
- ✅ 値上げせずに1組あたりの売上を伸ばす方法を探している方
- ✅ モバイルオーダーを導入したが、客単価への効果を実感できていない方
- ✅ 3〜30店舗規模で、店舗ごとの客単価のバラつきに悩んでいる方

値上げの前にやるべき「客離れリスク診断」
値上げを検討しているオーナーに、私が最初に聞く質問があります。
「あなたの店の再来店率は、今何%ですか?」
この数字を即答できる方は、実は少数派です。売上の数字は毎日見ていても、「何割のお客さんがまた来てくれているか」を定点観測している店は、まだまだ多くありません。
なぜこれを先に聞くかというと、再来店率が低い状態で値上げをすると、本当に客が離れやすいからです。リピーターが少ない店は、一人ひとりの顧客との関係が薄い状態。そこに価格変更を加えると、「わざわざ戻る理由」がさらに薄くなる。
一方、再来店率が高い店は、値上げしても客離れが起きにくい傾向があります。お客さんとの関係性が「価格だけで選ばれていない」からです。
チェックポイント1:自店の再来店率を把握しているか
直近3ヶ月で、初回来店のお客さんが翌月以降に再来店した割合を確認してください。POSデータやモバイルオーダーの顧客データから算出できます。
✅ ポイント:目安として再来店率が40%未満の場合、値上げより先にリピーター育成の仕組みを整えることを優先してください。値上げはそのあとでも遅くありません。
チェックポイント2:客単価の内訳を品目別に把握しているか
「客単価3,200円」という数字だけでは、どこに伸びしろがあるかわかりません。ドリンク注文率・追加料理の注文点数・デザートのオーダー率など、品目別に分解してみてください。
✅ ポイント:目安としてドリンク再注文率が50%を下回っている場合、価格を変えなくても客単価を上げる余地があります。これは値上げではなく「オーダー機会の損失」の問題です。
チェックポイント3:店長・スタッフ間で客単価に差が出ていないか
同じ店でも、曜日やシフトによって客単価が変わる場合、それはオペレーションの問題です。値上げで解決しようとしても根本は変わりません。
✅ ポイント:飲食店の店長による売上の差がなぜ生まれるのかを整理した記事でも触れたように、人依存のオペレーションを仕組み化することが先決です。
✓ ここまでのポイント
- 値上げの前に「再来店率」「品目別客単価」「スタッフ間の差」を数値で把握することが出発点
- 再来店率が低い状態での値上げは、客離れリスクが高まりやすい
- 客単価の伸びしろは、価格を変えなくても「注文機会の設計」で引き出せる
「追加注文の取りこぼしをなくす」という話を読んで、自分の店のドリンク再注文率や注文点数を実際に計算してみたくなった方へ。無料で使える飲食店向けの計算ツールと、割引ゼロで客単価を上げる販促の考え方をまとめた資料をご用意しています。登録は無料で、届いたメールのURLをクリックするだけで完了します。
「値上げすべきか踏みとどまるべきか」で迷っている方ほど、そもそも自店の再来店率や注文点数の現状を数字で把握できていないケースが多いです。無料の特典資料には、客単価と集客を数字で管理するための計算ツールや、グルメポータルに頼らない集客設計の資料が含まれています。メールアドレスの登録だけで受け取れます。
値上げしなくても客単価は上がる——追加注文を「仕組み」で取る
結論から言うと、多くの飲食店で「値上げより先にやるべきこと」が残っています。
それは、お客さんが追加注文したくなる状況を、スタッフの声かけに頼らずに設計すること。
スタッフが「何かご注文はよろしいですか?」と声をかけるタイミングは、混雑時には後回しになる。声をかけられなければ、お客さんは追加注文のことを考えない。これは意識の問題ではなく、構造の問題です。
モバイルオーダーを導入している店では、この問題をシステム側で解決できます。食事が進んだタイミングでおすすめメニューが画面に表示される、締めの一品やデザートへの誘導が自動で入る——こうした設計があるだけで、スタッフが何も言わなくてもお客さんが自発的に追加注文しやすくなります。
「値上げと客離れのせめぎ合いを、正面から解決しようとしている店ほど消耗しています。でも本当に先に手を打つべきは、今のお客さんが注文したかったのに注文できなかった機会を取り戻すことです。そこを埋めるだけで、価格を変えずに売上は動きます。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)
モバイルオーダーの導入を支援したお店からは、「注文点数がアップした」「客単価がアップした」という声をいただいています。
これはスタッフが楽になるという話だけでなく、「注文の取りこぼし」を構造的に減らせるということです。省人化と客単価向上を同時に狙えるのが、この仕組みの強みです。
値上げを実施するなら——常連客への伝え方のステップ
上記のオペレーション改善をやり切ったうえで、それでも価格改定が必要な場合があります。原材料費の高騰が続いている今、それは珍しいことではありません。
問題は「値上げすること」ではなく、「どう伝えるか」です。
値上げ告知 STEP 1
値上げの「理由」ではなく「姿勢」を伝える
「原材料費が上がったので値上げします」という説明は、正直ですが受け身に聞こえます。それより「品質を落とさないための判断」として伝えるほうが、常連客には響きます。「食材の仕入れ先は変えません。その分、価格を見直すことにしました」という言葉のほうが、信頼を維持しやすい。
⚠️ よくある失敗:値上げの告知をSNSや店頭POPだけで済ませてしまい、常連客に直接伝えないケース。顔見知りのお客さんへは、スタッフが一言添えるか、LINE等で個別に届ける設計が重要です。
値上げ告知 STEP 2
「何が変わり、何が変わらないか」をセットで伝える
値上げの告知は、変化だけを伝えると不安を生みます。「価格は変わりますが、○○(看板メニュー・食材・サービス)は変えません」という言葉をセットにすることで、常連客の「なくなるんじゃないか」という不安を和らげられます。
⚠️ よくある失敗:値上げ後に特典や割引を付けて「お詫び感」を出すこと。これは「値上げは後ろめたいこと」と自ら言っているようなもので、価値の毀損につながります。
値上げ告知 STEP 3
LINEを活用して「先に教える」仕組みを持つ
常連客に値上げを「店頭で初めて知る」という形にしないことが大事です。LINE公式アカウントで繋がっている顧客には、改定の2〜3週間前に案内を届ける。「特別に先にお知らせします」という一言があるだけで、受け取り方が全然違います。
⚠️ よくある失敗:LINE友だちがそもそも少なく、告知を届けたい常連客に届かないケース。値上げの前にLINE登録の仕組みを整えておくことが、リピーター戦略の基本です。
飲食店の値上げを常連客に受け入れてもらった伝え方の実例も、あわせて参考にしてみてください。具体的な言葉の作り方まで紹介しています。
価格改定の「効果測定」をしないと、次の判断ができない
値上げをした後、多くの店が「なんとなく客足が落ちた気がする」「でも数字は確認していない」という状態になります。これが一番もったいない。
値上げ前後で比較すべき数字は3つです。
①来客数の変化(前年同月比・前月比)
②客単価の変化(値上げ分がちゃんと反映されているか)
③再来店率の変化(常連客が離れていないか)
この3つを月次で追えていれば、「値上げが正解だったかどうか」を感覚ではなく数字で判断できます。もし再来店率だけが下がっていれば、価格より「伝え方」に問題があった可能性が高い。来客数は変わらず客単価が上がっていれば、値上げは成功と言えます。
データで判断できる状態を作ることが、次の打ち手を早くする。飲食店のシステムがバラバラなまま多店舗化するとどうなるかという記事でも書いていますが、POSや顧客データが統合されていない状態では、こうした分析がそもそもできません。
「値上げをして客が離れたと感じている店の多くは、実際に離れた客数を数えていません。感覚で判断して、次の値下げや割引に走る——その繰り返しが、利益を薄くしていく原因になります。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・飲食店経営コンサルタント)
まとめ——「値上げか、踏みとどまるか」の前に、やることがある
値上げと客離れのせめぎ合いは、今の飲食業界全体が抱えている課題です。ただ、私がコンサルの現場で見てきた感覚では、「値上げをして後悔した店」より「値上げの前にやるべきことをやらずに消耗した店」のほうが多いと感じます。
まずは再来店率と注文点数の現状を数字で把握する。次に、追加注文が自然に発生するオペレーションを整える。それをやり切ったうえで、価格改定が必要なら、常連客への伝え方を丁寧に設計する。この順番が大事です。
価格を変えずに客単価を上げるカギは、「努力でカバーする」ことではなく、「仕組みで取りこぼしをなくす」ことです。当社では、支援実績飲食店を中心に833件以上の経験をもとに、モバイルオーダーの導入から定着まで一体で支援しています。業界経験21年、中小企業診断士として数字に基づいた改善提案を行っています。
記事を読んで「自分の店の状況を一度整理したい」と思われた方は、まずはお電話でお気軽にご連絡ください。
📞 0543518655(有限会社繁盛店研究所)
受付時間:月〜金 10:00〜12:00 / 13:00〜15:00
値上げの前にオペレーションを整えたい、モバイルオーダーで追加注文を自動化したいという具体的なイメージが浮かんだ方は、導入の相談を直接受け付けています。モバイルオーダーなどの導入支援をしている当事務所では、システムの初期設定から90日間の定着支援まで一体で対応しています。まずは現状のヒアリングから始められます。