こんにちは、ハワードジョイマンです。
飲食店経営者の方に、ひとつ考えていただきたいことがあります。
前月の損益を、翌月中旬以降にようやく把握している——そんなお店は少なくありません。この場合、月初に起きた問題に気づくのは最長で45日ほど後、という構造になってしまいます。
「売上は前年比を上回っているのに、通帳の残高が増えない。」
「原価率が上がっている気がするけど、どこが原因か分からない。」
このモヤモヤを抱えたまま、今月もお店を回していませんか。
今回は、売上着地予測の仕組みを使って月内に打ち手を実行し、利益を取り戻すための考え方を、仮の計算例を使ってご紹介します。「数字が読める経営者になりたい」と思っている方に、具体的な道筋が見えるはずです。
📋 この記事でわかること
- 「翌月中旬まで損益が分からない」という構造がなぜ生まれるのか
- 売上着地予測を使うと、月の途中で何ができるのか(仮の計算例つき)
- 日次で利益を見て「月末着地」を予測するための具体的なステップ
- 数字が読める経営者になるためのツールと伴走支援の活用法
こんな方におすすめ
- ✅ 前月の損益を翌月中旬以降に把握している方
- ✅ 売上は悪くないのに手元に利益が残らないと感じている方
- ✅ 「何を間違えたのか」をリアルタイムで知りたい経営者の方
- ✅ 多店舗展開中で、店舗ごとの数字の差異に頭を抱えている方
- ✅ 過去にITツールを導入したが定着しなかった経験がある方

「翌月中旬の気づき」では、もう手遅れ
「また利益が出ていない。売上は去年より良いのに……」
こうした悩みを抱えるお店でよくあるのは、各店から日報を回収し、本部で集計して月次損益が確定するのが翌月の中旬、というパターンです。そこで「先月の原価率が高かった」と気づいても、すでに次の月が半分近く過ぎています。
結論から言うと、問題は「数字の中身」ではなく、「数字を知るタイミング」にあることが多いのです。
飲食業では、1日あたりの食材廃棄・スタッフの残業・追加仕入れなど、コストに直結する判断が毎日積み上がっています。それを翌月中旬に知っても、もはや修正できる余地はほとんどない。「反省」はできても「改善」できないのです。
「経営判断で一番怖いのは、間違えることではなく、間違えたことに気づかないまま次の月に入ることです。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 飲食店経営コンサルタント)
売上着地予測があると、月の途中で何ができるか
売上着地予測とは、POSデータ・原価・勤怠を一つのデータ基盤に統合し、日次で利益を可視化しながら月末の着地を予測する仕組みです。
経営管理システムの中には、AIによる売上予測・分析機能で、売上の日次推移から月末着地の売上・原価・人件費を予測し、「このペースで進むと、今月のFL比率は〇%着地になります」と通知してくれるものもあります。
たとえば、月の15日時点で「このまま行くと、今月の原価率は34%で着地する」と分かったとします。そこで原因を見ていくと、ある店舗の特定の曜日・時間帯だけ原価率が突出して高い。調べてみると、担当スタッフが大皿料理の盛り付けを目分量でやっていて、規定より多く盛っていた——こうした「現場の小さな習慣」が原因になっていることは珍しくありません。
翌日、盛り付けの基準を写真付きで明示し、全スタッフに共有する。残りの半月で原価率を修正できれば、月末の着地は変わります。
仮に月商500万円のお店で、原価率の着地を34%から32%に戻せたとすると、差は2ポイント分、約10万円です(500万円×2%=10万円)。
翌月中旬に気づくのでは、同じ原因があっても何もできません。月の途中で気づけるかどうかが、この差を生みます。
✓ ここまでのポイント
- 翌月中旬の気づきでは修正できない——数字を知るタイミングが問題の本質
- 日次着地予測があれば、月の途中で原因を特定し、打ち手を実行できる
- 小さな現場の習慣(目分量の盛り付け等)が、月に10万円規模の利益差を生むこともある
「数字が読める経営者」になるための3つのステップ
日次での利益可視化と着地予測を実現するまでの流れを整理してみます。
数字の基盤づくり STEP 1
データの「入口」を一本化する
POS・原価管理・勤怠がそれぞれ別システムで動いている場合、手作業での突合が必ず発生します。まず、これらのデータが自動的に統合されるプラットフォームに移行することが第一歩です。ここに時間をかけることが、後の予測精度を決めます。
⚠️ よくある失敗:「いずれ統合しよう」と後回しにしたまま、バラバラのシステムへの月額費用だけが積み上がっていくケース。棚卸しをしてみると、月額トータルが想定より大きかったと気づくこともあります。
数字の基盤づくり STEP 2
「日次」での確認習慣を作る
週次レポートですら遅い場合があります。日次で前日の売上・原価・人件費を確認し、月末着地の予測値を毎朝更新する習慣を作ること。これだけで「気づきのタイミング」が大きく早まります。
⚠️ よくある失敗:ダッシュボードを作ったはいいが、誰も見なくなる。「会議の前だけ確認する」という運用では、着地予測の意味がなくなります。朝のルーティンに組み込む設計が必要です。
数字の基盤づくり STEP 3
「異変の通知」に連動して現場へ落とす
先ほどの例のように、着地予測の数値が変化したことをトリガーに、現場の確認と改善を動かします。数字を見るだけでなく、「異変が起きたら誰に何をさせるか」という行動プロトコルをあらかじめ決めておくことが、利益の回収に直結します。
⚠️ よくある失敗:データを見て「ん?」と思ったまま、誰も現場に確認しに行かない。「見える化」と「動く化」はセットです。
❌ 従来の月次管理パターン
- 翌月中旬にようやく損益確定
- 原因を特定しても修正期間が残っていない
- 「次月こそ気をつけよう」という精神論で終わる
- 同じミスが翌月も繰り返される
✅ 日次着地予測を活用したアプローチ
- 当月15日時点で「このまま行くと〇%着地」が分かる
- 原因を特定して残り期間で修正が実行できる
- 現場の行動基準(盛り付け・仕込み量・シフト調整)にデータが直結する
- 「気づき→改善→利益回収」のサイクルが月内で完結する
モバイルオーダーと着地予測が合わさると、もう一つの変化が起きる
着地予測の仕組みを整える過程でモバイルオーダーも導入すると、もう一つの変化が見えてきます。
売上の内訳を日次で追っていくと、「注文点数」の変化が数字で確認できるようになります。スタッフが口頭でおすすめを伝えなくても、モバイルオーダーの画面上での「おすすめ表示」や「追加注文の誘導」が機能しているかどうかを、データで確かめられるのです。
モバイルオーダーを導入したお店からは、「注文点数がアップした」という声をいただいています。
注文点数が上がれば客単価が上がり、売上の着地予測も上振れします。「原価を削って利益を出す」のではなく、「売上を伸ばしながら原価率を適正に保つ」方向に舵を切ることができます。
数字が見えていないと、削ることしか発想できません。でも、日次で売上の動きが追えると、「どこを伸ばせるか」という攻めの視点が生まれます。これが、数字が読める経営者と読めない経営者の、最も大きな差だと私は思っています。
「利益を増やすには、削るより、すでに来てくださっているお客さまに、もう一品注文していただく方が早いことが多い。データを見ていると、その余白が意外なほど残っています。」
ハワードジョイマン(中小企業診断士 / 飲食店経営コンサルタント)
まとめ:「翌月中旬の反省」を、「今月中の改善」に変える
今回の内容を一言でまとめると、「気づくタイミングを変えるだけで、打てる手が変わる」ということです。
経営の中身を大きく変える必要はありません。現場のスタッフが盛り付け量を正確にする——そんな小さなことでも、「翌月中旬に気づいて終わり」を「当月15日に気づいて修正できた」に変えられれば、利益の残り方は変わります。
飲食店経営者の方の中には、「うちにはそんな仕組みを作る時間もお金もない」と思われる方もいるかもしれません。でも、私が21年間・飲食店を中心に833件以上の支援をしてきた経験から言えるのは、「仕組みを作る余裕がない」状態のまま頑張り続けるほど消耗するということです。
増益繁盛クラブの会員さんの中には、月商300万円規模から年商2億5,000万円規模へ成長した方もいます。どんなお店でも、先に仕組みを作り、そこから売上を積み上げていく順番が大切です。
まずは「自分のお店の数字、今どういう状態か」を一度整理してみることから始めてみてください。私のほうで一緒に確認することもできます。
売上着地予測の導入や、日次利益の可視化に興味がある方は、以下からお気軽にご相談ください。現状のシステム環境や店舗規模をお聞きした上で、最適な進め方をご提案します。
「まずはどんな機能があるか知りたい」という方は、こちらもご活用ください。資料形式で活用法や導入の流れをまとめています。