こんにちは、ハワードジョイマンです。
「IT導入補助金が使えると聞いたので、まずは申請してみました」
「補助が出るうちに入れないと損だと思って」
「正直、何を導入するかより、補助金が通るかどうかが先でした」
飲食店経営者の方から、こういった声をよく聞きます。
補助金制度の認知が広がったのは良いことです。でも、その後の話をすると——2年前に補助金で導入したシステムが、今どうなっているか。そこに目を向けている経営者は、意外なほど少ない。
今回は、よくあるパターンをもとに、「補助金ありきの導入」が2年後にどういう姿になりやすいのか、その本音をお伝えします。耳が痛い話もあると思いますが、材料をそのまま出しますので、判断はご自身でどうぞ。
こんな方におすすめ
- ✅ IT導入補助金や省力化投資補助金の申請を検討している飲食店経営者の方
- ✅ 補助金でシステムを導入したが、現場でうまく使えていないと感じている方
- ✅ 過去にタブレットやアプリを入れたが、誰も使わず解約した経験がある方
- ✅ 補助金申請のサポートをどこに頼めばいいか分からない方
- ✅ 導入後に成果が出ている店と出ていない店の違いを知りたい方
📋 この記事でわかること
- 補助金ありきで導入した飲食店が2年後に直面しやすいパターン
- 導入が成功した店と失敗した店の、決定的な違い
- 補助金を「本当に使いこなす」ための3つの条件
- IT導入支援事業者として申請から伴走するサポートの全体像

「使わなかった」ではなく「使えなかった」が正確な表現
たとえば、居酒屋を3店舗経営するオーナーが、IT導入補助金を活用してモバイルオーダーとPOSレジを導入したとします。補助金のおかげで、実質負担はかなり抑えられました。
導入から半年ほどは使われていても、スタッフの入れ替わりがあり、新しいアルバイトに教えるのが手間になって、気づけば紙の伝票に戻っている。月額費用だけが引き落とされ続けている——。
「それは珍しい」と思った方もいるかもしれませんが、これはよくあるパターンです。
補助金で入れたシステムが、数年後には使われなくなっている。こうしたご相談は珍しくありません。
問題は意欲ではありません。導入時に「現場定着」を設計していなかったことです。
「補助金は入口の費用を下げてくれる。でも、それは『始めやすくなる』だけで、『続く』とは別の話です。導入のゴールを補助金採択日に置いてしまうと、現場はその後を誰も責任を持って引き受けていない、という状態になります」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
「補助金ありき」と「経営課題ありき」で、2年後がどう違うか
一方で、同じように補助金を使って導入しても、数年後に「むしろ今が一番活用できている」という状態になる店もあります。
違いはシンプルで、入れる前に何を解決したいかがはっきりしているかどうかです。たとえば「ホールの人員不足」と「月次の原価が翌月まで分からないこと」を何とかしたくてシステムを探し、その結果として補助金が使えると分かった——という順番なら、導入後も使い続ける理由がはっきりしています。
この「順番」が、2年後の姿を分けます。
❌ 補助金ありきの導入パターン
- 申請期間に合わせてシステムを選ぶ
- 導入後の運用設計・トレーニングが後回しになる
- スタッフ交代のたびに使い方が引き継がれない
- 月額費用だけが残り、解約するかどうかを悩み続ける
✅ 経営課題ありきの導入パターン
- 「何が課題か」を言語化してからシステムを選ぶ
- 導入と同時に運用マニュアル・定着支援の設計をする
- スタッフへの周知と習熟を導入プロセスに組み込む
- 2年後も「このシステムがないと困る」という状態になる
✓ ここまでのポイント
- 補助金ありきで導入した店は、2年後に「月額費用だけ払い続けている」か「解約済み」になりやすい
- うまくいく店といかない店の最大の違いは、「何の課題を解決するか」が先にあったかどうか
- 現場定着の設計が導入時にない場合、スタッフの入れ替わりをきっかけに使用が止まる
補助金申請と現場定着を、両方設計した場合に起きること
課題を先に決め、導入後の定着まで設計した場合、モバイルオーダーで期待できるのは、お客様が自分のペースで追加注文しやすくなることや、スタッフが伝票ではなくお客様との会話に時間を使えるようになることです。
当事務所で導入をお手伝いしたお店からも、「客単価が上がった」「注文点数が上がった」「LINE友だちが増えて、再来店のお客様も含めた来店者総数が伸びた」という声をいただいています。
大切なのは、「補助金を使って導入した」ことだけでなく、「導入後、現場に定着するまで並走した」ことです。
補助金を「本当に使いこなす」ための3つの条件
ここまでの話を踏まえて、補助金を活用したシステム導入で成果を出すために必要な条件を3つに整理します。
チェックポイント1:解決したい経営課題が先にあるか
「補助金が使えるから導入する」ではなく、「この課題を解決するためにシステムが必要で、それに補助金が使える」という順番になっているか確認しましょう。原価率の可視化なのか、ホールの省人化なのか、リピーター管理なのか——課題が明確であるほど、ツールの選定基準も明確になります。
✅ ポイント:補助金申請前に「このシステムで何を解決するか」を1枚の紙に書いてみる。書けない場合は、まず課題の言語化から始める。
チェックポイント2:導入後の定着支援が含まれているか
システムベンダーや代理店が「初期設定代行まで」で終わっていないか確認してください。スタッフが使いこなせる状態になるまで、少なくとも90日間の伴走サポートがあるかどうかが、2年後を分ける重要な要素です。
✅ ポイント:「使い方のトレーニングは誰がやるか」「スタッフが交代したときのフォロー体制はあるか」を、導入前に確認する。
チェックポイント3:IT導入支援事業者と共同申請できているか
IT導入補助金は、単独では申請できません。登録されたIT導入支援事業者と共同申請する形式です。支援事業者のサポート範囲が「申請書提出まで」か「実績報告まで含むか」では、実務負担がまったく違います。
✅ ポイント:申請から実績報告まで一貫してサポートできる事業者かどうかを、最初に確認する。報告義務を後から知って慌てるケースは少なくありません。
ジョイマンからの本音:「補助金は使うべきだが、依存するな」
私自身も、IT導入支援事業者として補助金申請のサポートをしています。申請から採択、実績報告まで一貫して関わります。だからこそ、正直に言います。
「補助金は、投資の背中を押してくれるツールです。でも、補助金が出ることと、そのシステムが経営の役に立つことは、まったく別の話です。私が最初に聞くのは必ず『再来店率は今何%ですか』という質問です。そこが見えていない状態でシステムを入れても、計器のない飛行機に乗っているのと同じです」
ハワードジョイマン(中小企業診断士・有限会社繁盛店研究所)
飲食店を中心とした支援の実績は833件以上、業界経験21年のなかで、補助金を活用して本当に成果を出せた店には共通点があります。それは、補助金を「きっかけ」として使い、「目的」にしなかったことです。
たとえば、日次での売上・原価の可視化、顧客管理(CRM)、勤怠管理、予約管理までまとめて扱えるオールインワン型のシステムもあります。複数のベンダーに分散していたシステムを一本化できれば、月額の固定費を下げられる場合もあります。補助金と組み合わせることで初期投資を抑えながら、かつ現場定着まで伴走する——この両輪があってはじめて「2年後も使っている」という状態になります。
まとめ:補助金は「正しい順番」で使えば強い武器になる
補助金ありきで導入した店が2年後にどうなるか——本音は「使われなくなっていることが少なくない」です。ただし、それは補助金が悪いのでも、システムが悪いのでもありません。順番と設計の問題です。
「何を解決したいか」が先にある。
「導入後の定着まで誰かが責任を持つ」設計がある。
「補助金はあくまで手段」という認識がある。
この3つが揃えば、補助金は強力な投資の後押しになります。
もし今、補助金の活用やシステム導入を検討しているなら、まず現状の課題を整理するところから始めてみてください。どのシステムが合っているか、補助金の対象になるかどうか、一緒に確認します。
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